【スタッフコラム】2年ぶりの再会は、雑踏の中で
編集スタッフ 田中
▲2年前、デンマークを旅したときの写真
先日、ある人と再会を果たしました。
前回会ったのは約2年前。私が一人で旅したデンマーク・コペンハーゲンで旅案内をしてもらったTさんです。
毎年来日され、ご家族とゆっくり過ごしたり、日本国内を旅行したりしているのは知っていましたが、今回来日するタイミングで「会わない?」と声をかけてくださり、再会が実現しました。
雑踏の中でも、すぐにわかった
ターミナル駅、大勢の人が行き交う中での待ち合わせは、会えるかどうか不安でしたが、その場へ行ってすぐTさんに気づきました。
雑踏の中で、スマートフォンを見ずに、目線を上にあげてシャンとしている女性。それがTさんでした。70代後半の、白髪のショートヘアの美しさも目を引いたのかもしれません。
久々の再会はハグから始まり、近くの喫茶店に入ってゆっくり話しました。ちょうど令和を迎えた日本のことが、デンマークでどう報じられているのか?という真面目な話から、お互いの近況まで。
村上春樹さんの小説がお好きで、新刊が文庫化したものをプレゼント。私もコペンハーゲンで有名なお菓子をお土産にもらい、2年ぶりの再会は数時間で終わってしまいました。
会う頻度は、仲良し度とは関係ないんだ
人との関係は、細く長くつながっていくものと、短く太いものがあるなと思います。
細く長い方は、最初のうちは仲良くなったのかどうなのかわからなくて、やきもきしてしまう。けれど、実は時間をかけて熟成されるので会う頻度は気にしなくてもよかったのかもしれません。
Tさんとは、メッセンジャーアプリで年に数回やり取りしていたくらい。
「日本は真夏です。今日花火を見に行ってきました」と送れば、「コペンハーゲンはもう秋がきています。風が冷たいですよ」と、ちょっと寒そうな海辺の写真が添えてありました。
「あけましておめでとうございます。初日の出の写真です」と送れば、「あと数時間でこちらも新年です。花火をあげて祝います。あけましておめでとう。日本のお正月はいいわね」と返ってくる。
思い出したかのように、ふっと届くメッセージに和んでいました。本当は、早く次のヨーロッパ旅行を計画しなきゃ、お金を貯めなくちゃ……と焦りがあったのですが、今回お会いしたとき、あまりタイムラグを感じさせないTさんに、こちらが驚いてしまったんです。
会えるときがこうして来るから、焦らなくていい。そう言われているようでした。
▲Tさん宅に招かれた時の思い出(コラムはこちら)
中高生の頃や学生時代は、誰と頻度高く会っておしゃべりしているかが、自分にとって最重要項目な時もありました。友達の少ない私は大いに悩んでいたものです(笑)。
近頃はSNSが発達しているので、知り合ってインスタグラムなどでフォローしあうと、会う回数が少なくても近況を知っています。それを何年か積み重ねて、久しぶりに会うと長年の友人のような気分になる。
この夏は、そんな数年ぶりの再会が2回ほど続いたかと思うと、最近趣味になった登山にいく友人とは1週間をおかずして会う約束をする……。ご縁って不思議なものだなあと思わずにはいられませんでした。
今、あまり会えていない学生時代の友人たちも、顔を合わせたら多分すぐに時間が戻って笑いあえるような気がします。だから、心の中で「あの人は元気かな、元気でありますように」と想っていよう。
******
話を戻して、日本で再会したTさんと別れるときのこと。私が駅の改札を通ってから振り向くと、気丈なTさんが涙をこぼしていました。
明るく快活で、デンマークの政治事情への疑問や、日本の教育・社会のことにも興味津々で、忌憚ない意見を話していたさっきとは違い、少し儚げな表情を浮かべています。
再会できて嬉しかった、また離れるのは寂しい。
その素直な思いが伝わってきて、もらい泣き。翌日には東京を離れるというのに、スケジュールをあけてくれたTさんに感謝の気持ちしかありません。
「早くデンマークへいかなくちゃ」と、またもや焦りを感じていますが、マイペースにメールをやり取りしながら、次のタイミングを待とうと思います。
▼35歳ヨーロッパひとり旅、珍道中ばかりですが、よかったら読んでみてください。
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