【思いを重ねる家づくり】第3話:かわいさも実用性も。収納力をプラスした、ノスタルジックなキッチン

ライター 藤沢あかり

「自分らしさ」を大切にしながら、居心地よく、家族みんながごきげんに。そんなインテリアは、どうしたら叶うのでしょう。理想の暮らしを実現した人は、どんなふうに住まいを整えてきたのでしょうか。

そのヒントを探るため、翁長詩乃 (おなが・しの)さんのお宅を訪ねています。

ハンドメイド作家「ne-ene(ネエネ)」としての活動を経て、現在はふたりの男の子を育てている翁長さん。ここまでに家づくりのきっかけや、リビング空間に置いたお気に入りの家具のお話をうかがってきました。

今回はかわいさだけでなく、とことん実用性にもこだわったキッチンまわりをお届けします。
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毎日使う場所だから、愛着と実用性を大切に

セミオープンスタイルのキッチンは、スタンダードな正方形の白タイルに、ステンレスのラック、ちょっとくすんだオリーブグリーンのリノリウム床、そして経年変化したようにも見える木のトーン。

海外のおばあちゃんが長年大切に使い込み、料理の腕を奮ってきたような。なんだかノスタルジックな空気がただよいます。

翁長さん:
「リビングと統一感がでるようにと造作キッチンを提案してもらい、新しいけれど懐かしさも感じるような雰囲気を目指してタイルや床の色を選びました。リノリウムの床はダイニングまで続いているので、テーブルや椅子の色とも合わせています。

リノリウムは水に強い素材で、掃除もすごく楽なんです。子どもの食べこぼしもまだまだ多いので、とても助かっています」

▲ダイニングテーブルは長野にある「haluta」の倉庫で選んだデンマークのもの。

キッチンのアイコン的存在になっているのは、HAYのインディアンプレートラックです。

翁長さん:
「ずっと憧れでしたが重さもあるので賃貸では難しく、家づくりの時には絶対に取り入れたいと思っていました。見た目だけでなく、よく使うお皿やマグカップも出し入れしやすく、とても機能的なんです」

▲フックにはキッチンブラシやツールなど、よく使うものをかけて。食洗機のタブレット洗剤は、「出しっぱなしの方が使いやすい」という夫の希望で、ガラスキャニスターへ。

 

適材適所を考え抜いたキッチンだから、毎日スムーズ

かわいさがぎゅっと詰まったキッチン。でも実は、この場所をつくるのに一番心を砕いたのは「毎日の使い勝手と実用性」なのだそうです。

翁長さん:
「子どもが2人いるので、キッチンは1日のなかでも一番長く過ごす場所。見た目の好みも大切ですが、いかに使いやすく、手早く毎日の料理ができるか、実用性を一番大事にして収納や配置を考えました」

設計時には、お鍋やフライパンなどの調理器具から食器、ラップやストック食材といった細かなものまで持ち物をすべて洗い出し、新聞紙を広げた上に実際に並べながら、どこに何をしまうか、どのくらいの容量が必要かを測り、細かく決めていったそうです。

▲コンロ下の引き出しには、フライパンや鍋蓋をアクリルの書類スタンドを使って見渡しやすく。みりんや油など背の高い調味料は手前に置いています。

翁長さん:
「収納が得意な友人のキッチンが、コンパクトだけれど、なんでもすぐに手が届くコックピットのようだったんです。使いたい物が、取り出しやすい場所きちんと収まっているって、なんて便利なんだと感動しました。それを参考に、自分だったらなにを、どこに置けば使いやすいかを考えながら配置を決めたんです」

▲ボウルやザル、ブレンダーといった形が不規則なもの、保存容器のように数が定まりにくいものも、区分けしながら収める場所を決めています。

 

毎日のこまごまを一手に引き受ける、万能ワゴン

「キッチン収納の一番の力作です」。そう言ってシンク下の引き出しをひっぱると、そこには使いやすそうなワゴンが隠れていました。

翁長さん:
「よく使う掃除道具やストック、不燃ごみなどをまとめています。以前の家では、空き瓶や空き缶などの一時置き場に困っていたので、きちんと定位置をつくりたかったんです。無印良品のファイルボックスやツールボックスを入れる前提で、サイズぴったりに設計してもらいました」

▲下段のファイルボックスには、空き瓶や空き缶、洗剤のストックなどを。

▲上段にはクリップや輪ゴム、お掃除スポンジなどを収納。定位置を決めたピッタリサイズは、ものを増やしすぎない心がけにもつながります。

 

見せるものとしまうものを上手に分けて、家族みんなが使いやすく

家電や食材のストック、調味料、食器などは背面のシェルフ収納へ。大小さまざまなかごをうまく使いながら、見せると隠すのバランスをとっているようです。

▲食器は腰高の扉収納のなかに。ここから出して、そのまま上で盛り付けができるので導線もスムーズ。

翁長さん:
「食器は扉のある収納にしたかったので、それ以外はかごや瓶を使いながらざっくりと見せる収納にしています。長く使えるし、見た目にもかわいいので、収納はガラス素材を使うことが多いです」

▲よく使う調味料やお茶などは、「ハウスドクター」のガラスキャニスターに。

翁長さん:
「夫もよくキッチンに立つので、これはこっちのほうが使いやすいかな、と一緒に意見を出し合いながら、そのつど見直しています。

最初は全部しまい込んでスッキリさせたいと思っていましたが、夫は実用重視。一目瞭然でパッと手に取れるほうが好きなので、お互いに気持ちよく使えるように整えられたらと思っています」

トースターの横に置いたガラスジャーは、石けんのディスプレイ収納……ではなく、実はお餅でした。

翁長さん:
「子どもたちの朝ごはん用です。目につく場所にあると、自分でトースターに入れて準備をしてくれるんですよ。でも、お餅のパッケージって赤いものが多いでしょう。ちょっと気になって試しに入れ替えてみたら、意外とかわいく見えたんです。

出し入れのアクションが少ない方が使いやすいですし、子どもも自分から動けるようになります。うちはものが多いし、お気に入りもたくさん。かわいくも見せたい気持ちを大切にしながらも、家族みんなが使いやすく、暮らしやすい家にしていけたらいいですよね」

 

忙しい毎日を、おおらかな気持ちで過ごせるように

キッチンから横に目をやると、大きな窓に切り取られた気持ちのいいダイニングスペースがあります。2階の東側にあるこの一角は、午前中に光がたっぷり注ぐ、すがすがしい場所です。

翁長さん:
「窓からの景色は、この土地を選ぶ決め手でもありました。すぐ目の前に大きな木があって、住宅街なのに隣接した建物がなく、抜け感が気持ちいいんです」

食べ盛りの子どもたちがにぎやかに過ごす様子を横目に、翁長さんは毎日キッチンに立ちます。早く早くと急かされたって、少々食べこぼしがあったって大丈夫。動きやすく、掃除もしやすい場所なら、おおらかな気持ちでいられます。

特別な時間より、ごきげんに笑うなんてことのない毎日の時間こそが、家族の記憶になっていくのかもしれません。

次はいよいよ最終回。4話目では、家じゅうにあるグリーンやお花、そして間接照明の楽しみかたをお届けします。

 

【写真】衛藤キヨコ

 

もくじ

 

翁長詩乃(おなが・しの)

WEBデザイナー、ハンドメイド作家「ne-ene(ネエネ)」デザイナーとしての活動を経て、現在は小3、年長のふたりの男の子を育てながら、整理・収納やインテリアの活動を始めるべく準備中。Instagram:@ne_ene

 


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