【45歳のじゆう帖】植物のある暮らし

ビューティライターAYANA

植物を写真におさめた20代

プレゼントに花をもらうと嬉しい。この気持ちが、若い頃の私には理解できませんでした。花器に移して飾る処理も大変だし、数日したらしおれてしまうし、好みもかなり分かれるし……あまり良さがわからないな、と。

20歳のときでしょうか、コンパクトカメラを手にしてから、日常の風景を写真に撮るようになりました。通学途中やバイトの帰りに写真を撮っては、駅前のタバコ屋でせっせと現像してもらっていました。そのときに撮っていたモチーフとして多かったのが、空、壁、野良猫、そして植物でした。道で出合う木や花です。

私は当時、人物を撮ることがあまり得意ではなく(と書くと今は得意みたいになっちゃいますが)、その理由としてシャッターを切るタイミングのセンスをあまり持ち合わせていなかった、ということがあります。

人は表情も動きもコロコロ変わるため、一瞬を捉えることに苦手意識がありました。当時は、料理もタイミング勝負の炒め物やパスタは苦手で、時間を気にせずいくらでも味が調整できる煮物みたいなものが好きでしたね。

写真は二度と来ないその一瞬を切り取るものだと思いますが、私は変化がゆっくりで、シャッターチャンスが逃げにくいものを好んでいたのです。

それでも、変化しないものなんてありません。私が撮るもののなかで、木や花はもっとも変化の早い存在でした。そしてそこで、変化していく、なくなってしまうからこそ美しいんだなぁということに思い至り、植物の魅力が少しわかった気がしたのです。

言葉を発するわけではないけれど、確実に変容していて、そのエネルギーの動きや揺らぎみたいなものをみせてくれる、というのでしょうか。それからは、花を人に贈るのがぐっと楽しくなりました。

いけばなを習った30代

30代では、いけばなを習いはじめました。きっかけは忘れてしまいましたが、なんとなく面白そうだと思ったのでしょうか。

最初に小原流、その後草月流と渡り歩きました。結局いけばなの魅力を語れるほどにはなれなかったのですが、定期的におもしろい花材に触れたり、花や枝を扱うという経験が、植物と自分の距離をかなり縮めてくれたのは事実です。

それまでは贈り物、あるいは道に咲いているのを見るのが専門だった花を、自発的に買って飾るようになりました。花屋に行って、めぼしいものを数本買ってみる。気まぐれにやってみる程度ではありましたが、自分のために花を買うようになるなんて、何だか不思議でした。

葉を間引いたり、水切りをしたり……そんな技を(技というほどのことではありませんが)使っている自分に笑ってしまったものです。

ざっくりと「花」とか「植物」という感じで認識していたものが、花の種類や旬などが少しずつわかってくると、どんどん楽しくなっていきます。

花屋の顔ぶれから季節を感じることにも敏感になり、なんとなく目に映る世界が少し豊かさを増したようにも思いました。

そういえば、母は小原流の先生の資格を持っていました。我が家は常にいけばなが飾られているわけではありませんでしたが、お正月など節目にはしっかり生けられていたし、鉢植えも数種類存在していた気がします。興味がなかったからたいして目に入らなかったなぁと、今となってはなんとなく勿体無い気持ちになります。

ゆるやかな変化や成長を見せてくれる存在

40代になると猫と暮らすようになり、少し「植物を家に飾る生活」とは疎遠になりました。猫も個性によって色々だと思うのですが、我が家にいる子は本当に植物が(いたずら的な意味で)大好き。飾ってあるものをむしり取って食べてしまうのです。

美しい体裁が保てないのはもちろんのこと、花器を倒されてしまったり、ユリなど猫に危険な植物も意外とあったりと、障害に感じることが多く、次第に花器は埃をかぶることが多くなりました。

しかし今年に入り、仕事をするスペースを自宅と切り離し、猫の立ち入り不可の場所ができました。それでまた少しずつ花を飾るようになってきたのです。パソコンに向かっていても、視界の端に植物が映ると、心にフレッシュな風が吹くというか、なんとなく浄化された気持ちになり、背筋が伸びます。

そして改めて、植物は変化を見せてくれるからこそいいのだよなと思います。つぼみが少しずつ咲いていく。花びらが一枚ずつ散っていく。それはそのまま生命の営みであり、何か普遍的な価値がそこに凝縮されているような気がします。

かつて、写真を撮っているときは、変化がゆるやかでシャッターチャンスが逃げにくいと思っていた植物ですが、たとえば自分や息子、猫と比べると、なんと早いスピードで変化していくのだろうと静かに驚きますし、その移り変わりを自分の空間で鑑賞できるというのは、非常に贅沢なことだなと感じ入ってしまいます。

 

【写真】本多康司

 

AYANA

ビューティライター。コラム、エッセイ、取材執筆、ブランドカタログなど、美容を切り口とした執筆業。過去に携わった化粧品メーカーにおける商品企画開発・店舗開発等の経験を活かし、ブランディング、商品開発などにも関わる。instagram:@tw0lipswithfang  http://www.ayana.tokyo/

 

AYANAさんに参加してもらい開発した
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