【愛着が宿る革】第3話:永く使うために覚えておきたい、革のお手入れ。
編集スタッフ 齋藤
全3話でお届けしている「革」の魅力を探る特集。第1話と第2話では、革靴屋「そのみつ」のお2人にお話を伺いました。
革が経年変化し味わい深くなった姿は、言葉では言い表せない魅力があります。
そんな長年使うほどに育つ革製品ですが、汚れたりシミができたりしては残念な気持ちになってしまいますよね。
そこで最終話では、第1話で登場した常木(つねき)さんに「革のお手入れ」を教わりました。
今回は基本のお手入れとして「ブラッシング」「クリーム」「保管」を、そして「濡れてしまった場合」「飽きてしまった場合」についてもお聞きしました。
基本のメンテナンスに必要な4つのアイテム
1.革用の小さいブラシ2本(ブラッシング用とクリーム用)
2.革用の大きめのブラシ1本(ブラッシング用)
3.革用クリーム(最初は無色がおすすめ。※表面にコーティングしてある革などは、馴染まない場合があります)
4.綿の布(いらなくなったTシャツなどの端切れで大丈夫です)
細かなところは念入りに。ブラシングの方法
▲まるで歯ブラシみたいな靴用ブラシ。東急ハンズなどで100円もせず売っているそうです。
常木さん:
「革にとって乾燥は大敵。ほこりが付くとほこりが油分を吸い、乾燥をまねいてしまいます。なのでメンテナンスの中でも1番多くした方が良いのがブラッシング。長期保管をする時も、定期的なブラッシングをおすすめします」
3つのポイント!
1.革が傷つかないよう、撫でるように優しく。
2.糸目や、靴の場合はソールとの間など、ほこりがたまりやすい細かな部分は念入りに。
3.全体は大きめのもの、細かな部分は上の写真のような小さなものを使うと、ブラッシングがしやすい。
艶もアップ!クリームの使い方
常木さん:
「今回の革は長年使用していてシミなどがあるので、それを隠すためにも色付きのクリームを使用しています。ただ買ったばかりの頃はまだまだきれいだと思うので、無色がおすすめです」
クリームの使い方
[1]小さめのブラシに、クリームをつける。
[2]全体にクリームを薄く伸ばしていく。
[3]30分くらい風通しの良い日陰で乾かす。
[4]大きめのブラシで全体をブラッシング。
3つのポイント!
1.クリームは、ブラシの先に付くくらいの少量で。(※付けすぎると、最悪の場合シミになってしまうことも)
2.伸ばす時はクルクルと円を描くようにすると均一に伸ばせる。
3.秋冬は乾燥しやすいので、2〜3週間に1度くらいはクリームを。
たまに様子見を!保管の方法
常木さん:
「大切なのは、湿気を防ぐこと。例えばカビは、一度出来てしまうとそのときは拭いて取れるのですが、再発しますので気をつけたいところです。保管場所は風通しが良く、直射日光に当たらない場所にしてください。箱にしまっている場合は、たまに陰干してあげると、湿気が防げます。
またほこりも大敵ですので、ぜひ定期的に様子を見て、ブラッシングをしてくださいね」
濡れた場合はどうしたらいいの?
常木さん:
「一番やってはいけないのが、放置すること。時間が経つと取り返しがつかなくなってしまいます。革は濡れるとシミになってしまうため、濡らさないに越したことはないですが、それでもどうしようもなかった場合は、すぐに対応してください。
濡れた時はまず、全体を絞った布で水拭きします。これはシミを作らないため。そのままにしておくと、点々状の雨シミになってしまいます」
水拭きの仕方
[1]布に水を付ける。
[2]余分な水を拭う。
[3]見えにくいところにつけて、大丈夫か確認。
[4]全体を水拭き。
3つのポイント!
1.革によっては合わない場合もあるので、色落ちなどしないか見えにくい部分でしっかり確認。
2.乾かす時は日陰で自然乾燥。
3.乾燥させたあとは油分が抜けてしまっているので、クリームで保湿が必要。
水拭きしたすぐは色が濃くなり「大丈夫かな?」と不安になるかもしれませんが、しっかり乾燥させれば気にならなくなるそうです。ただ革の性質上、どうしても硬くはなってしまうそうです。
飽きてしまった場合の楽しみ方
常木さん:
「長年使っていると、どうしても飽きてしまう時があります。そんな時は色付きのクリームで、色を変えていくと楽しいですよ」
そう言って常木さんが見せてくれた靴は、4~5年履いたのちに、ネイビーのクリームを塗り込んでいったそう。黄色味が少しおさまって、落ち着いた雰囲気です。
常木さん:
「最初はそのままの色を楽しんだ方が良いと思うので、無色をおすすめします。けれどそこから先はぜひ好きな色に。小さなシミなんかも目立たなくなりますよ」
クリームの塗り方は基本のお手入れと一緒で大丈夫だそう。色合いも自分の好みに育ったら、さらに愛着がわきそうです。
第3話を通し革の魅力やものづくりへの想い、そしてお手入れまでご紹介いただきました。
ファッションとしての良さはもちろんですが、長い年月の中で多くの感情を育んでくれる素材である、という発見ができたように思います。
私もさっそく革と向き合う時間をとって、ゆっくり「愛着」を育みながらお手入れをしてみる予定です。
ぜひみなさまも「お手入れ」を試してみてください。
(おわり)
写真【木村文平】
もくじ
そのみつ
東京都谷中に店舗と工房を構える革靴屋さん。(工房は外からの見学のみ可能)多彩なパターンと好みの革の組み合わせを選び、足を採寸してからオーダー。約4〜6ヶ月の期間をかけ、職人が一つ一つ丁寧な手作業で制作してくれる。
http://www.sonomitsu.com/
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