【暮らし上手の収納術】前編:面倒くさがりだから見つけられたキッチン収納

編集スタッフ 松浦

すっきりとした暮らしに憧れつつも、お気に入りは手放せない。

海外のマーケットで見つけた器や、昔読んでいた雑誌、プリントした写真たち……そんな大好きなものに囲まれながらも、心地よく暮らしたい。そんな願いを叶えるべく、暮らし上手な方に収納法を伺いました。

今回訪れたのは、都内から電車で約1時間、神奈川の郊外に住むカナヤミユキさんのお宅。木工デザイナーの旦那さんとDIYのユニットZUBOを立ち上げ、幅広く活動しています。

昨年の年末には、居住スペースにあったアトリエを都内にお引越し。現在は都内のアトリエと神奈川の住まいを行き来しながら、娘さんと3人でこの家で暮らしています。

「DIYという仕事柄、生地や木材など、どんどんモノが増えていくんです。それに加えて、なんでも取っておきたくなる性格で、娘が小学校で使っていた上靴まで残ってるんですよ〜」と笑うカナヤさん。

そんな言葉とは裏腹に、すっきりと気持ちよく、一見するとモノのない暮らしをしていそうなお住まい。 一体、どこに収まっているのでしょうか? カナヤさんの収納の秘密を前編・後編の2話でご紹介していきます。

 


ごちゃごちゃしないのは何故?
ひと技ありのキッチン収納


窓からたっぷり差し込む自然光が気持ちのいいキッチン。すっきりした印象を受けますが、カナヤさん曰く、鍋やまな板などの調理道具は、使っていないものも捨てられず結構取ってあるとか。この素敵なキッチンに、どんな収納術が隠れているのでしょうか?

 

洗ったら、そのまま収納!

一番に先に目がいくのが、シンクの上にぶら下がった調理道具。 IKEAのグラスフォルダーとS字フックを使い、引き出しでつまりがちなおたま類も、美しく収納されています。

カナヤさん:
「洗って、そのまま収納できたらいいなって思ったんです。これなら洗ってぶら下げておけば自然に乾くでしょ? シンクの真上なので、水が垂れても大丈夫。

ほんとうに面倒くさがりなんです。できるだけ、無駄な動きをせずに、スムーズに使いやすくって思って試行錯誤の結果、この形に落ち着きました」

こちらは、お弁当グッズを収納しているシンク上の棚。よく見ると、底の部分はメッシュ加工されたステンレスになっています。

洗ったらそのまま収納できる上、通気性もいいので、密閉されて臭いが気になりがちなお弁当グッズもこれなら安心です。

 

フライパンやお鍋は、蓋と分けてスタッキング

かさ張りがちな鍋やフライパンは、蓋と分けてスタッキング。出番がたくさんあるものは手前に、キャンプで使うダッチオーブンなどは、引き出しの奥に収納されています。

 

カトラリーは「一軍」と「二軍」に分けて取り出しやすく

既存の調理台と同じ高さで作ったというこちらの作業台。奥行きを生かし、スライドレールをつけて引き出しを作りました。1段目には、ご主人が作られたカトラリーボックスがパズルのように収まっています。

カナヤさん:
「初めはボックスだけだったのですが、引き出しの隙間からホコリが入ってきてしまうなと思い、蓋をつけてもらいました。閉じてしまうと、どれも同じように見えてしまうので、1つは色を塗って目印にしています」

蓋を開けると、種類別に分けられたカトラリーが。手前のボックスには、使用頻度の高い『一軍』のカトラリー。奥には、来客用の箸や箸置きの『二軍』が控えています。

カナヤさん:
「小さいフォークや木のスプーンってなくなりがち。使いたい時にパッと取り出せるように、他のスプーンやフォークと混ざらないように収納しています」

 

並べる収納で、モノの見える化

ガラスの小瓶や酒器、小皿など、集めているつもりがなくても、なんだか増えていく小さなもの。バラバラに置いておくと、ついつい無くしてしまいそうな小物は、見えるように並べて収納しています。

タッパなどのお弁当グッズも同じ。ソース入れや、仕切りなど、小さな小物が多いお弁当グッズも種類ごとにまとめて収納しています。

 

ストック食材は「立てる収納」が便利

乾物などのストック食材は、無印良品の「ポリプロピレン整理ボックス」で仕切りをつけて収納。立てて入れることで、調理中もパッと取り出せるので便利です。

 

動きやすい琺瑯ものは、ゴムバンドで固定


開けるたびにガチャガチャ動いてしまうボウルや琺瑯のバッド類は、引き出しに取り付けたゴムバンドでしっかり固定。小さな工夫まで、自由でユニークです。

 

調味料はすぐに取り出せるコンロ脇に

料理中にさっととりたい調味料は、コンロの脇のデッドスペースを利用。後からつけた扉のおかげで、様々な色や形の調味料もスッキリ収納できます。

 

面倒くさがりの「もっと楽に…」から生まれた工夫

カナヤさん:
「いまのキッチン収納のすべては、自分の面倒くさがりな性格からはじまっています。『私はこう動くから、ここに置いたら取りやすい…』とか、そういうことを考えながらルールを決めていきます。

だから、私じゃない人がこのキッチンを使ったら、もしかしたら不自由かもしれないです(笑) でも大切なのは、使う人が使いやすいこと。トライ&エラーでなんとなく今の自分の正解が見つかっていくと思います」

メッシュ加工の棚や、ゴムバンド… そんな小さなアイデアの積み重ねで生まれた、カナヤさんのキッチン。その全ての始まりは、暮らしのモヤっとしたことでした。最初から美しい収納を目指すのではなく、自分のモヤっとを解決する収納からはじめてみるのもいいかもしれません。

後編では、リビングダイニングを中心に、家族と暮らす中で気を付けている収納のポイントを伺います。

(つづく)

【写真】木村文平


もくじ

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カナヤミユキ

1999年来、夫と共にDIYの精神を主軸にものつくりを続けている。現在は主に服飾のデザインやテキスタイルデザインなどを担当している。50歳で免許を取得して以来ドライブが趣味に、夫と一人娘と3人暮らし、娘が大学生に進学してからすっかり子育て卒業。週末に金工スクールに通い始め、新たな世界を探索中。https://www.zubo.jp/


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