【お家さっぱり化計画】第1話:梅雨は「小さな換気」が空気さわやかへの鍵なんです

編集スタッフ 糸井

ジメジメとした梅雨が、今年ももうすぐやってきますね。家で過ごす時間も多くなった今、さらに家に籠もる時間が増える梅雨。そんななかであっても、できる限りカラッとした空気の部屋で過ごせたらなと思っています。

これを叶える簡単な湿気対策・カビ対策がないものかと調べてみると、どうやらちょっとした意識改革でできることがあるみたいです。

そんなアイデア・ノウハウをご紹介する特集「お家すっきり化計画」。

お話を聞いたのは、当店で何度もお世話になっている、住生活ジャーナリスト、ライターの藤原千秋(ふじわら・ちあき)さんです。梅雨時期にこそ意識したいポイント、その掃除のノウハウを今回もたくさん教えていただきました。

第1話は、まず湿気についての意識改革をベースに。換気方法や、急な雨に降られた際の靴のレスキュー方法などをお届けします。

 


梅雨こそすっきり過ごしたい!
ジメジメ対策本部、開幕です


梅雨には、とにもかくにも「まず換気!」。湿った空気はそれだけでカビや細菌が育ちやすい環境に。なので空気についての意識を高めていただくことがなにより大切だと思っています、と藤原さんは言います。

藤原さん:
「花粉やPM2.5、黄砂など、大気の汚れに関する気になるニュースも多いですよね。

それにより、昔よりもみなさんの換気に対するハードルが昔よりも上がってしまったように思うんです。『ほんとに窓をガンガンに開けてもいいの?』と。

ですが実を言うと、家の中の空気のほうが外気よりも大抵汚れているんです。目に見えませんが調理中に出る油煙や衣類からの繊維クズ、それからダニのフンや死骸、カビの胞子などが飛び交っていて。さらにそこでエアコンをかけると空気が内気循環されますしね。それから私たちが呼吸するだけで二酸化炭素も増えていきます。

なので、新鮮な外気を家に運び込む『換気』は、するに越したことはないのです」

▲ちなみに掃除をしている最中よりも、掃除が終わったあとの換気のほうが大事なんです、とも一言。これには確かに、いつも自分は掃除後にもちゃんと換気を続けていたかな……と振り返ってしまいます。

 

換気口を使った空気の循環だけでも「及第点」

そこで手軽に続けられる「換気」の鍵が、家に備わっている給気口や換気扇とのこと。探してみると、リビングやキッチン、洗面所など様々なところに設置されていました。

藤原さん:
「換気が常にきちんと行われるために、住宅には備え付けの換気扇がいくつかあります。おすすめは、それをどれも24時間つけておくことなんです。

換気扇の電気代も微々たるものなので、ぜひ常時オンにして、空気が最大限に循環する環境をつくってみてください。ここを徹底するだけでも、梅雨の室内の空気が違ってきます」

▲窓が少ない家の場合は、ぜひキッチンの換気扇も常に運転させておきましょう。

 

「湿度計」って使っていますか?

まずは換気の意識改革からですね。そして、目には見えない湿気をなんとか逃がす。その指針づくりにおすすめのアイテムが「湿度計」です。

藤原さん:
「湿度計ってそこまでメジャーなアイテムではないかもしれませんね。でもとても暮らしに有用なものなんですよ。

そもそも湿度って、実は温度ほど体感では察知できないものなんです。

たとえば『今日は髪の毛がはねてるから』や『喉の調子が悪いから湿度が低いのかな』という印象で湿度を捉えていますが、10人集めて湿度がどのくらいか質問してみると、全員バラバラな答えになるくらいで。

なので湿度計で数値を確認することが、第一歩に繋がります。それに1度置いて観察してみると、結構楽しいんですよ」

藤原さん宅では、なんと6箇所に湿度計を置いているそうですが、置くところによって全然数値が違ってくるのだとか。たとえば子供部屋や玄関など、「ここってこんなに湿気が溜まっていたの?」と気がつくこともちらほら。

藤原さん:
「手始めにおすすめの設置場所は、玄関の軒先(外気の当たる日陰)。

意外なのですが、小雨や曇りだと外の方が乾燥していることがあるんです。その場合は小雨でも窓を少し開けておいたほうが家の中の空気が綺麗になりますよ」

お出かけする前に湿度計を見る。「今日はどんな具合だろう? 」とチェックする習慣ができることで、夏の熱中症対策にも繋がるのだとか。デジタルではなく、アナログでおしゃれな温湿度計も結構あるそうです。

