【きほんの観葉植物】覚えておきたいレスキュー編:グリーンのプロに聞く、困ったときのレスキュー方法

編集スタッフ 糸井

あの日はじめて家にやってきたときのように、元気で素敵な姿が続いている。そんな風に植物と暮らせたら。

そのためのきほんのお手入れについて、植物のプロであるフラワー&グリーンスタイリストのさとうゆみこさんに教わりました。

前編では、動画と読み物を一緒にお届けしました。後編では、元気かどうかの見分けかたや、一緒に暮らすなかできっと度々訪れる「こんなときはどうしたら?」という疑問を、さとうさんに聞きました。

植物と過ごすなかでの小さな不安が和らいだらうれしいです。ぜひ、お役立てください。

前編はこちらから

 


「こんなときは、どうしたら?」
困ったときのレスキュー方法


Q.元気がある/ないを見分ける方法は

「元気な植物の葉にはハリがあり、新しい葉も展開してきます。

元気がないことには様々な原因がありますが、たとえば水不足なら、しなびた野菜のように、触るとしんなりしていたり、葉がだらんと垂れていたり、ツヤがなかったり。

土が湿っているのにしおれているのなら、原因は水不足以外です。密集した中の枝葉が黄色くなっていたら『蒸れ』が原因かもしれません。

▲茎をよりわけて、土の近くの密集した茎のあたりが黄色くなっていないかどうかを確認します

「枯れた葉や黄色くなった葉は、一度きれいに取り除いてあげます。植物は代謝で葉が朽ちていく場合もありますが、数日後に再び同じように黄色い葉が出るようなら、何か問題があるサイン。

水のやりすぎで根腐れをおこしているか、もしくは置き場所が悪いのかもしれません。水やりを控えてみたり、外の風通しのよい日陰に移動してあげるなど、何かしら考えてみましょう」

Q.買ってきた苗は、鉢に植え替えたほうがいい?

「植物はプランターによって見えかたが大きく変わるもの。でも、すべてを陶器のプランターなどに植え替えなくても◎。たとえば手持ちの器や花器に、このようにプラスチック鉢のまま入れても。穴の空いていないものでもやりくりできますよ。その場合は、器に水がたまらないよう、水やり後にしっかり水を捨てましょう」

Q.水やりをした瞬間に、水が穴から流れ出てしまうようになったら?

水を与えても土に水がしみこまず、鉢と土の隙間から水が流れでてしまったり、ウォータースペースに溜まったまま、なかなかしみこまない時は、土が乾燥しすぎて固まってしまっている状態か、根が育ちすぎて「根づまり」していることが考えられます。

乾燥しすぎている場合は、水をはったバケツに鉢ごと沈めてあげましょう。ポコポコと空気が浮かんできて、だんだんと水が土に染み渡ります。

根詰まりをおこしている場合は、根を整理するために植え替えが必要です(その方法は記事の末尾で紹介しますよ)」

Q.しおれて元気がなくなったら、肥料をあげたほうがいいの?

「元気がないときに肥料をあげるのは、人間でいうところの風邪をひいているときに焼き肉につれていくようなイメージ。より弱らせることにもなる可能性があるので、安易に肥料を与えないほうがいいですね。

まずはじっくり様子を見てみて、土が乾燥していないか、日が当たらないところに長期間置いてしまっていないか、葉焼けするような日差しが強い場所に置いていなかったかなど、今の環境で思い当たる悪いところを探してみましょう。

肥料のあげどきとしては、剪定後や、育ち盛りの4月〜10月の季節に。逆に真冬は控えましょう」

Q.夏の時期に気をつけることはありますか?

「直射日光は葉焼け(葉が火傷すること)を起こすので、絶対にNG。

ベランダや窓際に置くときは、直射日光が当たり続けないような、木陰や適度に遮光されるような「明るい日陰」であることを確認しましょう(ただし、直射日光を好むサボテンや、直射日光~明るい日陰まで対応できるアイビーなどもありますので、それぞれの植物の好む環境を簡単に知っておくことは必要ですね)。

室内の場合、クーラーの風が直接当たらない場所なことも意識してあげるといいですね」

Q.長期不在時にできる対策はあるのでしょうか?

「多肉質のものなのかシダ類なのかなど、植物や鉢の大きさによって異なりますが、少しでも多肉質な植物であったり、大鉢であれば、2週間程度は外出前に水やりしておけば、そのままの場所でも大丈夫です。

薄くてやわらかい葉のものや小さい鉢であれば、水やり後、あえて日の当たらない場所に移動してあげて、植物自体の運動量(呼吸量)を少なくしておきます。

とはいえ、日陰に長期間置くと、茎が細く長く伸びてしまいますので、帰ったらすぐに環境の良い場所に戻してあげてくださいね」

Q.葉焼けした葉はどうしたらいい?

葉が柔らかく大きいものは葉焼けしやすいですね。葉焼け=傷跡のようなものなので、それがなくなることはありません。気になる場合は、その部分をカットしましょう」

▲直射日光で葉焼けしてしまった葉

Q.虫対策はしたほうがいいの?

