【にほんのお菓子】第3話:なんだか他人とは思えない。岐阜県のとある老舗菓子店
編集スタッフ 寿山
「いつかまた食べたい」と、思うお菓子はありますか?
わたし寿山は、日本中にもう1度食べたい、いつか食べたいお菓子がありすぎて、国内旅行に出かけるときは必ず何軒かの菓子店をハシゴするのが習慣です。
そんなお菓子好きの私が、忘れられない全国の名菓を不定期でお届けする連載「にほんのお菓子」。
今回ご紹介するのは、岐阜県の郷土菓子。お菓子にまつわるエピソードも併せてお伝えします。
「すや」という店名が、他人とは思えなくて
「栗きんとん」といえば、年に1度だけ母が作ってくれる、重箱のなかの特別なお菓子。幼い頃は、お節の主役と思っていたものです。大晦日の夜は、ここぞとばかりに芋を裏ごしする役を買って出て。出来上がった甘ったるい餡をペロっと味見するのが何よりの楽しみでした。
そんな私、すやまが「すや」の栗きんとんに出合ったのは、社会人になってから。まだ夫と結婚する前、仕事で岐阜県恵那市に出張した彼が、お土産に買ってきてくれたことがきっかけです。
「すやまくんが、 “すや” って書かれた手提げ袋をもって帰ってきた」と、可笑しく思いながら包み紙をひらいて。愛らしいかたちで、しっとりとした手触りの和菓子をほおばると、口いっぱいに栗の香りが広がりました。ほろほろと溶けるほどに、やさしい甘さと栗のうまみが舌にまとわりつく感覚は、今も忘れられません。
「なにこれ!?すっごく美味しい!」と、岐阜の食文化を何も知らない私たちはすっかり夢中になって。 “すや” と書かれた包み紙を1つ、また1つと開いては、あっという間にひと箱の栗きんとんを平らげてしまいました。
▲栗きんとん6個入り(税込 1,533円、9月〜1月の期間限定)
それから岐阜へ出張するたびに「すや」の手提げ袋をさげて帰ってきた男性が夫となり、自分も「すやま」と名乗るようになってからは、ますます他人とは思えない。そんな大切なお菓子なのです。
【すや】
岐阜県中津川市新町2-40 営業/ 8:00〜19:00 (9月~12月は8:00〜20:00) TEL/0120-020-780
https://www.suya-honke.co.jp/
岐阜に行くなら、あれも、これも
みずのいろ
凛とした白い箱に入った色とりどりの丸いお菓子に、思わず見とれてしまう「みずのいろ(税込1,296円)」。 “水の都” と呼ばれるほど豊富な地下水に恵まれた岐阜県大垣市で、老舗の店主が水面にうつる街の景色や季節を思って色づけした「干錦玉(ほしきんぎょく)」と呼ばれる寒天のお菓子。それぞれの色に合わせたハーブを使用していて、ほんのり甘くて香りがいい。
【御菓子つちや】
大垣市俵町39番地 営業/ 8:30~19:00 TEL/0584-78-2111
http://www.kakiyokan.com
※こちらの商品はご購入の10日前までに予約が必要な商品です
▲くるみせんべい、豆板、こくせんともに1袋、税込435円〜
飛騨の駄菓子
(くるみせんべい、まめ板、こくせん)
飛騨の山あいで育った木の実やきな粉をたっぷりと使った駄菓子は、どれも香ばしく、栄養たっぷり。パリっポリっと食感もにぎやかで、お腹も満たされる。なかでもきな粉やゴマを水飴とまぜあわせた「こくせん」(写真左下)は、室町時代から作られる伝統的な駄菓子。保存食として、庶民の大切な栄養源でもあったそう。
【前畑点心堂】
岐阜県高山市上二之町16 営業/09:00-17:00 TEL/0577-32-1066
http://maehata.s27.xrea.com/
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