【35歳ヨーロッパひとり旅】第7話:今日はハプニングなし?デンマークのヒュッゲな時間に酔いしれた夜
編集スタッフ 田中
はじめてヨーロッパを旅した、わたし・田中のひとり旅をイラストと共にお届けしている不定期連載です。
コペンハーゲンでは、電車とバスを駆使して色々な場所を巡りました。ヨーロッパではバスの車体の色やデザインが可愛い、車窓にながれる景色が見飽きないなど、楽しめる要素もたっぷりです。
さて、観光客には難しい支払いのストレスを省くため、わたしはコペンハーゲンカードというものを現地で購入。ちょっと値段が高い……とは思いましたが、主要な美術館やお城の入場料は無料になるうえ、交通網にも使える便利なフリーパスです。
これのおかげで本当にラクできました! 残りの関門は、行き先のバスや電車を見つけて、ちゃんと乗り継ぎできるかということだけ。
この日は昼間にデンマーク王立図書館へ行く予定で、夕食は知人のTさんの家に招待されていました。
王立図書館では、現代的な建築と古い建物が融合した素敵な空間を満喫しながら、横に流れる運河を眺めつつのランチ。さて、夜までぽっかり時間があいたところで、思い出したのは同僚から薦められた映画館のこと。「デンマークの人は映画が好きで、至るところに映画館があるんですよ。その建物やカフェがとても素敵で!」と言っていたのが印象的だったんです。
教わった映画館の場所を調べてみたら、今いる場所とはだいぶ離れています。果たして乗り継ぎができるのか……と不安になりながらも、バスに乗り込みました。
途中で少し迷ったものの無事に映画館へついて、パンケーキとコーヒーが美味しいというカフェにも立ち寄ることに。るんるん気分でお茶していて、ふと思いました。
「ん? 今日は、もしや何も起こらない…….?」
それまでの6日間、ハプニング続きだったので「何も起こらない」ことに驚いていました(苦笑)。マイペースに旅を楽しめていることに、にやにやしつつ気を引き締めて、次の目的地であるTさんのお家へバスで向かいます。
時刻は午後6時。北欧の冬は既にとっぷり日が暮れています。じつはこれまで夜は慎重に過ごしていて、一人で出歩くのは避けていました。Tさんに言われたとおりのバス停に降りても、暗くて心細い……。しかも、家と家の距離が日本の数倍ある北欧の住宅街では、歩いても歩いても進んだ感じがしない……。
「やっぱり今日もハプニングありそう」と不安になりかけた時、向こうからTさんが手を振っているのがわかりました。(めちゃくちゃ安堵したのを思い出します!)
初めて一人で夜のお出かけを敢行して、晴れ晴れとした気持ちでTさんのご自宅のドアを開けたとき、わたしのテンションが一気にあがりました。
そこには、本物の「北欧の暮らし」があったんです。自分たちがおしゃれだ、可愛いと口々に言っていた雑貨たちが、本当に暮らしの道具として使われている素敵なインテリア。Tさんのおもてなしの気持ちが伝わってくるテーブルセッティングや料理に、やっぱり北欧の暮らしって素晴らしいと感じました。
テーブルクロスを敷き、ろうそくに火を灯して、テーブルにナイフとフォーク、お皿にはペーパーナプキンを添える。「来客があるときには、こうするのよ」と仰っていたTさん。
パイとサラダ、フムス、デザートには自家製ルバーブジャムで作ったケーキが出され、どれも美味しくて、なんだかもう胸がいっぱいでした。(食べきれなかったのが悔やまれます……)Tさんとデンマーク人のご主人とのなれそめを聞いたり、日本の話をしたり、仕事や人生について真剣に話したり。
紛れもなく、あれは「ヒュッゲ」でした。バスに揺られて帰る途中、こんな体験ができてわたしは本当に幸運だったと噛み締めながらホテルに戻りました。
次回はいよいよ最終回。デンマーク最終日に、旅慣れてきたわたしが冒険して、高速列車(DSB)で郊外まで出かけます。
▼前話はこちらから
「観光名所が閉まってる?!オフシーズンの罠にハマった、コペンハーゲン街歩き。」
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