【平日21時のおやつレシピ】第1話:もっちり生地が嬉しい「真夜中のクレープ」
ライター 小野民
新しい年が始まって、のんびり過ごしたお正月のまったり感を引きずりつつ、家事も仕事も心機一転がんばりたい気持ちも芽生える2022年一週目。
どうしたってそわそわしてしまう始まりの日々は、甘いデザートでちょっと自分をゆるめたいもの。
夜21時、ほっと一息つける時間からでも気軽に作れる甘いおやつは、今日の自分をねぎらい、明日のエネルギー補給もできそうです。
今日から3話でお届けするレシピは、どれも材料はシンプル、オーブンも使わず、準備から30分もあれば完成しちゃう、ハードルの低さが魅力。最小の手間で、最大においしく! のコツも教えてもらいました。
SEKAI NO OYATSUの鈴木文さんが教えてくれました
今回、3つのデザートの作り方を教えてくれたのは、「SEKAI NO OYATSU」を主宰する鈴木文(すずき あや)さん。世界50カ国をめぐって習ったおやつのレシピ本の著者でもあります。
▲2021年のレシピ本大賞お菓子部門の準大賞を受賞。100個のおやつのかわいいイラストもたまらない、素敵なレシピ本です
鈴木さん:
「簡単なおやつは、子どもが生まれてからよく作るようになりました。オーブンで焼いている時間も待ってはくれないから、すぐにできるものがありがたくって。
今回の3つのレシピは、1日の終わりでも作れるように工程も材料も極力シンプルに。それでもどうしたらおいしくできるか、試作を重ねた自信作です」
お砂糖とバターがとろ〜り
「真夜中のクレープ」
鈴木さん:
「最大のポイントは生地にダマが残らないようにすること。それができれば、食べたときに粉っぽさを感じずに生地自体はもっちり、端はパリッとした理想の焼き上がりになります。
薄くてすぐに焼き上がるので、待ち時間もなくてパンケーキを焼くよりも簡単ですよ」
材料(直径26センチのフライパンで約4枚分)
薄力粉…100g
好みの砂糖…25g
卵…1個
牛乳…200ml※1
バター(生地用)…20g※2
※1:牛乳の一部、約10-20mlほどをブランデーやラム酒に置き換えるとおいしさがアップ
※2:無塩の場合には塩ひとつまみ約1g入れても◯
<お好みのトッピング>
アツアツを頬張るときにおすすめ…
グラニュー糖、バター、シナモン、 粉糖
王道のデコレーションなら…
ホイップクリーム (スプレータイプがおすすめ)、 バナナ、チョコソース、チョコチップ
作り方
1. ボウルに薄力粉、砂糖を合わせてふるう
このひと手間がダマにならないためには重要。専用の道具じゃなくても、手持ちのザルでOKです。
2. 卵をといて、1に加えて混ぜる
粉類を卵でまとわせるイメージ。ゴムベラを使うとまとまりやすい。
3. 牛乳を少しずつ加えてなめらかにする
牛乳を少しづつ加えながら都度ダマがないようにしっかり混ぜる。お酒を使うときはここで一緒に加える。
▲小麦粉主体のお菓子などは固くなることもありますが、水分の多いクレープ生地はむしろ薄力粉を練ってグルテン(粘り)を出すことでモチモチした食感を生み出します
もしダマが残っていると感じたら、次のステップでバターを入れる前にザルなどでこしておきましょう。
4. バターを溶かして、生地に加える
バターを耐熱容器に入れラップをして、600Wの電子レンジで約40秒温めて溶かしたら、3の生地に加えてしっかりと混ぜ込む。バターを入れることで、粉と卵が一体となって生地全体の味もまとまる。
▲時間があるならラップをして冷蔵庫で30分以上寝かせたり、ここまで夜に作っておいて朝までおいておいたりするのもおすすめ。生地がなじんでさらに風味が増します
5.お玉一杯分ずつ焼いていく
フライパンにバターを入れて中火にかけて溶かし、ペーパーでフライパン全体に伸ばしつつ余計なバターを拭き取る。手をかざして熱くなっていれば、生地の入れるタイミング。
▲拭き取りに使ったペーパーにはバターが染み込んでいるので、2枚目以降を焼く前にフライパンに塗るのに使います
めいいっぱいに広げて焼きたいので、24cm〜26cmくらいの大きいフライパンなら生地1/4量、だいたいお玉1杯分を流し入れて、フライパンを傾けながら手早く全体に広げる。
ここではもうお玉は使いません。ここからの火加減はお好みで、弱火〜中火で慌てずに。
箸などでふちを剥がして生地少し持ち上げ、焼き色を確認し、軽く焼き目が付いていたら指でつまんで裏返す。
▲2枚目以降は、焼く直前に熱したフライパンを一度火から外して濡れ布巾の上に置き、フライパンの底を冷ますのが上手に焼くコツです
裏面も焦がさないように気をつけて10~20秒程度さっと焼いたら、できあがり。
ちょっと贅沢に味わうなら
このまま食べても、バターの風味のもっちり生地が十分おいしいのですが、アツアツならではのちょっと贅沢な味わい方をするなら……。
もう一度ひっくり返してからグラニュー糖と、シナモンを適量ふり、半分に畳んでから扇形に3つ折りにたたみます。皿に移して有塩バターや粉砂糖で仕上げれば、それはもう極上のデザートに変身。
生地はもっちりだけど端はカリカリ、風味はほのかに香るスパイスとじゅわっと広がるシュガーバターの甘じょっぱさが絶妙に混じり合います。シンプルなクレープでも、少し手を加えるだけで五感が喜ぶデザートになるんだと感動しました。
冷蔵保存で、翌朝はにぎやかトッピングも
さて、焼いたクレープ生地が余ったら、翌日に食べるのならキッチンペーパーを挟んで重ね、ラップをして、冷蔵庫へ。
1枚ずつ広げたままラップに包んだら、冷凍して1週間後くらいに食べても。翌朝や週末のお楽しみを夜に仕込んでおくのもよさそうです。
ホイップはスプレータイプのものならすぐに使えて便利で、意外とあっさりした味わいですよ。
***
次回は、手作りならではのやわらか求肥が魅力の、電子レンジで作れるいちご大福のレシピをお届けします。
【写真】木村文平
もくじ
鈴木文
立教大学卒業後、株式会社バーニーズジャパン入社。アパレル業界を経て、パティシエに転身。ザ・ぺニンシュラホテルのフレンチレストランやパティスリーなどで修行を積んだ後、会員制レストランでシェフパティシエに就任。退職後は約1年にわたり、世界各地でお菓子を作る旅へ。これまで50カ国以上を訪れ、500種類以上の世界のお菓子を学んだ経験をもとに、2018年よりお菓子ブランド「SEKAI NO OYATSU」を主宰。著書に『世界のおやつ おうちで作れるレシピ100』(パイインターナショナル)。https://sekainooyatsu.com/
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