【飾ってみる?つくってみる?】03:自分だけの本棚作り。本を数冊とびきりの場所に集めたら
ライター 小野民
大きな変化でなくても、家の景色は見違える。自分の手を動かして、ささやかなお気に入りスペースをつくるシリーズの3話目です。
今回のテーマは、本と本棚。一冊の本を飾ることから、DIYでの本棚作りまで、本にまつわるインテリアのアイデアをお届けします。
教えてくれるのは、インテリアスタイリストの岩佐知布由さん。すぐに真似したくなる工夫を発信する一方で、家には「こんなのがほしかった」と感じる自作の家具もあちこちに配置されています。
▲半円の棚も岩佐さん作。賃貸でも楽しめる小さなDIYや工夫が自宅にはたくさん
岩佐さん:
「本は一冊を主役にしても、何冊かを組み合わせても素敵なインテリアになります。今回DIYで作る本棚は、持ち運びもできるし『自分の本棚』として使うのにぴったりなサイズ感だと思いますよ」
まずは、本を飾るアイデアから。インテリアの一部にしようと考えたら、今まで何気なく見ていた本の表紙が、いつもと違って見えてきます。
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持っている本が少数精鋭の場合にまず試したいのが、表紙を絵のように飾ること。写真集や画集はもちろん、お気に入りの本も、棚に差し込むだけでなく表紙を面で出すだけで雰囲気が変わります。面出しを安定させるには、ブックスタンドを使うのがおすすめです。
でも、そんなに素敵な本を持っていたかな? と不安になっていたら、こんなことも教えてもらいました。
岩佐さん:
「普段あまり見ないかもしれませんが、カバーを外してみると意外なデザインが出てきたりするんですよ。面出しではなく、背表紙の色でコーディネートするのもかわいいです」
取材時にこの話を聞いて帰ってから、家の本のカバーを取ってみたら、素敵なデザインが次々に出てくるではありませんか。白いシンプルなカバーの下にこんな凝った印刷やデザインが隠れていたとは、と感動したので、ぜひ手持ちの本で試してみてほしいです。
さまざまなかごを愛用している岩佐さんのかご×本は、こんなふう。大きなかごに、面を見せて本を重ねると新鮮に感じますし、本を重ねて上の面を飾り棚のように使うこともできるのです。
さて、本の置き場所といえば王道は「本棚」。大きなものは難しくても、お気に入りを並べられる自分専用の本棚があったらどうでしょう。本棚のとなりは「好き」にすぐに手を伸ばせる特等席に違いありません。
でも、ちょうどいい本棚ってなかなかないもの。場所を選ばず持ち運びができて、わたしのとっておきを納めるのにぴったりな本棚のデザインを、岩佐さんが考えてくれました。
およそ1時間で完成
2WAYで使える、大人になった私の本棚
材料
・12mm厚ラワンベニヤ板
①320mm×376mm × 1枚
②320mm×320mm × 2枚
③320mm×260mm × 2枚
④130mm×70mm × 2枚
⑤92mm×70mm × 1枚
※購入するホームセンターなどのカットサービスで指定のサイズにカットしてもらい、がさがさしている部分は荒い目のヤスリをかけておきます。
・木割れ防止ビス(呼び径2.2 × 長32mm)…20本
・木部用着色剤(オイルステイン)…適量
用意する道具
電動ドライバー、直角定規、えんぴつ、ヤスリ、はけ、木工用ボンド、床の上に敷くシート
作り方
【大きい板と中くらいの板をつなぐ】
1. 2枚の仕切りを作る部分に印をつけておく
測っておくのは①の板の長い辺それぞれに2カ所ずつ、合計4カ所です。長辺の両端から130mmのところに12mmの厚さの板の仕切りを後でつけるので、印をつけておきます。
2〜4. 電動ドライバーで板を直角に固定する
固定するのは外側2カ所と真ん中の3カ所。本や台などをちょうどいい高さにして補助台として、①と②(片方のみ)片方を固定していきます。ビスを打つ位置は、板の厚さのちょうど真ん中くらいを狙ってまっすぐに。両端にビスを打ってから、真ん中に打ち込みましょう。
【仕切り板と小さい板をつける】
5. 角にくる小さい板にボンドを塗る
作業しやすいように、固定する部分(長辺と短辺の直角)にボンドを塗って固定しておくと作業が楽になります。このとき、あれば速乾性のボンドを使うのがおすすめです。
6-7. 小さい板④をビスで固定する
短い辺は角から遠い部分に1カ所。わかりやすいように写真では板に手を添えていませんが、実際は板を押さえながらずれないようにビスを打っていきます。
長辺は角から遠い部分を最初に、続いて直角に近い部分の2カ所をとめておきます。横向きに電動ドライバーを使う難しいところです。
8. 仕切り板③を固定する
仕切りの設置面にはボンドを塗って、最初に印をつけておいた部分に固定していきます。
9-10. もう片方の板②、小さい板④、仕切り板③も同じように固定する
左右対称なので、先ほどまでの手順を繰り返していく。
11-12. 一番小さい板⑤を真ん中に固定する
固定する位置は好みでOK。補強の意味では、他の2枚の板と同じ位置でもいいですが、位置をずらすとデザイン性が増します。両端の位置だけずれないように測っておき、仕切り板と合計4カ所で固定します。これで、かたちはできあがり!
ステインのひと手間で、大人っぽく仕上がります
岩佐さん:
「仕上げにステインや蜜蝋などを全体に塗りますが、何を使うかはお好みで。今回は白っぽく色がつくステインを使用していて、塗ったら乾く前に布を使って刷り込みます。商品によって使い方が違うので、注意書きの通りにやってみてください」
これで乾かせば、ペンキで塗ったのとは一味違う、木目の風合いのある白色の本棚が完成。
岩佐さん:
「本棚として使うなら、縦でも横でもどちらの使い方もできますし、横に置いたら飾り棚としても使えます。将来レコードを集めたいなと思っているので、それに合わせてサイズを考えました」
両手に抱えられるほどの小ぶりな本棚なら、家の中で収まりのいい場所をいろいろと探せそう。本を入れたまま移動させるのだって簡単です。
小さいからこそ、テーマを決めて並べてみることもできそうだし、上の面を飾り棚にするのも素敵だし…と想像力がかきたてられます。なにより、家の片隅に「自分でつくった本棚」があるって嬉しい。本を起点に始められることは、いろいろありそうです。
自分専用の「充電スポット」があったなら
家の中を居心地良くするにはさまざまな方法があります。家具の配置などで、がらっと変えるのも、もちろんいい。だけど、まずは小さく始めてみるのも気楽でいいものだと、取り入れやすいアイデアや、挑戦したくなるDIYの家具を見て思いました。
大人になって遠ざかっていた、自分のわがままを叶えた小さなスペースづくり。わたしによる、わたしのためのワンコーナーがあることは、自分専用の充電スポットをつくることなのかも。
部屋の片隅でもいい。そこに自分の「好き」の濃度が高い一角があるだけで、家の景色も明るくなるような気がしました。
【写真】メグミ
もくじ
岩佐知布由
インテリアスタイリスト。インテリアデザインを学んだのち、会社員やアパレル販売等を経て、フリーのインテリアスタイリストに師事。2018年に独立し、雑誌、広告、カタログなどでインテリアや雑貨、暮らしに関わること全般のスタイリングや、ショップのディスプレイ、住宅などの空間コーディネートを行う。
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