【春服マスター】前編:スウェットもボーダーもおしゃれに着たい! 私たちの悩みを、スタイリストさんにぶつけました
編集スタッフ 糸井
着込んだ衣服を脱いで、春に着たくなるのは軽やかな服。
クローゼットの奥に、そうして待ちわびるブラウスやボーダーカットソーがあるのに、そんな気に入りが、ふいに今の自分に似合わなくなることってありませんか?
でもそれも、ちょっとしたコツを取り入れるだけで、また素敵に着こなせるそうなんです。
特集『春服マスター』では、スタイリストの植村美智子(うえむらみちこ)さんに、春アイテムへの悩み事をお伝えし、解決策やそのコツから「素敵な大人の装い」を学びます。
前編のキーワードは、スウェット、ボーダーカットソー、そしてスカート丈の3つです。
「スウェットを大人っぽく自分らしくおしゃれに着たいのですが、身体のラインと合っていないのかボトムスが違うのか、部屋着感がぬぐえないことも。おでかけコーデになるコツをぜひ知りたいです」
このアイテムを
「2つ以上」足しましょう!
植村さん:
「スウェットやTシャツなどのカジュアルアイテムを大人っぽく着こなすのが難しい、という声はよく聞きます。
そのからくりは、歳を重ねていくと顔が今までよりエレガントになるから。結果、カジュアルアイテムを足すと『エレガント⇔カジュアル』の境界が目立ち、コーデにちぐはぐ感が出るんです。
こういうときは、『フェミニン』や『トラディショナル』なアイテムを2つ以上足し、その境界線を馴染ませましょう」
植村さん:
「それぞれのアイテムの例としては、
フェミニン
・パールや華奢なゴールドのアクセサリー
・柔らかい素材のスカート
・華奢なシューズ
トラディショナル
・主張のあるメガネ
・ローファーやレースアップなどのトラッドシューズ
・腰回りにゆとりがあるパンツ
共通しておすすめ
・今どき感のある、少し華やかなメイク
・レザーやしっかりしたフォルムのバッグ
などがあります」
植村さん:
「アクセサリーの細かなコツは、さりげなさ。ネックレスなら、個性的なペンダントや大ぶりのパールより、小ぶりなパールくらいが馴染みやすいです(普段つけ慣れている方は大丈夫なのですが、あまりパールに慣れていない方は特におすすめ。取って付けた雰囲気になる心配もありません)。
華奢だとほとんど見えなさそう、ということもなく、これがあるのとないのとでは印象が全く違うんですよ。
ささやかなエレガントさは欲しいけれど、迫力が出過ぎないようにするのも大切。華奢な指輪を重ね付けするのもいいですね」
▲そんな植村さんのいちおしアイテムは、めがね。『スウェットとパンツの組み合わせって、ベースがメンズの着こなしなんです。そこに大人の女性がいる違和感があるので、めがねを足して、あえてメンズのこなれた着こなしにすれば馴染みます』
植村さん:
「『フェミニン』や『トラディショナル』なものを2つ以上足したなら、ボトムスはカジュアルでも、センタープレスのようなきれいめでも大丈夫(もちろんスカートでも)。
ちなみに、今回のコーデでは首元に白インナーをチラ見せしています。些細なところにさりげなく、きちんとしている感を出すのも、大人っぽく上品に着こなすための手軽なコツです。おしゃれの印象は、そういう細かいところに宿ったりします。
かくいう私も、最近は毎日のように白インナーを重ね着。リブがほどよく覗くように、それぞれのスウェットに合わせた白インナーを持つようになりました」
「ボーダーを大人っぽく、春らしく着たいです。シルエットやサイズ選びにコツがあるのでしょうか? 手に取りやすい分ユニフォームのように着回すものの、コーデに新鮮な印象がありません……」
シルエットはオーバーサイズで。
インの具合もポイント
植村さん:
「春の新鮮さを感じたり、大人っぽく着るには身幅に余裕のある、少しオーバーサイズなものが◎。身体のシルエットを拾わず、大人っぽい雰囲気が出ます。
シルエットやデザイン選びのポイントは、
・肩のラインが落ちているもの
・身幅と、アームホールにゆとりがあるもの
・首元が縦に開きすぎていないもの(ボートネックなどの横開きは大丈夫です)
など。
年齢による体型の変化で、ふくよかになったり痩せてきたりしていても、オーバーサイズを着ることで、服からシルエットを作れます。それが流行りということもありますが、今どき感を出すのも大人の余裕があるスタイルには大切。特に、アームホールはゆったりしているほうがおしゃれに見えますよ」
▲オーバーサイズを探すとき、あえてメンズのSサイズを選ぶのもおすすめなのだとか。
植村さん:
「オーバーサイズは、適度にウエストインするのが一番なのですが、その適度が難しかったりすることも。
ボーダーが着慣れていない人へのコツとしては、薄手の生地のものを選ぶとインもしやすく、落ち感も綺麗に作れるのでボトムスとのバランスが取りやすいです。
インのコツは、前と後ろの2点だけを、軽くウエストに引っ掛けると◎。ピシッと綺麗に入れるのではなく、ほんのり遊びがあるとこなれ感が出ます。お腹も隠れやすいです」
植村さん:
「ちなみに、毎年ボーダーを着慣れていて、ちょっと新鮮味が欲しいときには、ボトムスに花柄を持ってきても◎。意外なほどにボーターと花柄の相性はいいんですよ」
「暖かくなると、スカートを穿きたくなります。でも、自分にとってのスカート丈のベストが分からなくなりました。大人に、スタイルよく着こなしたいのですが、おすすめの丈感や生地、シルエットのコツはあるのでしょうか」
フレアなら長め。
ストレートなら短めも◎
植村さん:
「ガーリーさよりも、大人でスタイルよく着たいなら。サイズ選びで迷ったら、丈が長めの方を選ぶと、よりしっとりと着こなせます(シルエットをイメージしたときに、正方形に近い方が可愛らしく、長方形に近い方がしっとりとした印象になるんです)。
フレアスカートの丈の基準は、足首が隠れること。丈がしっかりあれば、ふんわりとしたスカートでも大丈夫です(ここで短くなると、若く、やんちゃな印象に)。ボリュームがあるほど、エレガントさが増すことも意識するといいかもしれません」
植村さん:
「より手軽に大人らしさを出すなら、ストレートのスカート(ナロースカート)もおすすめ。タイトスカートまではいかないシュッとしたシルエットで、大人っぽくなるんです。
ナロースカートは、
動きやすさもあるので、私自身、昨年からとても重宝しています。元々が長方形のシルエットなので、足首やくるぶしがしっかり出ていてもシックに仕上がります」
*
そんな植村さんの、素敵な大人のしつらえ講座。
後編では、差し色コーデと、モノトーンコーデそれぞれのコツを教えていただきます。
(つづく)
photo:濱津和貴
styling:植村美智子
もくじ
スタイリスト。雑誌や広告などで活躍し、2010年より個人向けファッションコーディネートサービス「Liltin’(リルティン)」もスタート。著書に『洋服の選び方』(マイナビ出版)、『「今の自分」に似合う服』(天然生活ブックス)などがある。
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