【インテリア特集】第4話:かご&フックの使い方と、居心地のいい住まいづくりのポイントまとめ。
ライター 嶌陽子
東京・世田谷区等々力にある、家具と雑貨の店「巣巣」店主、岩﨑朋子さんの自宅を訪ねるインテリア連載・最終回です。
築40年以上のマンションの、古い味わいを生かしてリフォームした、心地よい住まい。
今回は、岩﨑さんの自宅にたくさんあった「かご」と「フック」を使った収納アイデアをご紹介。最後に、岩﨑さんが考える、居心地のいい住まいづくりのポイントをまとめました。
(※登場するアイテムは、全て私物です。過去に購入したものを紹介しているので、現在手に入らないものもございます。どうぞご理解、ご了承いただけると幸いです)
第4話
かご&フックの使い方と
居心地のいい住まいづくり
岩﨑さんの自宅のあちこちに見られる、かごやフックを使った収納法は、見た目がかわいく、かつ実用的です。
さっそく、かご類から見ていきましょう!
生活感のある物も、かごにまとめてすっきり。
ダイニングキッチンに置いてゴミ箱として使っているかごは、ラトビア製。
ラトビアのかごを、キッチンにある給湯パネルに、ひもをかけて吊るしている。ここにはキッチンクロスを収納。
毎年訪れているラトビアのかごや、バリ島のかご、日本の東北地方のかごなど、岩﨑さんの家にあるかごは、出自も形も、大きさもさまざま。
目を楽しませてくれるだけでなく、それぞれに役割をきちんと果たしている働き者ばかりです。
食器棚の上に置いてあったのは、青森のかご。ジャムの瓶やお菓子を入れている。
ラトビアのかごに、手紙やカードの明細書など、これから目を通すものをとりあえず入れている。目隠しにクロスをかけて。
柳の枝で編んだラトビアのかご。電源コードや充電器類をひとまとめ。
岩﨑さん:
「ラトビアのかごは、丈夫でたくさん入るので、とても重宝しています。ざっくり入れておくだけでOKだし、取っ手がついているものは持ち運びにも便利です」
洗面所に置いた、ラトビアのランドリーバスケット。隣の日本製のかごには、毎日使うドライヤーを収納。
ただ置いておくだけだと、何となくおさまりが悪く見えてしまうドライヤーのような生活用品も、かごに入れておくだけで、すっきりとした印象になっていますね。
ぜひ真似してみたいアイデアです!
フックで、飾りながら収納。
フック使いも上手な岩﨑さん。S字フックは、どこでも気軽にひっかけて使えるので、キッチンをはじめ、さまざまな場所で使っています。
お気に入りは、針金作家・森永よし子さん作のアルミ製S字フック。
岩﨑さん:
「以前、とある雑貨店で見つけ、味わいのある質感にひと目惚れしました。
ひとつひとつ手づくりなので、形が微妙に違うところもいい。『巣巣』でも扱っている人気商品です」
寝室にある長押(なげし)にも森永さん作のS字フックをかけて、かごや帽子などを吊るしています。
5〜6個並べて使うと、にぎやかで、楽しいリズム感が生まれますね。
古道具店で見つけた海外のアンティークのフックも活用。フローリング材の余った板につけて、フックボードにしました。
寝室入り口横の壁にとりつけて、帽子やバッグをかけています。
バスルームのドアの横に取り付けたフックには、バスタオルを吊るしていました。
それほど広くない洗面所やバスルームの場合、使ったタオルをどこにかけておくかは、悩みどころです。こんな風にフックに吊るしておけば、場所も取らず、見た目もすっきりします。
国内のメーカーのアルミ製フック.現在は取扱いがないそう。
「よく見てみると、私の家って、フックが多いですね」と笑う岩﨑さん。
壁面を有効活用する「吊るす収納」は、空間がより広く感じられます。インテリアのアクセントにもなるので、片付けが楽しくなるかもしれないですね。
他にもいろいろ吊るしていました。
岩﨑さんが自宅で「吊るして」いた素敵なものをあと少し、ご紹介します。
イケアで買ったカーテンクリップに、ラトビア製リネンの布の両端を縫ってはさむだけで、即席カーテンに。これなら、気軽にカーテンを替えられる。
食器棚の側面に吊るしてあったのは、友人からプレゼントされたワイヤーアート作家、関昌生さん作のコーヒーフィルターホルダー。
ギャラリースペースの古い木枠にフックをつけて吊るしていたのは、南米の飾り。
岩﨑さんの考える、居心地のいい住まい作りとは?
