【スタッフコラム】最近読んだ本・女性作家さんのつくりだす世界に引き込まれた2冊。
編集スタッフ 田中
(文・スタッフ田中)
共感も、違和感も、すこしの毒も、
すべてを許容する本と出会いました。
最近読んだ本、2冊の感想はどちらも女性作家さんの著書でした。
恋愛小説ではないのですが、なんだか不思議と「女性っぽさ」を感じる本で、共感も違和感もどちらもあって、久しぶりに本の世界に迷い込みました。
「小春日和(インディアン・サマー)」
金井美恵子著
けだるく、揺れうごく女性の感情に入り込む。
温泉宿の長女として育った主人公が、大学進学を機に、母の妹で小説家の叔母のところへ居候するところから始まる冒頭。そこからドンッと背中をおされて、本の世界へ落とされました。
なのに、途中何度もその世界から出たり入ったりを繰りかえしていた気がします。
正解とも不正解ともいえない人生が転がっていく様子が、東京・目白のおばさんと主人公の周囲で起こるのですが、主人公の女の子もなかなか毒っ気があり、気の強い一面を持っていて、自分なりの対応で大人たちとのやりとりが現れてきます。
ヒヤヒヤするし、ちょっぴり「そんな大学生活なの〜?」ともったいないような気もしてしまう若さゆえの行動に、共感も違和感ももちながら読んでいたから、本の世界への出入りを繰り返していて、ある意味どっぷりと主人公の感情に入り込んでいたのかもしれません。
あとから知ったのですが、この本は「目白四部作」と呼ばれる、連作の一冊目。1980年代、わたしがよちよち歩きをしていた頃のひとびとの市井が、そこに現れています。
このあと、大学生の女の子たちと、小説家の叔母さんと母と離婚して東京に住む父と、父の愛人や誰やかやと巡る日々が続くと知り、ヒヤヒヤするのを承知で読みたいと思いました。
小春日和(インディアン・サマー) (河出文庫―文芸コレクション) 金井 美恵子 |
「龍宮」川上弘美著
人間のもつ妖しさにまっすぐに対面した。
わたしは八百万の神、妖怪やもののけが登場する「遠野物語」や畠中恵さんの「しゃばけ」シリーズが大好きなので、”人と、人にあらざる聖なる異類との交情を、説話的な要素と日常のリアリティを融合させて描いた玉手箱のごとき8つの幻想譚。”(文庫本背表紙より引用)と書かれたあらすじをみて、「興味津々!」と読み始めました。
人ならざるモノが、現実世界と行き来する短編たち。蛸が地上にあがって人間として暮らしてみたら女性にモテたという話や、台所に宿る荒神さまの姿がみえてしまう主婦。
8篇のそれぞれがもつ妖しい雰囲気と、川上さんのその異質なものをさらっと書き、肯定している文章の世界に引き込まれていきます。今、自分の目の前に神様が現れても、驚かないかも?!と思ってしまうくらい。どれも人ならざるものが登場しますが、私にはひとり歩きした人間のもつ妖しさや狂気と対面してしまった気がしました。
龍宮 (文春文庫) 川上 弘美 |
暗めのストーリーの本や映画を
わざわざ選ぶ、その心とは?
ちょっと自分の輪郭があいまいになってしまうような感覚に、「その暗い話たのしいの?」となってしまうんですが、そういう話を沈んだ状態でしずかに読むのって、案外リラックスできるものだな〜というときもあるんです。
お天気の悪い日や、ちょっとブルーな気持ちの日、エンジンがうまくかからないなあなんてときに、暗めの本や映画をわざわざ選ぶ、という「自分いじめ」(笑)をすることで、ストンと落ちるとこまで落ちて、それまで落ち込んでいたことを忘れてしまう気がします。
ほら、涙活という言葉もあったくらいですし、涙を流してスッキリするというようなことなんでしょうか。たまに訪れる、女性らしいややこしい状態をも許容するような最近の読書リストでした!
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