【ノルウェー日記番外編】映画「かもめ食堂」のあのレストランに潜入!焼き菓子作りも体験してきました。
ライター 桒原さやか
あの「かもめ食堂」がフィンランドで開店!?
映画『かもめ食堂』の撮影が行われたまさにその場所で、「Ravintola KAMOME(ラヴィントラかもめ)」というレストランがオープンしたのは、今年4月のこと。
インターネットでそんな情報を入手してから、どんな場所だろう?とずっと気になっていたんです。
『かもめ食堂』は何度も見返している映画で、インテリアに憧れて映画に登場するフィンランドのポットを買ったこともあるほど。見るたびに、やっぱり北欧の食器やインテリアって好きだなぁ〜と、再確認させてくれる映画でもありました。
そして先日のこと、この連載でやりとりをしている「北欧、暮らしの道具店」の編集チーム津田さんから、突然メールが届いたんです。
「フィンランドに新しくオープンした『ラヴィントラかもめ』の取材に行ってみませんか?」
ずっと行ってみたかった場所だったのでビックリ!「行かせてください!」とすぐに返事を書きました。
そこからはお店へ取材の依頼をしたり、飛行機のチケットを手配したりと、バタバタと用意をして、ついにあのレストランへ取材に行くことが決まったのです。それが11月のことでした。
出発の空港での一枚。緊張のあまり、若干顔が固まっている、わたし桑原です。笑
念願のあの場所へ取材に行けるなんて!と浮かれていましたが、いざ冷静になると海外での取材はこれがはじめて……。ちゃんと取材ができるかどうか、不安な気持ちもありつつも、まずは張り切って行ってきまーす!
ドキドキしつつ、あのレストランへ向かいます!
ヘルシンキに到着!こちらは雪がすこし降っていて、すっかり冷え込んでます。
ちょっと歩いているだけで、可愛いインテリアショップや、オシャレなカフェがあちこちにあるんですね。到着してすぐに、この街好きだわ〜と思いました。
中心街から歩くこと10分。レストランが近づいてくると、ドキドキ緊張してきます。
おおお!ありました!この看板を見ただけで、すでにテンションが上がりますー。
ヘルシンキの透き通った水色の空と、看板がよく合っていて、すっかり町の雰囲気になじんでいます。それでは早速、中にはいってみましょう。
水色の壁とシンプルなインテリアが、素敵〜!
店内をしばらくキョロキョロと眺めてしまいます。北欧ブルーの腰壁など、映画の世界観を残しつつ、よりシンプルで居心地のいい空間になっているんですね。
店内から窓の外を眺めては「こんな景色を主人公サチエさんも見ていたのかしら?」なんて、想像してしまいます。
気持ちは主人公のサチエさん?フィンランドの焼き菓子に挑戦!
レストランのすぐ隣は最近完成したばかりだという、お菓子作りなどを体験できるワークショップスペースになっています。まずはこちらにお邪魔しました。
看板のオレンジ色が新鮮〜!新しいスペースにはAtelier(アトリエ)と書いてあります。
中にはいると待っていたのは、左からスタッフのアンジェラさんとシェフのジェラルドさん。
新しいワークショップスペースは、オレンジ色の壁に日本の食器やフィンランドの雑貨が並んでいて、日本とフィンランドがまさに絶妙なバランスで組み合わさった空間でした。
いよいよワークショップがはじまるというタイミングで、運ばれてきたのはシャンパングラス!
「あなたはこのワークショップの、はじめてのお客さんなのよ。みんなで乾杯しましょう!」
わたしが訪問するころにちょうど完成予定と聞いてはいたものの、まさかはじめてのお客さんだとは!(ワークショップは2017年に開店予定です)
恐縮しつつも、スタッフのみなさんとシャンパンをありがたくいただき、和やかにワークショップがはじまります〜。
今日の先生は、シェフのジェラルドさん。
シナモンロールのワークショップも開催予定とのことですが、ちょうどクリスマスに近い時期ということもあり、今回はフィンランドのクリスマスの伝統焼き菓子「Joulutorttu(ユールトルットゥ)」を教わります。
簡単に説明しますと、パイ生地にプルーンのジャムを包んだペイストリーのような感じです。
材料を混ぜ合わせて、生地を練るところからはじまります。
ワークショップがはじまってからは、まさに真剣モードでした。というのも、材料や作り方の説明はすべて英語なので、聞き逃さないように必死なのです!