ちなみに60%を越えると黄色信号で、70%以上だと赤信号。玄関が北向きであったり、坂の下にある家だと、日常的に玄関の湿度が70%の家もあるのだとか。まずはご自宅の湿度の具合を確認するところから初めてみると、気づきが生まれそうです。

 

梅雨どきの靴箱は「開けっ放し」が吉

藤原さん:
「湿気というものが、カビや細菌を育てて、それ自体やその排泄物がニオイの原因になります。逆に言うと湿気を取り除ければ、ニオイの発生をある程度防ぐことができるんです。

たとえば干し納豆は臭わないけど、普通の納豆はニオイが立ち上ることを想像してもらうとわかりやすいかもしれません。菌にもニオイ対策にも、湿気をいかに少なくするかが重要なんです」

そこで意識してお手入れしてみてほしいのが靴箱、さらにはクローゼットやタンスのように扉がついた収納場所とのこと。

▲特に湿気が溜まりやすいのは下段。ここにも温湿計を入れておくと、結構高いことがわかります。

藤原さん:
「閉じた場所=湿気が溜まりやすいということになるので、閉め切っていていいことって実はあまりなくて。

来客がなければ朝から開放し、夕方に閉めるようにしてみてください。これだけで中の空気が循環し、乾燥を促すことができますよ。1時間開けておくだけでも結構変わるので、試してみてくださいね」

 

気になる汚れは、エタノールで拭き取りましょう

藤原さん:
「もしもカビが気になった場合は、靴箱などの棚板の掃除は、エタノールでの拭き掃除で大丈夫です。使い捨てのキッチンペーパーを何枚か重ね、消毒用エタノールをペーパーにしっかりと吹きかけて濡らし、拭きとりましょう。

エタノールであれば、水溶性の汚れや排気ガス系の煤煙の汚れ、カビの胞子も全部1度に落とすことができますよ」

若干濡れた靴を入れてしまったかな? というときも。余裕があるならば、棚板に紙を1枚敷いておくと、土が直接つきにくいというアイデアも。紙はコピー用紙などで大丈夫です。

▲ゴム手袋を裏返して捨てれば、汚れたペーパーも触らずにすみますよ〜と藤原さん。

 

お気に入りの靴が濡れても、これでOK

お気に入りの靴で出かけたのに、急な雨に降られて濡れてしまったことも。放っておくとニオイの元になるとのことで、どうにか手軽に乾燥させたいところです。

藤原さん:
「私のおすすめアイテムは、シリカゲル(乾燥剤)です。靴専用のシリカゲルも市販でありますし、子ども用の靴などの場合は、小分けタイプのものが100円均一でも売っていますよ。

コツは、パンパンに入れること。これによりシューキーパーの役割にもなります。新聞紙や、梱包材の紙があれば床に敷くと靴底の湿気も取れます」

▲靴がかなり濡れてしまったときは、靴専用のハンガーを使うといいそうですよ。

なによりこのシリカゲル、濡れていなくとも普段からも重宝するものだとか。

藤原さん:
「たとえば運動靴にさっと入れておけば、ニオイの防止にも。普段は、冠婚葬祭用の靴などめったに履かない靴に入れておけば、収納場所にも困りません」

***

「化粧品で肌を保湿させるのは大事だけれど、家を保湿していいことはありません。家の中のあらゆる濡れたものは、できるだけ早く乾燥させましょう」。藤原さんが何度か口にしていたキーワードが頭に残ります。

ニオイの元になるのも湿気、カビの原因になるのも湿気。できるだけ家の空気を循環・乾燥させて、湿度を一定値まで下げることが、梅雨時であっても「さっぱり」過ごすためのなによりのコツでした。

続く第2話では、浴槽や洗濯機など、洗面所周りの湿気対策について紹介します。

(つづく)

【写真】鍵岡龍門

 

もくじ

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藤原千秋

住まいや家事のライター&アドバイザー。大手住宅メーカー営業職を経て主に住まい・暮らしまわりの記事を専門に執筆する。現在はライティングの傍ら関連の企画広告商品開発アドバイザリー等多様な業務に携わっている。プライベートでは三児の母。著書に『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など。


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