【おしゃれの転機】文筆家・大平一枝さん 前編:「ちょっといい普通」を見つけられたら
編集スタッフ 津田
外へ出かけるのが特別なことに変わった一年。ズボラな私のことなので、おしゃれの優先順位はずいぶん下がるだろうと思っていたけれど、朝に「今日なに着よっかな〜」と考えるとき、案外ワクワクしていることに気づきました。
今日の自分のために身支度をする。無意識的にもそうやって、一人で過ごす時間を慈しむようになった一年だったのかもしれません。
本特集『おしゃれの転機』では、自分らしくおしゃれを楽しんでいるあのひとにお話を伺いながら、当店オリジナルブランド KURASHI&Trips PUBLISHING のメイクアップシリーズを使っていただきます。
今回ご登場いただくのは、連載中の金曜エッセイ『あ、それ忘れてました(汗)』でお馴染み、文筆家の大平一枝(おおだいら・かずえ)さんです。5年ほど前に髪をバッサリ短くして、おしゃれに対する考え方がずいぶん変わった、というところからお話が始まりました。
髪型を変えたのが「おしゃれの転機」になった
大平さん:
「50代になって、16年ずっと通っていた美容室を変えたんです。ちょうど下の娘が高校生になったタイミングでした。
いま振り返ると、もう学校や習い事の送り迎えをしなくなってずいぶん経つのに、いつでも子どもと自転車に乗れるような動きやすい格好をしていて。ほとんど自分に構っていなかったのを変えたかったのかもしれないですね。
それで新しい美容室に。担当してくれた方がデッサンを勉強しているとのことで、座ったままカットするのではなく、まず全身のバランスを見たいと、全身鏡の前に立つように言われました。それでおまかせしたら、そのまま、ぱつんと。眉毛が見えるくらいに前髪を短くしたんです。
自分には絶対に似合わないと思い込んでいたけど、周囲は肯定的で、ひょっとして『絶対』ってないのかもしれないと思いました。するとメイクも変わるし、着るものも変わるし、アクセサリーや靴まで変わってきて、おしゃれにも気持ちが向くようになってきました」
じつは、大人には普段着が難しい?
前髪をぱっつんに変えてから、自分に似合うおしゃれを探すことを楽しんでいる大平さん。普段のメイクについて伺うと、服との合わせで気になることがあるそう。
大平さん:
「トップスによって、似合うメイクが違うような気がします。
気に入っているボートネックのカットソーを色違いで買っているのですが、ネイビーと同じメイクを白のときにすると、ちょっと違和感があるというか。ぼやけた感じになってしまい、どうしたらいいかなと思っていました。
あとはシミなど肌悩みもあるので、下地やコンシーラーをいろいろ試していますが、しっくりくるアイテムや使い方がまだ分からなくて……」
▲「ブランドにこだわりはなくいろいろ使って、似合うものを選びたい」という大平さん私物のコスメたち
大平さん:
「年を重ねると普段着のときのメイクって難しいですね。20代ならノーメイクに白Tシャツもいいと思うのですが、いまの年齢だと力を抜きすぎるのは違うし、いろいろ足して濃いメイクになってしまうのも避けたいですし。
KURASHI&Trip PUBLISHINGのシンボリックシリーズは、昨年いただいてからすごく気に入って使っています。特にリップが好きで。いつもポーチに入れているのですが、柔らかな発色だからどう引き締めたらいいかが気になっていました」
そこで、当店のメイクアップシリーズの開発にアドバイザーとして携わっているビューティライターのAYANAさんに、大平さんに合わせた、シンボリックシリーズの使い方を教えていただきました。
大人なあのひとに似合う
白いカットソーと、普段着メイク
登場する当店のアイテム
左から
・アイカラー / 07 ミルクティーベージュ
・リップカラー / 01 アミュレットレッド
・ネイルカラー / 05 ミッドナイトトーク
ひと工夫で、普段着に合うカジュアルさを
▲アミュレットレッドの直塗り(左)とポンポン塗り(右)
AYANAさん:
「大人世代が普段着に合わせるメイクは『メリハリをどうつけるか』が肝になります。そのためには、目か口元のどちらかにメイクのポイントをつくるのが大事。どちらも薄いとぼんやり、濃いとやりすぎな印象に。
白いカットソーは、赤のリップを組み合わせると、品よく大人っぽい印象になるので、アミュレットレッドを指でポンポンと塗りました。今回はこれがメリハリのポイントとなります。
