【インテリア特集】第3話:スチールラックが見違える。くつろぎダイニングの作りかた
ライター 嶌陽子
木の板ひとつで、くつろぎの空間に。
料理家、こてらみやさんのお宅にお邪魔しているインテリア特集。
第3話は、食事の場だけでなく、こてらさんが事務作業や執筆をする場でもあるというダイニングをお届けします。
アンティークの家具と、夫婦がDIYでつくった家具。それぞれが存在感を放ちながらも、違和感なく並んだ空間。
ひとつひとつの家具をじっくり見せていただきながら、全体的に落ち着いたトーンを作り上げる秘訣を探ります。
※登場するアイテムは、全て私物です。過去に購入したものを紹介しているので、現在手に入らないものもございます。どうぞご理解、ご了承いただけると幸いです。
第3話
色と素材感を統一したダイニングルーム。
障子の光を背にした、2つの棚。
リビングとステップフロアでひと続きになっているダイニングにも、長年使っているという、趣のある家具が置かれていました。
ダイニングテーブルと椅子はACME FURNITUREで購入。椅子の座面は最近、自分で張り替えたばかりだそうです。
障子窓からの優しい光を背にした棚もアンティーク。
これは以前、東京にあった「温故知新」というアンティーク店のもの。こてらさんが28年前、京都から東京に出てきた際、お姉さんに買ってもらったものだそうです。
お手製のびわの種エキスやクローブチンキを入れたガラス瓶や、骨董市で購入した薩摩錫の茶壺、ティーポットなどが並んでいました。
落ち着いた雰囲気のアンティーク家具が並ぶ中、目を引くのが、新しい板を使ったシンプルな書棚。
他の家具より色のトーンが一段明るく、ちょうどよいアクセントになっています。
実はこれ、夫の信也さんがDIYでつくった棚だそうです。
こてらさん:
「ある時、私がしばらく旅行に行っていて帰ってきたら、これができていたんですよ(笑)」
インテリアの好みは夫婦とも同じ。この住まいも、自然と2人で作り上げてきたようです。
ステンレスの棚も、木板と組み合わせれば馴染みやすい。
キッチンの入り口近くには、うつわを収納するステンレスのワイヤーラックがありました。
印象的なのは、ステンレスの上に置かれた木の板、そして、同じ板で作られた引き出し。これも、こてらさんがつくったものです。
こてらさん:
「ステンレスの面に陶器などを直接置くと、ガタガタするし、傷つきそうなので、その対策として板を入れました。
もうひとつの目的は、部屋の雰囲気と馴染むようにすること。ステンレスだけだと、木の家具が多いこの空間の中で浮いてしまいそうだったので。色も自分で塗って、他の家具と合わせました。
さらに、引き出しもつくって、こまごまとしたものも入れられるようにしたんです」
木の板を入れるだけで、無機質なステンレスの棚が温かな表情になり、アンティークの家具などと違和感なく馴染んでいます。
「なるほど!」と思わせられるアイデアでした。
もうひとつ、キッチンの入り口近くに置かれたステンレスの棚には、木のうつわがずらり。そのほとんどが、親交のある木工作家、須田二郎さん作のものです。
普段から、さまざまな料理を盛りつけて使っています。
そんな須田さんのうつわは、なんとダイニングのランプシェードにもなっていました。
こてらさん:
「側面に穴が空いたものを須田さんから譲り受けて、何かに使えないかなと考えていたところ、これを思いついたんです。底に当たる部分に穴を空けて電球を通しました」
側面の穴からもれる光は、温かな雰囲気。
柔軟な発想が、個性的なアイテムを生み出していました。
色を合わせてDIYした、カップ専用の飾り棚。
こてらさん自作の家具は、まだあります。小さなグラス類やカップ専用の棚。大小2つ、壁にかかっていました。
ロイヤルコペンハーゲンの古いものや、国内の陶芸作家の作品など。少しずつ集めてきたグラスやカップが、飾るように収納されていて、目を楽しませてくれます。
こてらさん:
「小さなカップ類は、棚の奥のほうにしまってしまうと、目に入らないし、取り出しにくいので、結局使わなくなってしまうんですよね。
この棚をつくってからは、使わないカップがなくなりました」
この棚もダークブラウンに塗られているため、存在感がありつつも、他の家具とうまく馴染んで、インテリアに溶け込んでいます。
家具やモノの数はけっして少なくないものの、ごちゃごちゃした雰囲気がなく、ほっとくつろげる、こてらさんのダイニング。
その秘訣は、木という素材や、ブラウン系の色などを緩やかに統一していることにあるのかもしれません。
次回、最終回では、こてらさんお気に入りのうつわと、大事なうつわを傷つけないように実践している収納法を紹介します。
どうぞお楽しみに。
(つづく)
【写真】キッチン・ミノル
もくじ
こてらみや
料理家。日々の楽しみは自宅のベランダで収穫した果物や野菜でびん詰めを仕込むこととDIY。裁縫も得意でエプロンやトートバックも手作りする。京都の実家が骨董店ということもあって、うつわや家具も古いものが好き。
▽こてらさんの著書はこちら!
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