【今宵はひとりで夜更かし】第2話:秋のにおいがする映画でチャーミングを補給する
編集スタッフ 津田
夜更かしは、ちょっと特別な時間。
大人になると、ほんとうなら早く寝ちゃったほうがいいんだろうなと、色々な経験からわかっています。でも、だからこそ、たまに夜更かしをしたくなるんです。せっかくなら、明るいうちにはやらないようなことで。
そこで今回の特集では、ひとりでこんなふうに過ごしてみたいという「夜更かしの楽しみ方」を考えてみました。
今宵はひとりで夜更けに
映画でチャーミングを補給する
家に帰るのが遅くなってしまった。もう9時を過ぎている。くったくたに疲れてもう何もできない。そんな夜は、自分にとびきり優しくしてあげたいものです。
何はともあれ、まずは食べたいものを食べる。したいことだけをする。これに限ります。
今夜は、ちょっとアメリカンな気分だから、フライドチキンをオーダーして、好きな映画を観ることにしましょう。届くまでに30分。制限時間ができ、にわかにやる気スイッチが押され、洗濯物を畳んで、シンクに積まれた食器を片付け、かばんの中身を整理して……。
——(ピンポーン)
フライドチキンの美味しそうな匂い。ほかほかのボックス。手のひらにほんのりとしたあたたかさが伝わり、お腹がグウと鳴ります。片付けも終えたことですし、手を洗ってさっそく夕飯としましょう。
まだ週の半ば。明日もあるから、冷蔵庫から取り出すのはノンアルコールビールです。
ソファに腰を落ち着けて、ぷしゅっとプルタブを引く。何度観たかわからないほど好きな映画を再生すれば、すぐに10代の私へ還っていけるよう。
じつは、さっき冷蔵庫を開けたとき「野菜、とったほうがいいかな、サラダくらい作ろうかな」とも考えました。でもその瞬間に「うーん、もう今日はいいかな」という気持ちが頭をもたげてしまって。だって帰ってきてから、洗濯物も台所も片付けましたし。野菜は、また明日とればいいのです。
その代わりと言ってはなんですが、大好きな、秋の匂いがするかわいい映画で、チャーミングを補給するのです。
120分。自分を甘やかしながら、大好きな映画を観る時間。
どんなにくったくたでも、こんな他愛ない時間があればなんとか暮らしていけそうだなあと、自分で自分のことをときどき心強く思うのです。
ほかの誰かに合わせるのではなく、求められている役割を果たすのでもなく。ただの一人に戻って、昔から好きだったものを思い出し、キュンとときめいたり、かわいいものに浸れる時間。それこそが、私には必要なのかもしれません。
食欲も、映画欲もチャージされたら、もうほんとうの夜更けの時間。シャワーを浴びて、ふかふかの布団にくるまって、ゆっくり眠りにつきましょう。
それでは今夜もおやすみなさい。
もくじ
STAFF
photo:Waki Hamatsu
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