室内で育てる観葉植物(インドアプランツ)は、外の植物に比べると害虫は少ないと思います。わが家で心配するのは「ハダニ」という小さな虫くらいですね。ハダニは風通しがなく、空気が乾燥している状態が続くと葉の裏に少しずつ発生してきます。

見つけたら、外に出して葉の裏を含めて全体にシャワーをかけて洗い流します。外に出せない大きな鉢植えなら、その場で濡らした布などで葉っぱを拭いてあげましょう。普段から発生しないように葉を洗い流したり、冬は室内で霧吹きしてあげると予防することができますよ(ほかにもアブラムシやカイガラムシなど発生する場合があるかもしれませんが、対処の仕方は同じですよ)」

Q.歯の表面についたホコリはどうしたら?

「ホコリは虫の発生、光合成の妨げになるので、普段から取り除くようにしておきます」

Q.成長とともに、バランスが崩れてきました

多くの場合、原因は光の量にあります。生産者さんのハウスに比べて、一般的なリビングは光量が足りないことが多いので、光量が足りないと植物は光を求めて、茎が細く長く伸びていきます。

この状態を『徒長』というのですが(野菜の豆苗やもやしはこの徒長をうまく使って栽培されています)、徒長すると葉と葉の間の節が空いてきて、茎は細くなり、葉の面積は少しずつ広くなってきます。そうなると枝は垂れ下がり始めたり曲がったりと全体のバランスが崩れ始めます。

気になるようであればぜひ剪定にチャレンジしてみてください。剪定することで形を整えたり、植物自体をリフレッシュすることにもつながりますよ」

 


より綺麗な姿を保つために
「葉と根の剪定」のコツ


▲光を求めるうちに、節と節の間がのびて、茎が細くひょろっと伸びた植物。この機会に剪定してみました

Step 1 葉の剪定のコツは『節』にあり

さとうさん:
「剪定して弱ったりしないかと不安になる人が多いのですが、むしろバランスよく健康に育つために必要なこと。先端をカットされた植物は、光合成をするためにもすぐに芽を出す準備を始めます。

植物によって芽が出てくる時間は異なるのですが、このパキラなら2週間ほどで芽が生えてきますよ。

剪定のポイントは、節を見分けて切ること。茎のどこで切るかで植物の形(木であれば樹形)が変わるんです。

節には期の中心に対して外側を向いた『外芽』と内側を向いた『内芽』があるのですが、この『外芽』のすぐ上で切ることによって、新しく生える茎が外向きに生え、スタイルがよりよくなります。まずはこれだけでも意識してみてくださいね」

▲よく見ると、節には、内側に向かって茎が生える「内芽」と、外に向かって生える「内芽」とがある

葉の剪定のコツ
1.節の内芽ではなく、外芽のすぐ上で切る。葉がない場合は、まず節の線(葉がもともと付いていたところ)を見つけます。そこに小さな点のある場所が、次に葉が出る場所である節です
2.切るときは節のすぐ近くで。節と節の中間地点で切るのは避ける
3.剪定は、あたたかい季節がいいですね。活動が低下する冬は控えましょう

▲ちょっとずらしてあげると、左右非対称に育って綺麗な姿に。これもちょっとした剪定のコツだとか

 

Step 2 根も整えたら、完璧です

▲根づまりは、水が乾くのが早くなったり、葉が黄色くなったりする原因にも。時折意識してあげましょう

さとうさん:
「葉を剪定したら、全体をやさしく持ち上げて、根づまりしていないかもチェックしてみましょう。もしパンパンに育っていたら、ひとまわりほどカットしてあげると育ちに勢いが出ます。

ハードルが高く感じるかもしれませんが、簡単ですから心配はいりません。

ひとまわり大きな株に育てるよりも、今のそのままのサイズで愛でたいなら、鉢はそのままで大丈夫です。大きく育てたいのなら、ひとまわり大きな鉢を選びます。根を大きく育てることで、株自体も大きく成長しますよ」

根を整える手順
1.根を手やもしくはピンセットなどで優しくほぐし、黒くなった古い根を取り除く
2.根の全体をひとまわり小さくなるようにハサミで切る
3.新しい土で植えなおす

▲剪定後のたのしみのひとつ。剪定したなかから勢いのある枝を選んで、水のなかにいれて楽しんでも。見た目的にも、水は定期的に入れ替えましょう根が出てくるので、それをそのまま土に入れると根付いてきます

**

前後編で紹介してきた、観葉植物が素敵な姿でいてもらうための「きほんのお手入れ」でした。

ここにある、さとうさんのお話を見返せば、自信を持って植物を育てられそう。そんな気持ちが湧いてきました。

もっと詳しいお手入れシーンを、動画でもご紹介しています。ぜひこちらもお楽しみください。

【写真・動画撮影】上原朋也


もくじ

 

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さとうゆみこ

フラワー&グリーンスタイリスト。「green & knot」を主宰。フラワーショップやインテリアショップ、専門学校の講師を経て、現在はフラワーコーディネイトやグリーンアドバイザーのほか、植物にまつわるあらゆるジャンルで活躍している。自宅で行なっているフラワーレッスンも人気。Instagramは@yumikosatoooから。


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