【春服マスター】後編:差し色も、モノトーンコーデも、春らしく。明日からできる、大人のおしゃれのコツをききました
編集スタッフ 糸井
クローゼットの奥には、春を待ちわびるブラウスやボーダーカットソー……のはずなのに、そんな気に入りだったものが、ふいに今の自分に似合わなくなることってありませんか?
でも、ちょっとしたコツを取り入れるだけで、また素敵に着こなせるそうなんです。
特集『春服、プロの着こなし』では、スタイリストの植村美智子(うえむらみちこ)さんに、春コーデの悩み事をお伝えし、そのコツから「素敵な大人」の装いを学びます。
後編では、差し色コーデと、モノトーンコーデの2つについてききました。
「春は、ピンクなどの差し色に挑戦したくなるものの、いざ自分の服に合わせるとなると、自信がなくてウジウジしてしまいます。失敗しにくいコツや配分はあるのでしょうか」
差し色は、1つでなく
2つ入れてみてください
植村さん:
「差し色を手軽に取り入れるなら、まずは小物で。コツは、1つではなく2つ取り入れること。
例えば、ピンク色のアイテムなら、似た色のピンクをどこかにもう1つ加えます。2つだとより目立つのかと思いきや、全体のバランスがとれ、変に浮くことがなくなるんですよ。
こういうときのトップスは、グレーが万能。なにかと邪魔をしない色なんです。白や黒だと、差し色自体がより目立つこともあるので、着慣れていない方はグレーを頼ってみてください」
植村さん:
「同色アイテムが2つもない場合は、ちょっと関係性のある色なだけでも◎。コーデにコントラストが出すぎず、いきなり感がなくなります」
▲オレンジ色の巾着に合わせるなら、真っ白ではなく、レース部分がほんのりと生成りなトップスを。これだけでも同系色となり、馴染みがよくなります。
植村さん:
「ちなみに、着慣れない色をトップスに持ってくる場合。ボトムスに悩んだら、デニムを穿いてみてください。不思議と強い色でも薄れて、馴染みます。
デニムの色はなんでもOKですが、ライトブルー系はフェミニンに。インディゴ系はシックに仕上がりますよ」
item data
ストール / MOISMONT(シュヴァルプラス)/ ¥10,450
スニーカー / NOVESTA(ノヴェスタジャパン)/ ¥33,000
「いつの季節も、春も結局、モノトーンな服に惹かれます。黒や紺など暗い色でも、春らしいコーデを楽しむならどんなところを変えるとうまくいくのでしょう?」
生地とシルエットを変えて
軽やかに行きましょう
植村さん:
「黒い人はいつの季節も黒が好きだったりしますよね。春らしさを出すなら、軽やかな要素を増やすといいですね。
素材はコットンや麻にしたり、シルエットはふんわりしたものにしたり。同じ黒でも、スミクロなどにして黒のトーンを上げるだけでもいいと思います」
植村さん:
「他に意識するといいのは、肌を見せること。袖を少しまくるだけで、軽やかになります。これも取り入れやすいコツです。
バッグは、黒でもちょっと光沢のあるものやメッシュ素材にすると、またひとつ軽やかさが出ます」
植村さん:
「でも、一番肝心なのは、足元を軽やかにすること。基本は白い靴を選ぶといいと思います。
私自身も、すぐ全身真っ黒コーデになるのですが、春はタイツを脱いで、ソックスを白にしたり、ソールが白いスニーカーにしたりと、足元を軽くしています。
白い靴の他に、ピンクのスニーカーや、カラーソックスでも。色で迷ったら、意外と黄色は使いやすいですよ。白に近いところにいるのに、白ほど強くもないので、デニムやチノパン、ホワイトパンツなどにもバッチリです」
▲ボトムスも、足首をちょっとのぞかせるだけで軽やかさが出ます。item data
白いスニーカー / NOVESTA(ノヴェスタジャパン)/ ¥33,000
お気に入りの春服に、ちょっとのコツを携えて
植村さん:
「最近は、はざまの季節が短くなってきたこともあり、コーデで悩まれる方も増えてきました。そもそも春と秋の区別がつけられないということも。
そういうときは、素材で考えるとわかりやすいんです。秋から冬にかけては『ベロアやファー』、冬から春にかけては『リネンや薄手のコットン』というように。
そして、どの季節にも通じるのがスウェットなので、私の春の定番もスウェットです。首元は、白インナーをチラリと見せ、ソールの白いスニーカーをいくつか揃え、軽やかに。これらを動員しつつ、今年も春を楽しめたらと思います」
▲植村さん愛用のスウェットと、白いソールのスニーカー。これらのアイテムは、いつでも見つけると買ってしまうそう。
そんな植村さんの、春の大人のおしゃれ講座でした。
なにかを素敵に着こなすには、いつも「適度な調整」が必要だけれど、それが結局難しい。わかるようでわからないからこそ、今回教わったことがすべて、かけがえのない知識に感じます。
なにより、たくさんのコツは、どれもちょっとしたことだから、明日からできる気にも。連日、鏡の前でイジイジとしている身ながら、春のおしゃれへの自信と意欲を分けていただいた気がします。
(おわり)
– 掲載アイテムのお問い合わせリスト –
シュヴァルプラス|TEL.03-5706-9575
ノヴェスタジャパン|https://novesta.jp/
photo:濱津和貴
styling:植村美智子
もくじ
スタイリスト。雑誌や広告などで活躍し、2010年より個人向けファッションコーディネートサービス「Liltin’(リルティン)」もスタート。著書に『洋服の選び方』(マイナビ出版)、『「今の自分」に似合う服』(天然生活ブックス)などがある。
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