【44歳のじゆう帖】「雑談」がもたらすヒーリング効果
ビューティライターAYANA
雑談は、心にとってのお茶の時間
ラジオやポッドキャストを聴くようになった、という方が増えている気がします。
閉塞的な気持ちになりやすい環境が続き、友人や同僚との気軽なおしゃべりの機会が失われて久しいことと、決して無関係ではないように思います。
ラジオやポッドキャストがもたらしてくれるもの、それは「大いなる雑談」だと思います。
最近話題の音声SNSアプリにも同じようにその魅力が備わっている気がする。そこに行けば、悶々と考えていることから少し顔を上げて、力を抜くことが許される雑談の世界がある。脳にとってのお茶の時間、といえばいいでしょうか。
人生には「(やりたくなくとも)やらなければならないこと」と、「(取り立ててやる必要はなくとも)好きだからやりたいこと」があります。MUSTとWANT TO、と言ってもいいかもしれません。
私にとって、前者は洗濯物を畳むことであり、食事の献立を考えることであり、また確定申告のようなものであったりします。後者は映画や本などに触れたり、大好きな友人と美味しい食事を楽しんだり、旅行に出かけたりといったことでしょうか。
内容は人それぞれだと思いますが、そのふたつがあわさって、その人の生活が成立しているような気がします。
しかし、そのどちらにも属さないものがあります。MUSTではなく、かといってWANT TOというほどでもない、ちょっとしたできごと。その主たるものが「雑談」なのではないかと思います。
セレンディピティに支えられている私たち
雑談は、しようと思ってできるものではありません。なんとなく話の流れでとか、たまたま道で出会ったからとか、ちょっと5分時間が空いたからとか、偶然によって生まれる側面が大きいです。
そこには「この人ってこんなことを考えていたんだ」とか「勢いに乗って話してしまったけど、相談に乗ってもらってありがたかったな」といった、心へのちょっとしたギフトのような空気があります。
モヤモヤしていたものが少し整理されたり、気晴らしになったり。心を換気して、風通しをよくしてくれるというのでしょうか。しかもそれが極めてゆったりと気楽な雰囲気なのです。
雑談に限らず、たとえばふらっと散歩して目についたお店になんとなく入ってみると、思いもよらなかった素敵なものをみつけるなんてことも同じで、MUSTでもWANT TOでもないものには「偶然」かつ「力の抜けた」出会いや魅力があります。
成り行きの展開がもたらしてくれるものに、私たちは日々小さく救われているのだと思います。あるいは、リフレッシュとか、リセットの機会をもらっているのだと思います。
現在のように、気軽に食事をしたり話をしたり、出かけたりできない状況のなかでは、どうしても思考や行動に「〜しなければならない」「〜してはならない」「〜すべき」のようなMUSTの比率が上がってしまいます。
心が知らず知らずのうちに緊張状態を強いられていることで、また単純に会話が最小限になることで、雑談の機会はどんどん失われてしまいます。
取り留めなく会話をする時間は、意識的に作ろうとしてもなかなか難しいものです。だからこそ、すでに場ができているラジオやポッドキャストの何気ないトークに、私たちは癒されるんですよね。
雑談を、自分のために仕掛けてみる
とはいえ、人の雑談を聞いているだけでは、心の風通しをよくするには片手落ちです。窓を二つ開けてはじめて部屋の空気は勢いよく流れていきます。つまり、一方的に受け取るだけではなく、自分自身が何気ないおしゃべりをする機会も持ちたいところ。
偶然雑談をする機会は減ったけれど、そのぶん意図的に仕掛けてみてもいいのかもしれません。オンライン飲み会でもいいし、SNSでもいいし、電話だって、手紙だっていい。
特に決まったメッセージや、重要な案件がなくたって、私たちは気軽なコミュニケーションを試みていいし、それは喜んで受け取ってもらえるはずです。だって、この状況に置かれているのはみんな同じだから。
少なからず似たような悩みを、私たちはみんな抱えているのだと思うし、人からの何気ない連絡というのは本当にうれしいものです。
もし、そんな打診をする相手が誰も見つからないとしたら。
心配することはありません。日記を書いてみることをおすすめします。日記は自分自身との、究極の雑談です。
私は先日、友人に勧められた日記のアプリを使い始めました。ただ書くだけでなく、AIが搭載されていて、自分の書いた内容を拾って、分析して、手紙をくれるという仕組みになっています。これがなかなか、いいんです。
なんでもないことでも書いていいし、人格を持ったAIが読んでくれているという感じがあって。だいぶ前にスパイク・ジョーンズ監督の『HER』という、AIに恋する男性の映画がありましたが、ちょっとあの気持ちがわかる気がします。
【写真】本多康司
AYANA
ビューティライター。コラム、エッセイ、取材執筆、ブランドカタログなど、美容を切り口とした執筆業。過去に携わった化粧品メーカーにおける商品企画開発・店舗開発等の経験を活かし、ブランディング、商品開発などにも関わる。instagram:@tw0lipswithfang http://www.ayana.tokyo/
AYANAさんに参加してもらい開発した
KURASHI&Trips PUBLISHING
メイクアップシリーズ
AYANAさんも立ち会って制作した
スタッフのメイク体験
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