【我がままな晩酌】スーパーマーケットの魚売り場で足を止めたなら。

ツレヅレハナコ

「今夜のおつまみは何にしようかな……」とスーパーマーケットを歩きまわり、魚売り場で思わず足を止めることがあります。それは、見るからに鮮度のいい魚がズラリと並んでいるとき。ショーケース全体がピカピカと光り輝いているかのようで、今すぐ買って帰らなければという使命感にも似た気持ちになるのです。

魚料理は面倒で難しいというイメージがあるかもしれませんが、たしかに大きな魚を一からおろすのは少々大変。なので、もっぱら私も切り身を買う派です。もしくは、どこのお店でも大抵やってくれる「魚をさばくサービス」を活用。これ、初めて利用した時は感動したなあ……無料で三枚おろしにしてくれるだなんてありがたすぎる。

よく作るのは、酒、砂糖、しょうゆ、みりんでサッと煮る「魚の煮つけ」。フライパンで煮汁を煮立てたら魚としょうがの薄切りを入れ、落とし蓋をして6~7分。そう、実はたったこれだけでできあがり。煮魚って、かなりシンプルなスピードメニューなんですよね。

そんなことを、イタリアでも感じたことがありました。夕暮れ時にナポリの街をブラブラ散歩していると、店の外まで人が出てワイワイ集う飲食店を発見。何の店だろうとのぞき込むと、奥にいた店のおじさんが「入りなさい」と手招きします。店内はテーブルで食事をしている人もいれば、カウンターで立ち飲みしている人も……ただ共通していたのは、皆が魚介を食べていたことでした。

そう、ナポリはイタリア屈指の港町。鮮度抜群の魚介が手に入ります。しかも、聞けばこの店は漁師さんが直営している居酒屋。カウンター内で料理をしている人たちも現役の漁師で、今朝捕れたものを自分たちで調理しているのだそう。どうりでみんな筋骨隆々で、バリバリに入ったタトゥーがまぶしいと思った!

おまかせで出てきた料理はどれもシンプル。でも、ボールに山盛り盛られた生のスカンピ(手長海老)は、殻をむいてオリーブオイルをつけるだけでとろけるような甘さです。そして、剥いた殻はどんどん床に捨てるのがこの店の流儀。なるほど、それで床が海老の殻や貝の殻だらけなのか。

そして感動したのが、「アクアパッツア」。もともとは漁師料理で、船の上で海水を使って捕れた魚を煮たのがはじまり……と言われているそう。でも「アクア」=「水」、「パッツア」=「狂った」という料理名を思えば、船上でグラグラ煮汁が揺れるなかでの料理だったのかなあと想像してしまいます。

こちらで出てきたのは、違う種類の魚2尾と小さなトマトをサッと煮て、たっぷりのオリーブオイルをかけただけのもの。でもメバルのような赤い魚はとても脂がのっていて、トマトの酸味との相性も抜群。そして、なにより魚の出汁が出た煮汁がたまらなくおいしい! パンをひたして、競うように食べつくしたのは言うまでもありません。

日本で再現したいなあと何度も作りましたが、途中から「手軽に切り身で作ろう」「先に皮をパリパリに焼いた方がいいかな」「出汁のうまみをアップさせたいからアサリもプラス」「オリーブもハーブも入れちゃえ」と、いつの間にか現地で食べたものとはかけ離れたものになってしまいました。確かにこれもおいしいし、日本の自宅で作るにはベストなはず。でも、ふとあのカウンターで食べたシンプルなアクアパッツアと、にぎやかに白ワインを飲む人たちのことをなつかしく思い出してしまうのです。

 

「アクアパッツア」の作り方

〔材料 二人分〕
・魚の切り身(鯛、さわらなど)…4切れ
・アサリ…200g*
・セミドライトマト…4~5切れ
・ブラックオリーブ…10粒
・にんにく…1かけ
・イタリアンパセリ…3茎
・塩…少々
・オリーブオイル…大さじ3
・好みのパン…適宜

*アサリの砂抜き方法
2カップの水に塩小さじ2を溶かし、あさりを入れて暗くなるようふたをする。2~3時間置いたら水を替え、殻をこすりあわせるように洗う。

〔作り方〕
1.魚に塩をふる。にんにくは包丁の腹でつぶす。セミドライトマトは粗く刻む。イタリアンパセリはみじん切りにする。

2.フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れて弱火にかけ、香りが出たらにんにくを取り出す。魚を並べ入れ、皮目を含めて焼き色をつけたら、ひたひたより少ないくらいの水(分量外)、アサリ、セミドライトマト、ブラックオリーブを加えてふたをして煮込む。

3.アサリの殻が開いたらふたを開けてイタリアンパセリを散らす。仕上げにオリーブオイル(分量外)をかけ回す。パンで煮汁を吸いながらいただく。

 


食と酒と旅を愛する文筆家。東京都中野区生まれ。お酒とつまみと台所道具がある場所なら、日本各地から世界各国まで旅をし続ける。著書に『女ひとりの夜つまみ』『まいにち酒ごはん日記』(幻冬舎)、最新刊は『ツレヅレハナコの愛してやまないたまご料理』(サンマーク出版)。食や日常を綴るSNSも人気。

Instagram:@turehana1

 

大阪生まれ。東京を拠点に書籍、雑誌、WEBなどで、人、食、旅など幅広いジャンルの写真を手がけている。食いしん坊がゆえに、旅先では必ず市場に行き、働く人や、美味しいごはんの写真を撮り続けている。

Instagram:@etokiyoko HP:http://www.etokiyoko.com/

 

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