【はじめての漬物】第1話:米のとぎ汁で簡単手作り。お腹も整う夏野菜の「水キムチ」

ライター 小野民

家で料理をする機会が増えた近頃。日々のごはんだけでなく、梅仕事などの保存食作りに挑戦する人も増えたように感じます。とはいえ、梅干し作りを筆頭に本格的な漬物作りはなかなかの手間ひまがかかるもの。

ならば、手間をかけずに仕込む簡単な漬物はどうでしょう。一度漬けさえすれば、すぐにでも食べられて、料理へのアレンジもきく漬物は、実は手軽でお助け常備菜にもなる存在です。

漬物の定義は、野菜などを調味料と一緒に漬け込んで保存性を高めたもの。重石や特別な材料も使わずに、どれも15分くらいで下ごしらえはOKの、パパッと作れる漬物なら誰でも手軽に取り入れられそうです。

そこでレシピをお願いしたのは、料理家の瀬戸口しおりさん。

▲新刊『自分ごはん時々おやつ』は、私も編集担当もお気に入りの一冊

当店の『ひとりごとエプロン』の料理監修でもおなじみの瀬戸口さんは、漬物や保存食に関する著書もあり、手軽で食欲そそる料理に定評があります。

瀬戸口さん:
「夏になるとぬか漬けを食べたくなるなど、少ししょっぱいものを求めるのかもしれません。

本格的な漬物でなくても、副菜や常備菜にもなる簡単な漬けものはよく作りますよ。箸休めにもなるしアレンジもきく。冷蔵庫にそんなストックがあると、便利で助かるのでおすすめです」

 


季節の野菜をたっぷり使って
お腹も整う「水キムチ」


材料(作りやすい量)

・大根…5㎝
・きゅうり…1本
・セロリ…1本(葉は除いて茎の部分)
・にんじん…1/2本
・ラディッシュ…3個
・ズッキーニ1/2本
・梨…1/2個
※材料は一例。好みの野菜で、合わせて650gにする

・にんにく…1片
・鷹の爪…2本
・米のとぎ汁…500ml
・塩…13g(野菜の重量の2%)

作り方

1.米を洗い、2~3番目のとぎ汁をひと煮立ちさせる

最初のとぎ汁は、汚れや小さなゴミを洗い流すために捨てて、2〜3回目のとぎ汁を使うといいでしょう。無洗米でも大丈夫ですが、いずれにしても洗いすぎないように。とぎ汁が乳酸菌のエサになって発酵します。

とぎ汁は一煮立ちさせて煮沸して、冷ましておきます。

2.にんにく、鷹の爪、野菜の下ごしらえをする

とぎ汁に入れるにんにくは薄切りに、鷹の爪は種を取っておき、漬ける野菜は、それぞれの野菜の大きさによって3mm厚さの輪切りや半月切りにしておきます。

漬ける野菜やその時にあるものなんでもOK。セロリなど香味野菜を入れると風味が増すのでおすすめです。

3.野菜、塩、にんにく、鷹の爪、とぎ汁を合わせる

とぎ汁に入れる塩分は、夏は野菜の重量の3%、冬は2%が瀬戸口さんの水キムチのいい塩梅。

材料を全部合わせたら、最後に米のとぎ汁を加えて混ぜ、蓋やラップをして発酵を待ちます。乳酸菌が働きやすいのは20℃〜30℃くらい。夏なら室温で一晩、冬なら丸1日くらいが目安です。

瀬戸口さんの完成の基準は、漬け汁をちょっと取り出してみて、塩味だけでなく酸味とうまみが混ざったような風味がすること。

好みの発酵具合だったら冷蔵庫に入れて、1週間ほど保存できます。

瀬戸口さん:
「果物は、梨の代わりにすもも、りんご、柿、金柑などにしてもおいしいですよ」

ほのかな酸味をまとってうまみを増した野菜は、くせもないので、どんな料理の箸休めにもぴったり。夏野菜をどんどん仕込んでみたくなります。

続いてほんの一手間加えて、マンネリになりがちなそうめんレシピを水キムチでさわやかに食べる方法を教えてもらいました。

素麺とあえれば、立派な一品料理に

水キムチはそのまま食べても良いですが、麺類とも好相性。

茹でたそうめんやうどんと和えるだけで、さっぱりツルン!と食欲そそるおいしい一品料理に変身です。

まずそうめんを袋の表示通りに茹でます。

ザルにあげて、流水で洗い水気をよくきって器に盛り付けます。

水キムチを汁ごと加え、少量のナムプラーをたらり。焼豚をのせたら完成です。からしと酢はお好みで。

材料(1人分)

・そうめん(冷や麦)…1束
水キムチ…1/4量
・市販の焼豚…2枚
・ナムプラー…小さじ1/2
・からし、酢…適宜

あっという間に完成したそうめんは、水キムチの汁の爽やかなうまみで、めんつゆで食べるものとは別物。ついついマンネリになりがちな麺類のレシピにさっぱり食べられる1品が加わって、この夏の頼れる一品になりました。

次回は、トマトとみょうがのピクルスの作り方をお届けします。甘酸っぱくてさっぱりしたピクルスは、暑い時期に食べたいパスタにアレンジできますよ。

【写真】西希(3枚目以外)

 

もくじ

瀬戸口しおり

夫と息子の3人暮らし。イラストレーターを目指していたセツ・モードセミナー在学中に、東京・吉祥寺にあった『諸国空想料理店KuuKuu』のスタッフとして働きはじめる。その後、料理家・高山なおみ氏のアシスタントを経て独立。著書に『わたしの作りおきおかず』(アスペクト)、『自分ごはん時々おやつ』(主婦の友社)など多数。

 


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