【柳沢小実の家づくり】第2話: “自分らしさ” ってなんだろう?
柳沢 小実
こんにちは。柳沢小実です。
42歳になるまでずっと「賃貸派」だった私が、昨年ついに家を建てることになりました。
こちらの連載では、「暮らしやすさ」を第一に考えた、私なりの家づくりについて全10話で綴っていきたいと思います。
第2話
「家に “自分らしさ” は必要?」
自分らしさって、何だろう?
このような仕事をしているのにお恥ずかしいですが、私は自分らしさというものにそう頓着がありません。
もちろん「どうにも好き」とか、「これだけは譲れない」ことはあります。でも、強すぎるこだわりは、裏返せばかたくなさにもつながるので、できるだけ持たないようにしてきました。だから、「自分らしさ」の最終形ともいえる家づくりに直面したとき、正直、頭を抱えてしまったのです。
普段の買物だと、目で見て手で触れて、納得したそのものを手に入れることができます。けれども注文住宅は、出来上がるまでどうなるかわかりません。そのような大きな買物は、私にとっては恐怖そのもの。贅沢なことを言ってはいけないと思いつつも、不安に押しつぶされそうでした。
心配性な性格もあって、一人でもがき、焦って、空回り。そんなとき助けになったのが、設計士さんの専門家ならではの視点でした。
家を建てる会社は、その分野で誰より経験豊富で、多くの人にとって住みやすい家を作るのが仕事です。家づくりのプロなのだから、まずは向こうの提案を聞き、持ち帰って考えよう。判断に迷ったら相談すればいい。
そのあたりから、もっとまわりを頼ろう、話を聞こうと方向転換できました。
家は自分だけのものではないし、一人で建てられるものでもありません。だから一人で抱え込まずに、ひとつひとつの判断を家族とともに考える。一緒に考えて一緒に責任を持てばいいと考えを改めたら、ふっと気持ちがラクになりました。
ちなみに、家づくりの工程は「箱づくり」をしてから「内装」を考えるという流れです。
肩の力を抜いて向き合ったら、私たちの目指すものは「機能的な白い箱」だということに行き着きました。
そこで、自分たちが住みたい「箱」がどんなものかを、ざっと書き出してみました。
<全体的なこと>
・動線がいい
・掃除しやすい
・家事がしやすい
・すっきり、広々と見える
・収納を作りすぎない
・暖かい
<間取り>
・キッチンとダイニングを行き来しやすく
・リビングはテレビ重視の間取りにしない
・私のワークスペースと夫の山部屋を作る
内装は後からいくらでも変えられますが、間取りはなかなか動かせないから、かなり真剣に検討しました。とはいっても、そう広くない敷地のため、LDKは南向き、水回りは北側、寝室は南東と、ほぼセオリー通りに。細かい部分は、これまでに住んだ家々の間取りや動線も大いに参考になりました。
「箱づくり」に関する膨大な項目を、ひとつずつ吟味してわかった自分たちの価値基準。私たち夫婦の個性は、「機能重視」と「柔軟さ」だったのでした。
(つづく)
【撮影】上原未嗣
もくじ
柳沢小実
衣・食・住・旅にまつわる著書多数。収納好きが高じて、整理収納アドバイザー1級を取得。ラクチンですっきりな収納法を日々研究している。著書に『これからは、がんばりすぎない 40歳からの暮らし替え』 『土曜の朝だけ! “きちんと” が続く週末家事』(大和書房)など。9月に「収納と家づくり」をテーマにした新著が発売予定。 http://www.furarifurari.com
▽柳沢小実さんの著書はこちら
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