【発見するふたり】前編:「僕が好きだったものづくりは、何だろう?」が新しい扉を開いた(高尾 × 栗村)
ライター 長谷川賢人
ふだんはせわしなく、仕事と向き合うクラシコムのスタッフたち。ゆっくり、じっくりと、お互いのこれまでを振り返って話す時間は……実はそれほど多くありません。
でも、あらためて話してみると、人となりがもっとわかったり、新鮮な発見が得られたりするもの。そこで、スタッフ同士でインタビュー(というより、おしゃべり?)してみる機会を持ってみることにしました。
今回は、当店の商品ページをつくる「ストア編集グループ」のスタッフ栗村と、物流・情報セキュリティ・データ分析などクラシコムの事業の基盤づくりを行う「ビジネスプラットフォーム部」のスタッフ高尾が登場。
異なるグループで仕事をするふたりですが、実は「もともと理系科目が得意だった」という共通点も。転職でクラシコムに入社し、大きく仕事の中身が変わったことで、新しく気づいたこともあるようです。そんな、 “発見するふたり”、自身のなかで「変わったこと、変わらないこと」はあるのでしょうか?
前編は高尾が主に聞き手となって、栗村に色々と質問してみました。
「やりたいこと」はわからないけれど、「つくること」は好きだった
高尾:
クラシコムに入社する前、それこそ学生時代は何を学んでいたんですか?
栗村:
プログラミングを学んでいました。数学や化学が得意だったのと、「これができたら後々になって困らないかも」という消去法で……。
高尾:
えー、意外です。プログラミングってロジックの積み重ねじゃないですか。栗村さんは、フィーリングの積み重ねという印象があるから。
栗村:
そうですよね。でも、ロジックを積み重ねていくのに憧れがあったんです。それは今も残っているかもしれません。
▲栗村(左)と高尾(右)
高尾:
就職もプログラミングを活かした仕事だったんですか?
栗村:
いえいえ、広告代理店です。仕事を決める時に、自分でも「やりたいこと」はわからなかったけれど、自分で「つくること」が好きだとは思っていて。例えば、雑誌や映像といった制作に広く携わるなら、広告業界ならできるかなと。
広告代理店は、そういった制作に携わるクリエイティブ職と、広告出稿に関する仕事をする営業職に大きく分かれるんですが、だいたい新卒社員は営業職に配属されるんです。
高尾:
うん、うん。
栗村:
営業職も楽しめてはいたんですが、やっぱり自分で手を動かして「つくること」に関わりたい、という心のモヤモヤが大きくなっていきました。そんなとき、クラシコムの求人情報を目にしました。社会人になったくらいから「北欧、暮らしの道具店」には出逢っていて、よく通勤時間に見てたんです。
出逢ったのは「自分の知らない選択肢を持っている人たち」
高尾:
それで、グッときたわけですね。どんなところに惹かれたんですか?
栗村:
「僕の抱いているモヤモヤって何なのだろう?」と考えてみたら、「自分の知らない選択肢で働いている人たちがいる」ということだったんです。クラシコムの働き方もそうですし、読みものに登場される方たちのインタビューなどを読んでも感じました。
高尾:
なるほど、確かに。
栗村:
自分が歩んできた人生の延長線ではないところで、楽しんでいたり励んでいたりする姿を見ていくうちに、「このまま営業職として働いていくこともできるけれど、本当にやっていて気持ちがいいことは、きっと違うんだろうな」と思って。
やっぱり自分で手を動かして「つくること」に回りたくなって、それならば新しい発見をくれた「北欧、暮らしの道具店」で働いてみたくなりました。
白くまの貯金箱に、1枚だけ追加した写真
高尾:
入社してからは、商品ページ作りを早速していくんですよね。
栗村:
そうですね。スタイリングしてみて写真を撮って、文章を書いて、チェックしてもらって……でも、つくるたびに不安があって。
高尾:
どういった不安ですか? うまくできないかも、という思いとか。
栗村:
自分だけでは、つくるものが正解かどうかわからなくて、ずっと「サポートしてもらっている感」が強かったんです。先輩やマネージャーにチェックしてもらいますから、ステップを踏んでお客さまの目に触れるのは、確かに安心でした。
それが「しんどい」というわけではないし、メンバーが受け入れてくれることもわかりつつ、ただ自分ひとりで正解にたどり着けないもどかしさ、みたいなものがあって。
高尾:
そういうことかぁ。感性的な部分も大きいですしね。それが乗り越えられた瞬間って、あったんですか?
栗村:
「あ、これでいいんだ」って感覚をつかめた瞬間が一度あって、それを繰り返していくことですかね。あとは「ここまで自分の『好き』を出してもいいんだ」と思えたとき。「今の自分はこういうものが見たい、こういう見え方が好き」とページ制作に関わるなかで込められるようになったんです。
高尾:
きっかけになった商品ページって今も覚えているんですか?
栗村:
毎年、発売している「白くまの貯金箱」ですね。いつも秋頃にマフラー付きのリミテッドバージョンが出ていますが、必要なカットを撮り終えた後で、布団に寝かせた写真も加えたんです。それを商品ページの本当にいちばん最後、何の影響もなさそうなところに、そっと置いてみて(笑)。
高尾:
そっとなんですね(笑)。
栗村:
商品ページを作る上では必要のないカットだけれど、それを「可愛いね」と言ってもらえたんです。誰かの正解を探すというより、自分がただただいいなと思える写真をいいねと言ってもらった。「こんなふうにやってみていいんだ」と受け止めてもらえた感じがしました。
そこから、ちょっとずつ遊びを入れるようになって、「自分の好きなものを素直に表現してみても大丈夫なんだ」と安心感につながっていったんです。
弱さをちゃんと認めている
高尾:
安心感って、クラシコムのキーワードかもしれないな、って思いました。
栗村:
そうですね! 働き方にしても、みんながお互いをサポートする前提で、誰か一人だけで完結させながら進めていく感じはないですね。
高尾:
メンバーの社歴の長さは関係なく、無理をさせない体制になっているんですよね。子育て中で、家族が急に熱を出すなど、時間的な制約が生まれやすい環境の人が多いこともありますかね。
栗村:
言い換えると、「弱さをちゃんと認めている」というか。
高尾:
確かにそうですね。ビジネスの場は競争になりがちで、とかく強さが求められる世界であって、「弱くてもいいよ」と言われているような感覚です。
お客さまの気持ちが、ふわりと軽くなる瞬間をつくり続けたい
高尾:
栗村さんって2018年8月入社で、僕が2019年の2月なので、半年くらい早いですよね。いま、ちょうど丸4年くらい仕事をしてきて、「もっとこうしたいな」みたいなこともあるんでしょうか?
栗村:
「僕が好きだったものづくりって、何だろう?」という考えに戻ってしまうのですが、映像でも買い物でも本でも、僕自身がそれに触れたときに、ふわりと気晴らしになったり、心が開いて気持ちが軽くなったり、そういう瞬間に救われてきたと思うんです。
だから、お客さまにもそういうものを、ずっと提供できるようにつくっていきたいなぁ、と思っています。雑貨はもちろんアパレルの商品ページでも、読みものでも、ワクワクする感じを受けるものを。だから、もっと毎日ご来店いただけることが楽しくなれるような何かを手掛けたい、とはずっと考えています。
「お客さまに楽しんでもらえるものをつくるスタンスでいる」ということは、変わらずこれからもやっていきたいですね。
(つづく)
【写真】川村恵理
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