海外に住んでいることもあって、そろそろ英語にも慣れたいところなのですが、まだまだですねえ……。そんなわたしに、何度もていねいに、ジェラルドさんが教えてくれます。
ふと外を見てみると、地元のフィンランドの人たちが「この新しい場所はなんだろう?」とのぞきこんでいます。映画の中にも、こんなシーンがあったような?
まるで主人公のサチエさんみた〜い!と、一人勝手に盛り上がってしまいました。笑
生地ができたら、プルーンのジャムを包んで、星の形に成形したら出来上がり!ていねいに教えてもらったおかげで、なかなかなか上手にできたんじゃないかと思ってます。あとは焼きあがるのを待つだけです。
いよいよ「かもめ食堂」でいただきます!
焼き菓子が出来上がるのを待っている間、今度は隣のレストランへ移動して食事をいただくことに。
メニューを見てみるとフィンランド伝統料理とともに、おにぎりや親子丼などの日本食も並んでいます。フィンランドの人たちは日本食に興味津々で、新しい味に挑戦する方も多いのだとか!
まさにあの映画の続きの世界がここにあるようで、うれしいなあ。
お店で漬けたというキムチや、旬の食材を使ってつくられた煮魚など。どれも繊細な味で、すばらしくおいしかったです!
わたしは日本食の小鉢をちょこちょことオーダー。こちらの写真の他にも、ブリの照り焼きやお蕎麦をいただいたのですが、繊細なのにどこか懐かしさも感じる、ホッとする味でした〜。
ノルウェーに住んでいると手の込んだ日本食を食べる機会がなかなかないので、ひさしぶりに日本の味がカラダにジワーッと染みわたります。
こちらはお店の看板メニューという「おいしいフィンランドボックス」。
旅行でフィンランドを訪れた人たちが、短い滞在の間にいろんな種類のフィンランド料理を楽しんでもらえるようにと考えられたのだとか。ちいさなシナモンロールがついてくるのも、いいですよね。
最後はコーヒーでホッと一息。
ちょうどデザートの時間に、先ほど作ったフィンランドの焼き菓子ができあがりました。きれいに焼きあがっていて、うれしい!
カウンターではヘルシンキで焙煎したコーヒーを、ていねいに淹れてくれています。
この光景を見ていたら、思わず頭に浮かんだのが映画のワンシーン。主人公サチエさんがおいしいコーヒーのおまじないとして「コピルアック」って唱えていたなあ……。
はぁ〜、すっかり映画の世界に浸って、コーヒーと焼き菓子までいただいて、満喫させてもらいました〜。
ふと店内を見渡すと他のお客さんも、コーヒーを飲みつつゆっくりしている方がちらほら。居心地がよいのでわたしも気がつけばかなりの時間、長居していました。そろそろ帰らなくては。
最後はスタッフの方たちが店の外まで見送りにきてくださり、お礼を言ってお店を後にしました。
日本とフィンランドをつないでくれる、レストラン。
ワークショップで作った焼き菓子のお土産をもたせてもらい、ホクホクな帰り道。
取材に来る前はドキドキ緊張していましたが、あたたかく迎えてくれたスタッフの方たちのおかげで、楽しい取材の時間になりました〜。
映画「かもめ食堂」の公開から、すでに10年。今でも映画の舞台となったあの場所で、少しずつ形を変えながら、こうやってレストランが続いているなんて夢があるなあ。
きっとこれからも日本とフィンランドをつなぐ場所として、続いていくのでしょうね。
お世話になったラヴィントラかもめのみなさん、本当にありがとうございました!
実際にレストランへ訪れてみたら、また映画「かもめ食堂」が観たくなってきました。おいしいコーヒーを淹れて、もう一回見直してみようと思います。
『Ravintola KAMOME(ラヴィントラかもめ)』
住所:Pursimiehenkatu 12, 00150 Helsinki
営業時間
月~木:11:00~14:30 & 17:00~22:00
金:11:00~14:30 & 17:00~22:30
土:17:00~22:30
【写真】Ravintola KAMOME提供(上から2、3、6、7、11、12枚目のみ桑原撮影)
ライター 桑原さやか
『北欧、暮らしの道具店』で、お客さま係として6年間働いていた元スタッフ。旅が好きで、冬の旅行で訪れたノルウェーの北極圏にある町、トロムソに一目惚れ。スウェーデン人の夫と共に、2016年6月より移住をはじめている。
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