【訪ねたい部屋】第2話:TRUCKのソファや古道具で、北欧テイストのリビングダイニングづくり

ライター 長谷川未緒

気になる方のお住まいを訪問し、素敵なインテリアとその人らしさの関係を紐解く特集「訪ねたい部屋」を全3話でお届けしています。

今回は、中目黒で花屋「farver」を営む渡辺礼人(わたなべあやと)さん、安樹子(あきこ)さん宅を訪ね、1話目で寝室やゲストルーム、書斎の内装を中心にお話を伺いました。

つづく2話では、リビング・ダイニングのインテリアに迫ります。

 

 木の温かみを感じる、北欧テイストが好き

夫婦で長く店をやっているうちに、好みが似てきたというおふたり。とくに好きなのは、スカンジナビアンテイストなのだとか。

礼人さん:
「インテリアショップをのぞいたり、本や雑誌を見たりして、いいなと思うインテリアの共通点が、『木の温かみを感じる、シンプルな家具や雑貨』だったんです。

田舎にぽつんとある三角屋根の家で、中に入るとおしゃれという、北欧モダンな家がイメージソースです」

家の中で、いちばん思い入れのある家具は、リビングに置かれたTRUCK(大阪の家具店)のソファ。このソファに寝転んで、鳥のさえずりに耳をすまして風に吹かれていると、東京の喧騒を忘れてリラックスできると礼人さんは言います。

礼人さん:
「シンプルなのに存在感があって、飽きずに長く使えそうなデザインと、品質の良さに惹かれて購入しました。ぼくたちにとっては、ぱっと買えるような金額ではないので散々迷いましたが、娘が生まれたタイミングで『出産祝い』ということにして」

安樹子さん:
「大阪まで行って実際に見たものの、その場では決められなかったんです。東京に戻ってから、『やっぱりいいよね!』と夫と話し合って、インターネットから注文しました」

ソファの前に置かれたコーヒーテーブルもTRUCKのもので、木枠に皮のメッシュが施された天板が特徴的です。

 

ブランドにこだわるよりも、ベースカラーを揃えて

礼人さん:
「明るくて風通しのいいリビングにしたいので、軽やかな印象を醸し出す籐などの素材も好きなんです。

インテリアを考えるときに、ブランドや素材にこだわって揃える必要はないと思っています。ぼくはプロではないのでこんなことを言うのはおこがましいのですが、いろいろ混じっていても、ベースの色味が合っていれば、しっくりくることが多いのではないでしょうか。

うちにある家具は、ナチュラルなアースカラーのものが基本です。これから何か買い足すことがあってもうるさい印象にならないし、ビビットな色のものが入っても差し色効果でうまくまとまるかな、と」

渡辺さんのお宅にある家具や雑貨は、おふたりがおつきあいし出してから揃えたものばかりなのだそう。

礼人さん:
「お恥ずかしいのですが、見切り発車で店をはじめてしまったせいで、家財道具一式を売り払う羽目になったことがあったんです。それでも一緒になってくれた妻には感謝していますし、インテリアづくりにも、かえってよかったのかな、と思っているんですよ。

ぼくはミーハーなところがあって、若いころはそのときどきで好きなテイストが違いました。昔のものでまだ持っているのは、動物の毛皮のラグくらいです。

年齢を重ねて、自分の好みもはっきりしてきたところで、妻と一緒になりました。暮らしの大枠も見えてきて買ったものばかりなので、ふたりの好みにもマッチしているし、全体のまとまりもいいんだと思います」

 

アンティークの家具は洗練されたものを選ぶ

ソファについで目を引くのが、ダイニングテーブルです。恵比寿にあるレクトホールで求めたアンティークで、木の天板もアイアンの脚も、落ち着いた存在感を放っています。

長さが約2メートル、幅が70センチほどと横長で、ダイニングテーブルではなくアトリエの作業台のよう。

礼人さん:
「ダイニングスペースが広くないので、幅が狭いこのテーブルはぴったりでした。

向かい合う人と遠すぎず、隣り合う人とは余裕がある絶妙なサイズで、結果として、食事をしたり語らったりするのにも、ちょうどよかったですね」

椅子もアンティークのもので、暮らしの中でラフに使い込まれたものならではの、ゆったりとした落ち着きと余裕を感じます。

礼人さん:
「椅子好きなので、いいな、と思うと『店でも使うから』と自分に言い訳してすぐ買ってしまいます。

ビンテージやアンティークのものは、傷や汚れも味わいのうちですが、行き過ぎると無骨な印象になるので、どこか洗練された上品さがあるものを選ぶようにしています」

 

家電は徹底的に隠して、居心地の良い空間に

ついつい長居したくなる渡辺家。その秘密を探るべく見回しているうちに、あることに気がつきました。家電がない! テレビもエアコンも冷蔵庫も、見当たりません!

驚いて伺うと、「あります、あります。でも目につかないように配置しているんです」と礼人さん。

礼人さん:
「家電って、生活感が出やすいんですよね。でも、なければ困ります。なので、テレビはリビングの棚の植物の影に置いて、冷蔵庫はキッチンの奥の、ダイニングからは見えない位置に、エアコンは梁の上のほうにつけてもらいました」

▲植物の影に置かれたテレビ。

家電は機能で選ぶことがほとんど。よほどのデザイン家電でない限り、家に置きたいデザインかと問われれば、否、と答える人がほとんどでしょう。必要だから置いているけれど、目に入らない場所に、というのは、さすがのこだわりです。

とはいえ、使いづらいということはないのでしょうか。たとえば冷蔵庫。右びらきの取っ手が壁側にあり、開きづらそうです。

安樹子さん:
「最初は開けづらいなと思いましたが、慣れてしまえば気になりませんよ」

礼人さん:
「使いやすさより、見た目のほうを優先することにしました。

エアコンも、室外機は1階なのに壁の高い位置に取り付けたいと言ったから、業者さんからは異論がありました。効きが悪くなったり多少不便さがあっても、目に入らないようにして、居心地の良さを優先させたかったんです」

視界に映るインテリアが植物や木製の家具ばかりなのと、プラスチックなどの家電がまじってくるのとでは、たしかに印象が違います。この家がすっきりしていて落ち着く理由は、そのあたりにもあったようです。

さて、つづく3話では、気になるキッチン収納のことや、写真の飾り方、花の取り入れ方などを伺います。

【写真】上原未嗣


もくじ

 

渡辺礼人・安樹子

2010年、中目黒に屋根も扉もない庭のような花屋「farver」をオープン。2012年、同じく中目黒で場所を移し「seacret garden」をテーマに新しい「farver」をスタート。「ファッションとしての花」をコンセプトに、綿密なカウンセリングから」その人のライフスタイルの中に溶け込む花」を提案している。https://farver.jp

ライター 長谷川未緒

東京外国語大学卒。出版社勤務を経て、フリーランスに。おもに、暮らしまわりの雑誌、書籍のほか、児童書の編集・執筆を手がける。リトルプレス[UCAUCA]の編集も。ともに暮らす2匹の猫のおなかに、もふっと顔をうずめるのが好き。

 


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