4回にわたってお届けした、岩﨑さんの自宅インテリア。
大人の女性のかっこよさとかわいらしさを併せ持つ岩﨑さんの笑顔には、周りの人を元気にする力があります。
最後に、そんな岩﨑さんの考える、「居心地のいい空間作り」のポイントを聞いてみました。
見せる収納で、物を増やし過ぎない
岩﨑さんの自宅では、オープン棚やかごに入れたり、吊るしたりといった「見せる収納」がほとんど。それでも、雑然として見えないのは、実はそれほど物量が多くないということが見えてきました。
岩﨑さん:
「物が多すぎるのは、私にとっては居心地が悪いこと。何があるかが常に見える状態だと、物が増えてくるとすぐに分かるので、定期的に整理・処分もできます。同じ物をまた買ってしまうという失敗も少ないです」
背の高すぎる家具を置かない
岩﨑さん宅の本棚やCDラック、食器棚、冷蔵庫は、どれも少し低め。
岩﨑さん:
「もっと収納したいからといって、あまり背の高いものにしてしまうと、圧迫感が出て落ち着かないんです」
あまり広くない空間でもゆったりと感じるための、重要なポイントですね。
さらには、「低めの家具だと、上にちょこっと物を飾ったりもできますよ」とのことでした。
「本当に好きなもの」しか置かない
自分が心から好きだと惚れ込んでいるものだけを置いている岩﨑さん。そこに妥協はありません。
岩﨑さん:
「物それ自体から、心地よい『気』が出ていると思っているんです」
どのアイテムも自分の感性で真剣に選んだものなので、さまざまな物が外に出ていても、全体にどこか統一感が出て、落ち着いた雰囲気が生まれています。
岩﨑朋子さんの自宅インテリア紹介は、これでおしまいです。
穏やかな空気が漂う中に、遊び心が程よく散りばめられた住まい。
この空間が心からくつろげるのは、岩﨑さんが、日々の丁寧な暮らしを通じ、「自分にとっての心地よさ」とは何かを考え抜いたから。そう感じた取材でした。
(おわり)
【写真】木村文平
もくじ
こちらも合わせてご覧ください
岩﨑 朋子
シンプルで機能的な家具や雑貨を集めたお店 「巣巣」 店主。「鳥が巣をつくるときのように、気に入った家具や雑貨を集め居心地のいい空間をつくり上げてほしい」という思いから、店内には無垢材など上質の天然素材でできた家具や雑貨が並ぶ。巣巣の家具デザインも担当している岩﨑さんご自身がデザインした巣巣オリジナルの家具や、アジアのアンティーク家具も。お店は月曜定休、東急大井町線等々力駅より徒歩10分。http://www.susu.co.jp/
ライター 嶌陽子(しま ようこ)
編集者、ライター。大学卒業後、フリーランスでの映像翻訳や国際NGO職員を経た後、2007年から出版社での編集業務に携わる。2013年からフリーランスで活動を始め、現在は暮らしまわりの記事や人物インタビューなどを手がける。執筆媒体は『クロワッサン』(マガジンハウス)、『天然生活』(地球丸)など。プライベートでは1児の母として奮闘中。
▽岩﨑さんの著書はこちらからご覧いただけます。
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