品の良さだけでなく、普段着に合うカジュアルさも欲しかったので、リップラインは取っていません。
塗り方にもひと工夫を。直塗りやリップブラシを使うのではなく、指にとってポンポンと塗ってみてください。濃さが調整でき、唇の色が透けてほどよい血色感でヘルシーな印象になるんです」
目元は明るく。重ね付けしなくても素敵になります
AYANAさん:
「リップとのバランスで、アイメイクは力を抜いていきましょう。
今回はミルクティベージュを使用しました。指で適当にピャッと塗るのではなく、ちょっとていねいにブラシにとってから手の甲でオフして、二重幅に少量塗ることを意識してみてください。
塗り始めから終わりにかけて自然と濃淡ができ、二回ほどできれいなグラデーションがつくれます。何度も重ね付けしたり、締め色を引いたりしなくても、これだけで十分素敵。塗るのが少量だとヨレにくいのも嬉しいところ」
▲下瞼にはすこし光を入れたくて 01 ミストピンク を細めのチップで引いています
AYANAさん:
「今回はアイラインとマスカラも合わせています。くっきりと仕上げつつ、優しくニュアンスを足したいので、アイラインはバーガンディ、マスカラはフィルムタイプのブラウンを選んでいます」
肌悩みをカバーしながら、自然なベースメイクに
AYANAさん:
「普段着に合わせるベースメイクは肌ツヤがよく、素肌のように仕上げるのが理想です。
大人世代の肌の悩みには『カバー力の高いものを少量使う』のがおすすめ。下地やファンデはたっぷり塗るとヨレる原因になるのでうすく伸ばし、コンシーラーはパレットタイプのものを取り入れてみてください。
コンシーラーを使うときは、優しくタッチできる薬指を使うこと。そして気になるところだけではなく、その周りにもすこしずつ肌を足していくようなイメージで使うこと。境目をていねいにぼかすのが大事です。最後にパウダーをはたくと崩れにくくなります」
「同じアイテムが使い方でこんなに変わるなんて。うれしい発見でした」
リップカラーのアミュレットレッドを主役に、大人の普段着メイクを試してくださった大平さん。「知らなかった!」「へ〜、私の使い方と違うのね〜」とヘアメイク中から楽しげな声が聞こえてきて、驚きながらも興味津々の様子でした。
大平さん:
「こうやってメイクすると素敵になるんだ!と目からウロコが落ちまくりでした。ポイントを置くべきところ、力を抜くべきところ、そして全体のバランス。その匙加減にびっくりするやら感心するやら。
髪型を変えたとき “絶対私に似合わない” “これは好きじゃない” という思い込みから抜けてみようと、自分なりにおしゃれに向き合ってきたつもりですが、メイクはまだ知らないことがたくさん。
アミュレットレッドはもともと好きで愛用していましたが、リップブラシで塗るの一択。ポンポン塗りはしたことがなくて。なんとなく前からの使い方が更新されないままだったんですね。
これからも白のカットソーは定番で着続けると思うのですが『私にとっての “ちょっといい普通” ってこういうことだ』と、より自信をもてそうです」
つづく後編では、柄のあるワンピースに合わせたメイクをご紹介します。
STAFF
photo 平本泰淳
hair&make 原澤雅(LIM)
make direction AYANA
もくじ
文筆家 大平一枝
長野県生まれ。編集プロダクションを経て1995年独立。著書に『東京の台所』『男と女の台所』『もう、ビニール傘は買わない。』(平凡社)、『届かなかった手紙』(角川書店)、『あの人の宝物』(誠文堂新光社)、『新米母は各駅停車でだんだん本物の母になっていく』(大和書房)ほか。『ただしい暮らし、なんてなかった』(平凡社)12月発売予定。一男(26歳)一女(22歳)の母。
大平さんのHP「暮らしの柄」
https://kurashi-no-gara.com
AYANA
ビューティライター。コラム、エッセイ、取材執筆、ブランドカタログなど、美容を切り口とした執筆業。過去に携わった化粧品メーカーにおける商品企画開発・店舗開発等の経験を活かし、ブランディング、商品開発などにも関わる。instagram @tw0lipswithfang 、ホームページ http://www.ayana.tokyo/
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