【パン屋のまかない】第4話:おいしいものへの好奇心で、尽きないレシピ(ヨシダベーカリー)

編集スタッフ 奥村 編集スタッフ 奥村

あのパン屋さんの「まかない」を、のぞいてみたい。

いつ行っても、おいしいパンが並び、気持ちのよいサービスがある。

そんな居心地のいいパン屋さんの秘訣は、スタッフさんの日々のごはんにあるのでは?

この連載ではわたし奥村が、気になるパン屋さんのふだんの「まかない」現場におじゃまします。

 

心地よい店内も楽しむ。インテリアのこだわりが光る「ヨシダベーカリー」

今回訪れたのは、東京・富士見ヶ丘にある「ヨシダベーカリー」。

京王井の頭線沿線の、のんびりとした時間が流れる住宅街。ぽつりぽつりと商店が並ぶ通り沿いにあるお店は、目立った看板もなくシンプルな外観。うっかりすると通り過ぎてしまいそうなほど、街並みにそっと溶け込んでいます。

店内におかれたのは、どこか古道具を思わせる白木のショーケース。バゲットや食パンといったベーシックな食事パンから、色とりどりの具材がのったタルティーヌ、タルトやケーキなどの焼き菓子まで、幅広いジャンルのパンが並べられています。

お店へ入った瞬間に感じるのは、不思議な心地よさ。

壁に飾られたドライフラワーのリースや、アンティーク調の雑貨、店内に静かに流れるクラシックの音色……パン屋さんにはちょっと珍しい、そんなインテリアも魅力のうち。ここには、パンを選ぶ時間も含めて、お店に行く体験ごと楽しみたくなるような穏やかな空気が流れています。

「雰囲気の良いお店にしたいと思っています。パンだけじゃなく、スタッフの人柄やディスプレイ、内装まで、すべてが雰囲気作りの大事な要素です」と話すのは、店主の吉田稔(よしだ みのる)さん。今回のまかないの作り手です。

 

今日のまかない、見せてください!

厨房でおいしそうな匂いを漂わせていたのは、クリームソースのニョッキ。実はこれ、なんとパンから出来ているそうなんです。

吉田さん:
「これは『カネデルリ』というイタリアの家庭料理です。前日に余ったパンを牛乳で柔らかくして、小麦粉とひき肉、調味料を加え、丸めて茹でたもの。今日はきのこ入りのクリームソースで煮込みました」

器に盛り付け、赤キャベツのザワークラウトにグリーンサラダ、オーブンでローストしたかぼちゃとカンパーニュを添えて。まるで「まかない」とは思えない、立派なワンプレートディッシュの完成です。

 

余ったパンを、おいしく食べる工夫はさまざま

▲休憩の合間、とってもおいしそうな笑顔を見せてくれた販売スタッフさん

まかないは毎日、遅番で入ったスタッフさんと吉田さんの早めの晩ごはんとして夕方に作られます。

「毎日違うメニューをふるまってくれるから、まかないが皆の楽しみなんです。昨日は手打ちパスタでした。餃子やうどんの日もあって、シェフが皮や麺から手作りしているから、どれも本当においしいんです」

そう話すスタッフさんの弾む声にも納得。吉田さんにまかないのラインナップを尋ねると、次から次へと料理の名前があがり、どうやらレシピは尽きることがなさそうです。

吉田さん:
「冬場は『リボリータ』というパンの煮込みを作ります。夏はパンにトマトなどの生野菜を和えた『パンツァネッラ』というサラダが多いですね。どちらもイタリア料理で、知り合いの料理店で食べたらおいしかったから、まかないにもと思って取り入れました」

まかないの基本ルールは、余ったパンやパン作りに使う小麦粉でおいしいものを作ること。けれどそこに「義務感」は一切なく、まかないを作る吉田さんは、メニューの考案や研究を心から楽しんでいるように見えます。

 

「もっとおいしく」を目指すほど、作ることは楽しくなる

▲厨房で次々とパンを仕上げていく、店主の吉田稔さん

まかない一品に対する高いモチベーション。その姿勢はどこから生まれてくるものなのでしょうか?

吉田さん:
「パン屋の仕事は、毎日が同じ作業の繰り返し。慣れてしまえば、何も考えず『こなす』ことだってできてしまいます。

でも『もっとおいしく作りたい』という好奇心を忘れずに工夫を凝らしていけば、パンはもっとおいしくなるし、自分も楽しい。

ルーティンだからこそ、日々刺激をもって取り組みたいんです」

だからヨシダベーカリーの店頭には、いつも同じパンだけが揃うわけではありません。ある日はシナモンロール、別の日にはココナッツパン。基本のラインナップに加えて、不定期でその日限定のパンが並ぶのも、そんな店主さんの心がけゆえのこと。

▲この日の限定は、ココナッツフレークやパイナップル入りのトロピカルなパンなど3種を用意

その気持ちは、まかないに対しても同じだそう。

吉田さん:
「もともと味の研究をするのが好きだから、おいしい料理に出合ったらまかないで再現したくなるんです。

ちゃんと作ったものはおいしいんだよということを、スタッフに伝えたいという想いもありますね」

働くスタッフさん達の笑顔を見ていると、そんな店主さんの想いは、ちゃんと届いているように感じました。

 

まかない現場におじゃまして

▲「スタッフも雰囲気を作る大切な要素」とのお話通り、スタッフさんの柔らかい笑顔も印象的でした

毎日のパン作りはもちろん、まかないにもワクワクする探究心を忘れない。

そんな店主さんの楽しむ姿勢がお店の随所に生きているから、ヨシダベーカリーの店内はいつもどこか楽しげで、心地よい空気が流れているようです。

「今日の日替わりパンは何かな?」気づけば私にもそのワクワクが伝わって、お店に行くのがまた楽しみになりました。

(つづく)

ヨシダベーカリー
住所:東京都杉並区久我山2-23-29 ハイネス富士見ヶ丘1F
TEL:03-6326-2754
定休日:日・水
営業時間:11:00~19:00

【写真】木村文平


もくじ

第1話(9月11日)
毎日頑張るスタッフへ、「ありがとう」の気持ちを込めて(チクテベーカリー)

第2話(9月27日)
スタッフが、客席でお昼をとるわけは?(うぐいすと穀雨)

第3話(10月2日)
パン作りと同様に、緊張感をもって向き合う食事(イトキト)

第4話(10月30日)
おいしいものへの好奇心で、尽きないレシピ(ヨシダベーカリー)

第5話(1月26日)
今日も楽しく働けるように。スタッフの気持ちを繋ぐごはん(マツパン)

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