【あのひとの子育て】木村文平さん〈前編〉お父さんの役割はまだわからない。でも今、僕にできることをしています

ライター 片田理恵

子育てに正解はないといいます。でも新米のお父さんお母さんにとって、不安はまさにそこ。自分を形作ってきたものを子どもにどう伝えるのか。正直、わかりませんよね。だって正解がないんですから。

だから私たちはさまざまなお仕事をされているお父さんお母さんに聞いてみることにしました。誰かのようにではなく、自分らしい子育てを楽しんでいる “あのひと” に。

連載第14回は、「北欧、暮らしの道具店」でも撮影をお願いしているカメラマン・木村文平(きむらぶんぺい)さんをお迎えして、前後編でお届けします。

 

最近急に、お父さんの役割が増えました

フリーランスのカメラマンとして雑誌やweb、広告などで活躍する木村文平さん。書籍『「北欧、暮らしの道具店」店長のフィットする暮らし』でも、撮影を担当していただきました。ともすれば気づかずに通り過ぎてしまう、そんな何気ない、けれど特別な一瞬の表情や風景を、やさしく、柔らかく切り取って見せてくれる。それが木村さんの写真のすてきなところだと思います。

忙しく仕事で各地を回る一方、実はプライベートでは三児の父。現在小学校二年生の三つ子の子育てに奮闘しています。家族は妻の有子(ゆうこ)さん、長女・長男・次男という構成の姉弟を合わせた5人。この日、仕事場も兼ねているというご自宅にお邪魔してお話を伺いました。

木村さん:
「子どもたちが小学校に上がってから、急に『お父さんの役割』が増えた気がするんです。これまではほとんど出番がなかったのに、急になんだ?って(笑)。例えば3人のうちの誰かが叱られるようなことをした時に、妻は『ほらお父さん、言ってあげて』ってなるわけですよ。

そこでお父さん然としてちゃんとしたことが言えればいいんだけど、そんな簡単にいかないじゃないですか。だから最近は、お父さんの役割って何なのかなということを考えてたりしてますね」

 

お父さんってどうすればいいんだろう?

「お父さんになった自分に戸惑うことがある」という木村さんの率直な言葉に、私は新鮮な驚きと大きな共感を覚えました。それは私自身も母親として、同じように感じたことがあるから。お母さんになったことが不思議で、どこか自分じゃないような気がして、どう振る舞えばいいのかわからない。そんな心もとない気持ちになったことがあるからです。

木村さん:
「そうかぁ。そうですよね。僕も、どこか演じている感じなんですよ。お父さんなんだから、お父さんを演じなきゃって。

子どもがもっと小さいうちは、お父さんができることってお母さんのフォローだったと思うんです。少なくとも僕は、子どもに直接何か働きかけるというよりも、妻に対して何ができるかを考えていた気がする。それが突然次の段階に移って、子どもと向き合うことになった」

 

伝えたいのに、伝え方がわからない

木村さん:
「困っていること? いっぱいありますよ。最近は『あきらめない』っていう気持ちを子どもにどう伝えたらいいかで悩んでます。

夏休みの宿題で自由研究ってあるじゃないですか。それが今年、8月の終わりになってもできていなかった。じゃあ今からやろうってことで、子どもたちに何がやりたいかを聞いたんですね。そうしたらそれぞれが違うアイデアを持っていたんです。もちろん僕としては全部叶えてやりたいんだけど、一人一人のやりたいことに付き合うにはもう時間が足りなくて……。

結果、折衷案として、3人に同じことをやらせるという苦渋の選択を取りました。事前にヒアリングして、できる準備を進めておくべきだった。これじゃ『あきらめない』は伝わらないよなぁとがっくりしました」

 

だから、写真を撮るのかもしれません

ああ、わかるなぁとなんだか胸が熱くなりました。やってあげたいこととやれることの間にはいつだって大きな隔たりがあって、がんばってもがんばっても追いつかない。思いが大きいほど、シュンとしてしまう瞬間があります。

でも『あきらめない』気持ちを子どもたちに伝えたいと悩むお父さんの姿は、すごくかっこいい。子どもは敏感だから、その思いはしっかり感じているんじゃないですか?

木村さん:
「だといいなと思います。このインタビューを受けるにあたって、自分は子どもとどう向き合っているかとか、どう向き合おうとしているかを改めて考えてみたんですけど、日々夢中で、冷静に考えられていないどころか、よく覚えていないというのが正直なところで……」

その時、奥様の有子さんが「だから写真を撮っているんじゃない?」とひと言。木村さんは一瞬ハッとしたような表情をして「ああ、そうかも」と答えました。

言葉にならない気持ちを写真に込めて。うまく伝えられないけれど、それでも見ているよということをわかって欲しくて。カメラを通して家族の姿を見つめることで、木村さんは「木村さんらしいお父さん」を少しずつ作り上げているところなのかもしれません。

それにつけても、ご夫婦のさりげないチームワークがなんともお見事!

 

妻と子ども、両方の味方でありたい

子どもって、親の成果だけを見ているわけじゃあありません。それよりもその過程、親が取り組む姿勢そのものを見ているのではないか。木村さんのお話を伺いながら、なんだかそんな気持ちになりました。そして、それって子育てに限ったことではないのかもということも。

木村さん:
「常に100%、全力で子育てに向き合っている妻には感謝ですね。子どもたちと衝突することもよくあるんですけど、そういう時がお父さんの出番だと思っています。逃げ場になってあげたいし、妻と子どもたち、両方の味方でいられるように声をかけていきたい。それが僕に今できることだと思うから」

続いての後編では、お子さんたちが誕生してからこれまでのストーリーを伺います。なかなか窺い知ることのできない三つ子の子育て、木村夫妻はどう楽しんで来られたのでしょうか。

(つづく)

【写真】神ノ川智早

 

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木村文平

山形県鶴岡市の100年続く老舗写真館に生まれる。大阪芸術大学写真学科卒。カメラアシスタントを経て、2007年よりフリーランスフォトグラファーに。著書に『雰囲気写真の撮り方 ナチュラルな光を活かすデジカメ撮影術』(エヌディエヌコーポレーション)などがある。

 

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ライター 片田理恵

編集者、ライター。大学卒業後、出版社勤務と出産と移住を経てフリー。執筆媒体は「nice things」「天然生活」「あてら」など。クラシコムではリトルプレス「オトナのおしゃべりノオト」も担当。

 


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