【明日できる、おもてなし】第1話:「ゲストが喜ぶ」と「手間をかけない」は両立できる?
ライター 嶌陽子
「ゲストが喜ぶ」と「手間をかけない」は両立できる?
転勤や入園、入学など、春は出会いの季節。新しく知り合った職場の仲間や、ママ友たちを家に招いて、ちょっとしたホームパーティーをする機会も多いのではないでしょうか。
でも、いざ人を家に呼ぶとなると、どうしても気をつかうもの。あまり手間をかけたくはないけれど、ゲストには喜んでもらいたいし、やっぱり「センスいい!」とも思われたい。
気がつくと力が入り過ぎてしまって、当日はぐったり。自分はあまり楽しめなかった、なんてことはありませんか?
そこで今回は、気軽にできて、しかもゲストの印象に残るテーブルコーディネートや、部屋のしつらい、ゲストへのちょっとした気遣いを全3話にわたってご紹介していきます。
教えてくださるのは、料理家の河井美歩(かわい みほ)さん。ご自宅や神楽坂で料理教室Cocochiを主宰する他、レシピ本も出されています。
4歳の男の子の母親でもある河井さんは、普段からママ友などを自宅に呼んでホームパーティーをしているそうです。
簡単かつ華やかな見た目になる料理や、手軽だけれどおしゃれなテーブルコーディネート、ゲストのかゆいところに手が届く心配りなどについて、ご自宅に伺って教わってきました。
第1話
テーブルコーディネート編
おもてなしの主役は、やっぱり料理が並んだテーブル。
普段の食卓とは勝手が違うテーブルコーディネートの方法に、あれこれ悩むことも多いはずです。
そこで、私たちがよく悩んでしまうあれこれを河井さんにぶつけてみることにしました。
テーブルに器が乗り切らないときは…
料理がのった大皿、取り皿、グラス……。気づいたら、テーブルに乗り切らず、困ることはありませんか?
そんな悩みは、 即席 「コの字テーブル」 をつくるというアイデアで解決!
河井さん:
「以前、友人の家で見て、まねしてみようと思ったアイデアです。100円ショップで売っている発砲スチロールブロックを脚にして、上に大きめのトレーを載せるだけ。
トレーの下、脚の間の部分に小皿などを置けるのでスペースを有効活用できるんです。
大きなサイズのトレーがなければ、100円ショップで大きめの板を1枚買っておくのも手ですよ」
トレーの上には、空きグラスや取り分け用のお皿を置いたり。食卓に高低差を出すことで華やかさもアップする、便利なアイデアですね。
箸も箸置きも、人数分なかった!
▲紙ナプキンの上にローズマリーの枝をあしらうだけで、おもてなし度がアップ
意外と悩むのが、箸やカトラリーの類。とつぜん大勢が家にくると、人数分なかった!ということも。
そんな時は、使い捨ての割り箸やカトラリーを使って、洗い物時間を短縮させてしまうのもひとつの手。味気ないのではと心配にもなりそうですが……。
河井さん:
「我が家では、よく葉っぱをアルコールで拭いて、箸置き代わりにしています。
家に飾っているドライユーカリなどの葉や、いただいたブーケの葉、なければ近所の公園などで拾ってきてもいいと思いますよ。
食卓にフレッシュなグリーンが加わると、割り箸など簡易的なものを使っても 『ひと手間』 の印象が出ますよね」
華やかな一品料理があれば、大助かり。
一度に何品も作るとなると、もてなす側は大忙し。おもてなしのハードルも高くなってしまいます。
だからこそ、一品料理がグッと華やかであれば……。
河井さんは、手間がかからず見た目も豪華な 「サラダちらし寿司」 をよく作るのだそうです。
作り方はいたって簡単。酢飯を用意しておき、その上に好みの野菜、そしてサーモンやいくらをふんわりと散らすようにのせるだけ。好みのドレッシングをかけていただきます。
河井さん:
「リーフレタスや水菜といった葉もの野菜のほか、ラディッシュやオクラ、グリーンピース、ミニトマトなど、彩りも考えながら、7種類くらいのせています。
グレープフルーツやキウイなども切って入れると、爽やかさも加わるのでおすすめです」
▲上に散らした花は「エディブルフラワー(食用花)」。河井さんは苗ごと買って、ベランダで育てているとか。
河井さん:
「普通のちらし寿司よりずっと手軽に作れるのに、これ一品で十分なくらい華やか。野菜は季節にあわせて好みのものを使ってくださいね。
子どもが多い集まりの場合は、サーモンやいくらの代わりに、ハムやツナなども喜ばれますよ」
食事中のテーブルにお花を飾るなら…
花はぜひ飾りたいけれど、スペースをふさいでしまったり、料理を取り分ける際に邪魔になったり……。
食卓のお花は、案外むずかしいものですよね。
河井さん:
「食卓に置く花は、圧迫感の出る大きなものは避けて、背の低いものにします。
お茶碗や小さめの深皿などに一輪だけ活けるだけでも。これならスペースも取らないし、料理を取る際にも邪魔になりません。
また、花を選ぶ際には料理の邪魔にならないよう、香りの強いものは避けるのがおすすめですよ」
葉っぱの箸置きや花の飾り方など、まねしたくなるアイデアが色々と登場したテーブルコーディネート編。最後に、河井さんに普段から意識していることを聞いてみました。
河井さん:
「お料理にはなるべく旬の素材を使いますが、それだと同じような色になってしまいがち。だから、赤などのビビッドな色の料理をひとつくらいは入れるようにしています。それだけで、色合いにメリハリが出て、華やかさが増すと思いますよ」
次回は玄関、洗面所、トイレなどといった、ゲストが必ず出入りする場所でのアイデアについてお届けします。お楽しみに!
(つづく)
【写真】岩田貴樹
河井美歩(料理家)
徳島生まれ。大学卒業後は大手料理教室で10年間勤務の後、2009年から茨城県つくば市と東京・神楽坂で、季節の素材を大切にした野菜が主役の料理教室 Cocochi を主宰。「レシピ検索では見つけられないような料理」、そして「ヘルシーで身体に優しいけれど、家族も喜ぶような料理」を基本としたレシピを日々考案している。著書に 『バター・卵なし! しっとり、もちもち! はじめてのおいしいフォカッチャ』(主婦の友社)がある。
ライター 嶌陽子(しま ようこ)
編集者、ライター。大学卒業後、フリーランスでの映像翻訳や国際NGO職員を経た後、2007年から出版社での編集業務に携わる。2013年からフリーランスで活動を始め、現在は暮らしまわりの記事や人物インタビューなどを手がける。執筆媒体は『クロワッサン』(マガジンハウス)、『天然生活』(地球丸)など。プライベートでは1児の母として奮闘中。
▽河井さんの著書はこちら。
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