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【今宵はひとりで夜更かし】第1話：残り野菜でとびきりのミートソースを仕込む

編集スタッフ　津田

子どもの頃、夜更かしは特別なものでした。

「早く寝なさい」と電気がぱちんと消されたあとの布団のなか。真っ暗で、何も見えなくて、ちょっと怖いような気もするんだけど、目をぱちぱちと開けたり閉めたり。しだいに慣れて、部屋のなかが昼間のそれとはちがうふうに見えてくる。カーテンの間から月を眺めたり。こっそり布団を抜け出してみたり。夜更かしは、ドキドキする小さな冒険でした。

大人になった私は、ほんとうなら夜更かしするよりも、早く寝ちゃったほうがいいんだろうなと、色々な経験からわかっています。でも、だからこそ、たまにしたくなるんです。せっかくなら、明るいうちにはやらないようなことを。

そこで今回の特集では、ひとりでこんなふうに過ごしてみたいという「夜更かしの楽しみ方」を考えてみました。記事末尾には料理家の瀬戸口しおりさんに教わったレシピも用意しています。

今宵はひとりで夜更けに
ミートソースを仕込む

ある夜のお風呂上がり。麦茶が飲みたくて冷蔵庫を開けると、ふと根菜類が半端に残っていることに気づきます。そうだ、これらをミートソースにしちゃおうと思って、合挽き肉も買っておいたのでした。さいわい、今日はまだ遅くはない。寝るまでにたっぷり2時間はある。いつもならスマホを見てあっという間に寝る時間になっちゃうけれど、今夜はひとりで夜更けの仕込みに精を出しましょう。

にんにく、玉ねぎ、根菜類をみじん切りに。無心で手を動かす時間は、いいものです。合い挽き肉もくわえて炒め、塩で味付けをしたら、トマト缶を入れてくつくつ煮込みます。

夜更けにひとり、台所。鍋のおとを聴きながら、読みかけの文庫本を読む至福。ちょっとワインも飲みつつ、ときおり木べらで混ぜつつ、鍋の様子を見守ります。

おいしい匂いが漂ってきたら、やっぱりお腹がぐうぐうと鳴きはじめました。こんな夜更けに……とは思うけど、どうしても食べたくなった気持ちを、よしよしとなだめるように、湯を沸かしてスパゲティを茹でることに。だって、こんなこと、一年のなかにそうたくさんありません。深夜のミートソーススパゲティ。最高ではないですか。カロリーは明日の私がきっとなんとか消費してくれるはず。

あー。美味しかった。粉チーズと黒胡椒をかけるのが好きだなぁ。あっという間に一人前を食べてしまいました……。でも野菜たっぷり入れてますしね。きっと大丈夫です。

食べ終わったら台所をリセットして、寝る準備です。どうして夕飯の洗い物はめんどうなのに、夜更けの洗い物はさくさくと片付くのでしょう。

さあ、明日からも忙しい日が続くかもしれない。けれど自家製ミートソースはそんな毎日を助けてくれるお守りのような存在でもあるなあと思うのです。仕込んでおいてくれてありがとうって、きっと疲れて帰ってきた明日の私が思うんじゃないかな。

それでは、今夜もおやすみなさい。

根菜たっぷりミートソースのレシピ

材料（４食分）

根菜類（ごぼう…10cm　れんこん…3cm　にんじん…1/3本）
にんにく…1片
玉ねぎ…大1/2個
合挽き肉…400g
トマト水煮缶…1缶

なたね油…大さじ1
塩…小さじ1と1/3
酒…大さじ1
砂糖…大さじ1
醤油…小さじ1

作り方

１．ごぼうとれんこんは半分に切って、大きいまま2分ほど水にさらし、キッチンペーパーでよく水気をとってから、みじん切りにする。にんにく、玉ねぎ、にんじんは皮をむいてみじん切りにする。
２．鍋ににんにくとなたね油（大さじ1）を入れ、中火にかけ、香りがしてきたら玉ねぎも加えて炒める。
３．根菜類を加えてさらに炒め、合挽き肉も加え全体の色が変わって火が通ったら塩（小さじ1と1/3）を加える。
４．トマト水煮缶、酒（大さじ1）、砂糖（大さじ1）を加え火を少し弱めて煮る。半分くらいに水分がとんできたら、醤油（小さじ1）を加え混ぜ、火を止める。最後に味見をして、味がたりないようなら塩（分量外）をたす。パスタにかけたり、ご飯にかけたり、ラザニアを作っても美味しい。