【スタッフの愛用品】わが家にも、「クローゼットの番人」がやってきた!
商品プランナー 斉木
実家には、母の嫁入り道具だと聞かされていた、とにかく大きくて重たい和箪笥がありました。
冠婚葬祭の礼服や、家紋の入った着物、ハレの日にしか開けられないその扉を開けたときの、ツンと鼻をさす樟脳のにおいが苦手で。
いまでも憶えているのは、扉を開いた一番目につくところに「洋服ブラシ」がかけられていたこと。
他の衣装ケースでは一度もみたことのないそのブラシは、「この洋服たちを、大切に守っている」という、まるで番人のような威厳を感じさせていました。
「手入れ」は、目に見える。
26歳からの数年、ファッション誌の編集者のもとで働いていました。
撮影現場でいつも目にしていたのは、その日モデルが着る洋服にていねいにスチーマーをあて、撮影が終わるとブラシをかけるスタイリストさんの姿です。
「車が買えるよ!」とツッコミたくなるようなハイブランドの洋服も、3枚で2,500円のパックTシャツも、大切にシワを伸ばされ、ホコリを払われると、同じだけシャンとします。
値段じゃなくて、手入れなんだな。至る所で聞いたことのあるこんな言葉が、実感として身体のなかにしみていくのを感じていました。
「お手入れ初心者」、次の一歩は。
▲昨冬クローゼットにやってきた、ふわふわ軍団。
それでも生来の面倒くさがりと、手をつけるなら完璧にしたいという相反する性格を持ち合わせているわたしは、長らく自分で着る洋服の手入れは「洗いざらし第一主義(という名のノータッチ)」でした。
でも、今年の冬ついに、カシミアやウール、アンゴラといった暖かい天然素材に手を出し、開眼。
天然素材の洗濯という、自分には到底ムリと思っていた工程も、やってみれば拍子抜けするほど簡単で(コラムにも書きました)、あれよあれよという間にわたしの中のお手入れハードルは急降下して行ったのです。
ならば、そろそろ “アレ” を、わが家のクローゼットにも迎え入れる頃合いなのかもしれない……。
洋服ブラシは、クローゼットの番人。
そうしてわが家にもついに、“洋服ブラシ” がやってきたのです。
手始めに、ひと冬をともに過ごした結果、毛玉だらけになったグローブを撫でてみました。
▲右がブラッシング前、左がブラッシング後。1分程撫でただけできれいになりました。
なにこれ、楽しい……。動物を撫でているような心地よさと、みるみる毛玉が取れていく快感が押し寄せます。
このブラシは、中央部分が銅、外側が豚毛になっています。銅繊維部分が毛玉を絡めとるそうなのですが、職人さんの手仕事で作られているので、繊維を傷つけることなく生地を整えてくれるんだとか。
本当はあのニットも、このカーディガンもブラッシングしたいのに、いまが冬じゃないのが惜しい!
でも、まだまだ朝晩は肌寒くて、カーディガンや春物のアウターを着ることも多いので、着たあとにはササッと撫でるようになりました。
また、普段ロングスカートやワイドパンツを履くことが多いのですが、トップスほど頻繁には洗濯しないので、一日外を歩いた日なんかは埃っぽさが気になっていて。
そんなときも、ハンガーにかけたあとにササッとブラッシング。ブラシ部分が約15cmと長めなので、時間がかからないのもうれしいです。
もうひとつうれしかったのが、柄の部分に本革のストラップが付いていること。
わたしは洋服と並べてクローゼットのポールに掛けていますが、出番の増える冬場や花粉の季節は玄関に掛けてもいいですね。
シンプルなデザインなので、見えるところに出しておいても気になりません。
お手入れマスターには、まだまだ遠いけれど。
洋服ブラシを迎え入れてから数週間。
実家や、撮影現場で見ていた、「この洋服たちは守られている」という感覚。
実際に自分の手で洋服をブラッシングするようになると、「このくらいの力加減でいいのかな?」「逆に傷めてないかな?」と、正直、ちゃんと守れていると言い切れないのが本音です。
それでも、以前は気づくことのできなかったほころびに気づいたり、やっぱりこのディテールいいなあと思ったり、洋服への愛は確実に強まりました。あとは、お手入れ技術を向上させるのみ。
クローゼットを開けるたびに目があうこの子を頼りに、これからもお気に入りの洋服を愛でていきたいと思います。
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