【すっきりが続く部屋】第1話:箱やトレーを駆使して、キッチンでの動きをスムーズに

ライター 嶌陽子

器や道具、本、服など、好きなものに囲まれて暮らす、ワクワクした気持ちも大事にしたい。同時にいつもすっきりとした部屋で清々しい気持ちで過ごしたい。

この2つの願いを両立させるのって案外難しい……。そう思うのは私だけでしょうか?

インテリアや趣味を楽しみつつ、片付きやすい、すっきりとした部屋を作るにはどうしたらいいんだろう? 今回は、そんな悩みへのヒントが見つかりそうなお宅を訪問。インテリアや整理収納の工夫をたっぷり聞いてきました。

 

大好きなインテリアに合う整理収納法を探っています

訪ねたのは、整理収納アドバイザー、ルームスタイリストの岡本あつみさん。6年前にリノベーションした約80㎡のマンションに夫と高2、中2、小2の3人の娘と5人で暮らしています。

好きなものを集めたというインテリアは程よく肩の力が抜けた、でもどこを切り取っても絵になる空間。そして何より、5人家族とは思えないほどすっきりとしていました。

岡本さん:
「片付けは昔から得意なほう。整理収納や片付けに関しては、雑誌や人との会話など、たくさんの情報の中から自分に合う方法を選んで組み合わせています。

好きなインテリアに合わせた整理収納法を日々探っていますね」

第1話では動きやすさ、出し入れのしやすさが考え抜かれたキッチンを見ていきます。

 

「一歩も動かずに食器をしまえる」収納棚をリビングとの間仕切りに

広々とした岡本家のLDK。ダイニングとキッチンを緩やかに仕切っているのは、3つ並べて使っている棚です。仕切りとしても、収納としても大活躍しています。

岡本さん:
「3つとも前の家から使っていたもので、元はワードローブ入れなどでした。高さがちょうどいいと思ってここに設置したんです」

シンクに近い引き出しの1段目はカトラリー入れ。イケアの仕切りケースを活用し、ジャンル別に収納しています。

こんなふうに分かれていれば、家族の誰もが迷わずに出し入れできるはず。ところで、奥に見える白いものは?

岡本さん:
「ケースのサイズに合わせてメラミンスポンジをカットして入れています。カトラリーが動いて奥へ行ってしまわないよう、ストッパーとして置くことで、出し入れがさらにラクになるんです」

2段目の引き出しには毎日使う食器を。すぐ向かいが食洗機なので、きれいになった食器をそのまま一歩も動かずにしまうことができます。

岡本さん:
「動作の面で “すっきり” を感じるには、あちこち動かないことが大事だと思っています。収納場所を決める時は、動線をすごく意識しますね」

 

 くすりも文房具もキッチンに。そのわけは?

▲キッチンシンクに近い棚の中に家族のくすり類を収納。100円ショップで買ったボックスを活用して。

そんな岡本さんの考え方は、キッチンのあちこちに表れていました。

岡本さん:
「我が家では、くすり類もキッチンの棚にしまっています。くすりを飲む時は必ず水が必要なので、シンクの近くに置くのが一番ラクだという結論になりました」

文房具もキッチンに置いています。私がキッチンにいることが多いので、子どもの学校の提出物にサインしたりするのに便利なんです」

▲キッチンに置いた棚の引き出しに文具を収納。セリアで購入したトレーがジャンルごとの区分けに活躍。

よく使う場所に置くから、片付けもよけいな労力をつかわずにさっとできる。「キッチンには台所道具を置く」という概念に縛られず、日々の暮らしや習慣をイメージして決めた収納場所は、すっきりした空間づくりに一役かっているようです。

 

“箱で分ける” ことで、自分も家族も迷わず出し入れできる

扉付きの棚には、くすり類のほか、お茶やコーヒー、それにパンやはちみつといった朝食セットなどを収納。それぞれボックスに分けてしまっています。

▲棚の上段は朝食セットコーナー。パン、はちみつ、スティックコーヒーなど、ジャンル別にボックスに分けて。

3人の娘のお弁当セットもそれぞれボックスに分けて、シンク上の吊り戸棚に収納。

▲左から三女、次女、長女のお弁当セット

岡本さん:
「我が家は5人家族でそれなりにものの量があるので、ボックスなどで分けたり仕切ったりすることには大きなメリットを感じています。分けることで用途や所在が分かりやすく、忙しい家事の最中でもさっと取り出せるんです。

家族も何がどこにあるか一目瞭然なので迷わず出し入れできる。ボックスの中は多少雑然としていてもOKとしています」

▲冷蔵庫の中もボックスやトレーでゾーニング。奥のものが出し入れしやすいのも魅力。

岡本さん:
「ボックスはなるべくは家にあるものを使いまわしていますが、 新しく購入する際には “入れるもの” 、 “置く場所” を決めてから100円ショップなどに探しに行きます。

背の高いものを入れる場合は深いボックス、水まわりに置く場合は濡れてもOKなプラスチック製。中身を隠したい場合は不透明のもの、中身が見えて分かりやすいほうがよければ半透明、等々。内容や目的によって使い分けています」

家族のおやつは、イケアのフェルトボックスに収納。

▲フェルトボックスの中にさらに小さなボックスを入れて、お菓子を見やすく、取り出しやすく。

未開封の大袋は左のボックスに、すぐに食べる小分けのお菓子は右のボックスにと、2つを使い分けています。

岡本さん:
「こうしてボックスに入れておくと、適量の目安にもなって買いすぎも防げるんです」

▲イケアの棚とバーに並んでいるのは柳宗理のキッチンツールなど。好きなもの、よく使うものは外に出して。素材や色を統一することで見た目のすっきりを実現。

ボックスやトレーをフル活用してジャンル分けすることで、何がどこに、どれくらいあるかを明確にする。ここに、すっきりした岡本さんのキッチンの秘訣があるように感じました。

第2話では家族が集まる中心、リビングをお届けします。

【写真】佐々木孝憲


もくじ

 

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岡本あつみ

整理収納アドバイザー、ルームスタイリストとして「家が好きになる」片付けを提案。自宅は6年前にリノベーションした約80㎡のマンション。夫と小、中、高の3人の娘と5人で暮らしながら、家族それぞれの性格にフィットした整理収納を日々模索している。一方マクラメ講師の一面も。自宅には岡本さんの作品がすてきに飾られている。https://lit.link/atsumiokamoto


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