【好きを集めた家づくり】第2話:お気に入りを飾る玄関周りと、寝室の簡単DIY

ライター 長谷川未緒

その人らしいインテリアで整えられた部屋は、居心地がよく、目にするものすべてが素敵に見えて、ものの持つ背景を聞きたくなります。

そんな住まいにしたいと思いつつ、イメージが漠然としていたり、あれこれ欲張りすぎてうまくいかなかったり。

そこで、特集「好きを集めた家づくり」では、飲食店のオーナーを務めるヤマモトタロヲさんと、雑貨店オーナーでコーディネーターの郁美さんご夫妻の家を訪問し、理想を叶える家づくりのヒントを伺いました。

ご夫妻は、ふたりのお子さんとミニチュアシュナウザーとともに、築60年ほどのヴィンテージマンションをリノベーションして暮らしています。

第1話では、希望を形にしたリノベーションのことを中心に聞きました。第2話では、ものが多いふたりならではのストックルームや、すぐに真似できる廊下のディスプレイ法、寝室のDIYなどをお伝えします。
第1話

 

コレクション好きの収納事情

マンションの同じ階の、3軒隣りから引越しをしたヤマモトさんご夫妻。リノベーションした部屋は、玄関がとてもすっきりしています。

その秘密は、もともとあった小さなスペースをストックルームにして扉で仕切り、靴をしまっているから。

タロヲさん:
「靴のほかにも、スーツケースやアウトドア用品を収納しています。最近はコテージに泊まりますが、子どもが生まれる前はテント泊もしていたので、そういった道具類を置いています」

▲構造上の凹みに棚板を取り付けて、靴箱代わりに。

タロヲさんの靴のほうが郁美さんよりも多いそうで、減らしてほしいと思うことはないのか伺ったところ……。

郁美さん:
「私も捨てられないタイプなんです。なので、処分してほしいとは言えないんですよね。この家は物を置かない家にしようね、と話していたけれど、無理でした」

 

一目惚れした家具を、家になじませるまで

ミニチュアシュナウザーのストックくんの足腰に負担がかからないようにと、サイザル麻を敷いた廊下には、存在感たっぷりのベンチが。イギリスの教会で使われていたチャーチチェアです。

タロヲさん:
「これは岡山県のアンティークショップ『ステージ』で買いました。海外に行ったときにコンテナで買い付けたこともあるのですが、税関に引っかかったりと面倒も多いので、日本で販売されているものを買ったほうがいいと思うようになりました。

一目で気に入って購入し、もともとはダイニングで使っていましたが、あまり使い勝手がよくなくて。ずっと欲しかったダイニングチェアを手に入れたタイミングで、こちらに移動させました」

▲ダイニングチェアは、シャルロット・ペリアン。

郁美さん:
「ダイニングにあったときは座りづらいし、真ん中の人が出づらいし、と思っていたんですが、移動させたら、すごく便利になりました。

この椅子の向かいに洗面室があるので、ぼーっと歯磨きしたり、来客時には座っておしゃべりしながらお迎えや送り出しをしています」

チャーチチェアの上の壁には、帽子がずらり。フックを壁に刺してタグ部分を引っ掛け、型崩れしやすいタロヲさんの帽子をかけています。夏は麦わら帽子に変わるそう。

壁にかけることで置き場所に困らず、素敵なディスプレイにもなる一石二鳥のアイディアは、すぐに真似できそうです。

 

子どもが産まれてしつらえた寝室と、こだわりの照明

廊下の右手にある部屋は、家族の寝室です。もともと夫婦ふたりで使っていましたが、出産を機に子ども向けに整えたそう。

パリの蚤の市で求めた陶器製のツバメが壁に飾られ、子どもが生まれてから取り付けたというモビールがかわいらしい雰囲気を醸し出しています。

防寒対策には窓に後付けの二重サッシを入れました。マンションの構造上、この部屋にはエアコンがつけられなかったので、暑さ対策には窓に取り付けるタイプのクーラーを設置しています。

カーテンはお手製で、窓枠に釘を刺し、伸縮ポールをかけて布を下げているだけ。これもすぐに真似できそうです。

照明は、4つもありました。

タロヲさん:
「前の家で使っていた無印良品のスタンド照明がふたつと、ずっとほしかったハンス・アウネ・ヤコブソンのブラケットと、あとひとつはヴィンテージのものですね。

ヴィンテージのランプシェード2年探したけれどいいものが見つからなくて、イケアで買いました。真っ白だったのを玉ねぎと紅茶で染めたんです」

▲手前のランプシェードをタロヲさんが染めた。

郁美さん:
「ほわんとした明かりが灯って、すごくいいですよ」

ベッドリネンは白い麻と決めていて、気持ちいいのでそれ以外は考えないそう。ベッドカバーは、郁美さんのお店でも取り扱っている、肌触りのいいufururuの6重ガーゼでした。

 

視線を集める工夫。廊下のフォーカルポイント

リビングへ入るドアの左手には、棚板が設置されています。

郁美さん:
「もともと何もないしっくい壁でしたが、リクエストしてこの板を付けてもらいました。廊下にも花を飾りたいな、と思って。

店で花を取り扱うので、週に1回は仕入れに行くんです。そのときに一緒に買ってきた花や、ベランダで育てている植物を飾っています」

 

クローゼットはルーバーで、風通しよく

リビングに入ると、左手には10平米ほどのクローゼットがあり、服のほか、布団なども収納しています。湿気がたまったりカビたりしないよう、ある工夫をしました。

タロヲさん:
「壁の上部に通気用のルーバー(羽板を並行に並べて、光や風を通したり、遮断したりする)を入れています。この家をリノベーションすると決めたときに、リビングにはずっと憧れていたカイ・クリスチャンセンのユニットシェルフを置きたいと思いました。

なので棚の幅に合わせて、ルーバーの幅を決めました」

念願叶って手に入れた家具に合わせて、壁にルーバーを取り付けるなど、細部までこだわったヤマモトさん宅。

続く第3話では、このシェルフに合わせて北欧テイストで揃えたというリビングと、郁美さんお気に入りのベランダを中心に伺います。

(つづく)

 

【写真】滝沢育絵

 

もくじ

 

ヤマモトタロヲ

多摩美術大学建築学科卒業後、建築会社を経て料理の道へ。イタリアン、フレンチの店で修行し、2011年独立。ビストロ「aruru」「urura」、ベトナム料理「yoyonam」などを経営。インスタグラムアカウント@yama.taro

山本郁美

雑貨店に勤務し、雑貨のバイイングと店舗ディスプレイを担当したのち、2013年に雑貨と花のお店「pivoine」をオープン。インスタグラムアカウント@ikkyu.y

 


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