【インテリア特集】第2話:IKEA・無印良品・DIYを組み合わせて、キッチンをセルフリノベ
ライター 嶌陽子
システムキッチンを使わない、自分らしいキッチンづくり
インテリア連載vol.12は、インテリアスタイリストの石井佳苗さんの新居。昨年5月に引っ越した中古マンションの内装を、セルフリノベーションとDIYで作り上げました。
インテリアや収納のアイデアはもちろん、将来、中古マンションをリノベーションをして住みたいと考えている人にとっても、参考になるヒントが満載。
今回は、石井さんが一番こだわったというキッチンをご紹介します。
※登場するアイテムは、全て私物です。過去に購入したものを紹介しているので、現在手に入らないものもございます。どうぞご理解、ご了承いただけると幸いです
第2話
セルフリノベ&DIYのキッチン
IKEA・無印良品・DIYを組み合わせて
コンパクトなキッチンスペースには、石井さんのこだわりが詰まっています。
石井さん:
「私にとって、キッチンも大切なインテリアのひとつ。好きな家具を置くという感覚で作りました」
無印良品の冷蔵庫、IKEAのワゴン、自ら探して購入したガスコンロ、DIYで作った木のワゴンがぴたりと収まっています。
ガスコンロはクラシックな雰囲気が気に入ったというアメリカの「アマナ」のもの。
DIYでつくったキャスター付きワゴンにはボウルやガラスコップ、キッチンクロスなどを収納しています。
▲収納するもののサイズに合わせて引き出しの高さを決めた
IKEAのスチール製ワゴンには鍋類と食材が入っていました。
限られたスペースなので、壁面も有効に活用。
キッチンの壁も第1話で紹介した「自由な壁」なので、釘やネジを好きな場所に打って、棚をつけたり、ざるやカッティングボードをひっかけたりしています。
棚に置いているカトラリーや道具は素材や色合いを統一し、それ以外のものはワゴンの中にしまっていました。
ひとつひとつ、好きなものを組み合わせて作るキッチンは、世界にひとつだけの、オリジナリティあふれるものに。
毎日の料理もいっそう楽しくなりそうです。
タイルや壁の色で、印象はがらりと変わる
キッチンのアクセントになっているのが、壁に貼られている黒いタイル。
「平田タイル」の “Glaze” という種類です。よく見ると深緑の部分もあって、味わいがあります。
石井さん:
「タイルは、サンプルを色々取り寄せて、実際に見たり触ったりして確かめました。それと、施工例の写真を見て、敷き詰めたらどうなるかもイメージしました」
また、キッチンの壁は2面だけ薄いベージュカーキ色。石井さんが自分でペイントしました。
▲使用したのは「COAT PAINT & GOODS STORE」で調色してもらった「グラスペイント」というペンキ
ダイニングの白い壁とのコントラストが新鮮。タイルとの相乗効果もあり、キッチンに立つと気分が変わります。
石井さん:
「壁は2面だけ塗るのでも雰囲気はがらりと変わりますよ。後で塗り替えたいときも面積が大きすぎないので楽です」
「ぴったりサイズ」を叶えた、理想のキッチンカウンター
キッチンの主役は、石井さんがDIYで作ったシンク付きのシンプルなカウンター。専門家の指導を受けながら作りました。
配管が入っている壁の幅にぴったり収まっているこのカウンター、実は綿密に考えられたサイズなのだそうです。
石井さん:
「建築工事では、『墨出し』といって、工事の時に必要な線や位置を壁や床に記す作業があります。要は、壁などの幅を決めていく作業です。
この『墨出し』に立ち会ったことは、私にとってすごく勉強になりました。
実はカウンターのサイズを決めるために、最初に関係してくるのはリビングのドアなんです。
ドアを開けた時にきれいに見えるよう、ドアの大きさから袖壁(冷蔵庫とドアを開けて入る通路の間の壁)の幅を決めました。
そこから連鎖して、動線を考えながらカウンターのサイズを決めていくんです。
また、タイルも中途半端にカットしなくていいように、出っ張っている壁もタイルのサイズに合わせて作り直しました。
最後に、壁にぴったりおさまるように、カウンターの奥行きを決めたというわけです」
タイルが美しくはめられた壁にぴたりとおさまったカウンター。その背景には、こんな緻密な工夫があったのです。
石井さん:
「もしもタイルやドア、家具などを自分で選ぶ場合は、早めに決めて職人さんに伝えることをおすすめします。それに合わせて、壁などのサイズが決まってくるので。
また、リノベーションを専門家に任せる場合でも、何度か現場に足を運ぶと、色々と相談しながら決められるので、あとで『こんなはずじゃなかった』というトラブルも回避できます。
休憩時間などに、ちょっとした差し入れを持って現場を訪れて、コミュニケーションをとるように努力したいものです。職人さんたちへのリスペクトと気配りを忘れずに!」
かごや木箱を活用!キッチンの収納アイデア
▲オープン棚では、イタリアのデザイナー、エットレ・ソットサスのペッパーミルやワインオープナーがアクセントに。
収納スペースが少ない石井さんのキッチン。
さまざまなモノを使って、器や調味料、キッチンツールを上手に収納しています。
深さのあるカゴには調味料の瓶やウィスク、マッシャー、ハンドソープなど、比較的背の高いものを収納し、カウンター下に置いています。
毎日のように使う湯呑みは大皿に並べて、カウンターの上に。
炊飯器、羽釜、おひつは古材を使ってDIYしたキャスター付きの箱に入れていました。
石井さん:
「キャスター付きにすると、掃除の時に楽に動かせるし、床も傷つけないので、とてもおすすめです」
食器の水切りカゴも、石井さんがひと工夫したオリジナルです。
石井さん:
「気に入った水切りカゴがなかったので、コンランショップで買ったお鍋に、100円ショップなどで売っている水切りマットをカットして敷きました。
珪藻土のボードも水切りとして使用しています」
「キッチンとはこうあるべき」というイメージにとらわれず、「インテリアを楽しむ」という気持ちで作ったキッチン。
同時に、使い勝手や動線もきっちり考えられていました。
次回は、古材で作ったという大きな食器棚が主役のダイニングスペースをお届けします。
どうぞお楽しみに!
(つづく)
【写真】木村文平
※石井さんの新居作りのプロセスや、この連載で紹介するDIYアイテムの作り方は、近著『Love Customizer No.2 DIY×セルフリノベーションでつくる家』(エクスナレッジ)で詳しく紹介されています。
もくじ
石井 佳苗
インテリアや暮らしまわりのスタイリスト。ウィンドウディスプレイやプロモーション、商品開発、講師などにも、活躍の場を広げている。近著『Love Customizer No.2 DIY×セルフリノベーションでつくる家』(エクスナレッジ)はじめ、インテリアやDIYにまつわる著書多数。https://www.instagram.com/kanaeishii_lc/
▽石井佳苗さんの著書の一部
ライター 嶌陽子(しま ようこ)
編集者、ライター。大学卒業後、フリーランスでの映像翻訳や国際NGO職員を経た後、2007年から出版社での編集業務に携わる。2013年からフリーランスで活動を始め、現在は暮らしまわりの記事や人物インタビューなどを手がける。執筆媒体は『クロワッサン』(マガジンハウス)、『天然生活』(地球丸)など。プライベートでは1児の母として奮闘中。
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