【連載エッセー『たゆたゆ – くまがや日記』】第二回:何事もおおげさにとらえない
山本 ふみこ
埼玉県熊谷市にある、築150年越えの農家に暮らしています。
2021年5月、夫の実家である家に移り住んだのです。
台所、浴室、トイレはあたらしくしましたが、あとは、ほとんど昔のまんま。いま、こうしてこれを書いているわたしの机は土間の隅っこにあり、かつては牛が住んでいたのですって。
「ひゃー、牛を見習って、働き者にならなくては」
と、思ったりしています。
いまは、米と麦づくり(二毛作)、ブルーベリーづくり、これまで長くつづけてきた仕事を両立させています。
熊谷での暮らしをはじめるとき、周囲からいろいろなことばをもらいました。
「引越しや移住を、軽く考えないほうがいいですよ」
「
などなど。
それを受けとめながら、わが胸に芽生えたことがありました。
何事もおおげさにとらえないようにしよう。
終の住処にはならないかもしれない。熊谷暮らしに飽きたら、また次を考えよう。
こうして2年半が過ぎました。
飽きたら次へ、なんてことを平気で
ふさわしい距離をとったり。休んだり。大事なポイントだけはしっかり押さえたり(夫を飽きないために大事にしているのは「一緒に食べる」です)。
おおげさにとらえないというのも、工夫のうちかもしれません。
ただし、おもしろいこと、ありがたいことだけは、おおげさに喜びたいな、と思いながら暮らしています。
いま田んぼには、麦の芽が出はじめました。麦踏みをします。
文/山本ふみこ
1958年北海道小樽市生まれ。随筆家。ふみ虫舎エッセイ講座主宰。東京で半世紀暮らし、2021年5月、埼玉県熊谷市に移住。暮らしにまつわるあらゆることを多方面から「おもしろがり」、独自の視点で日常を照らし出す。最新刊『あさってより先は、見ない。』(清流出版)、ほか著書多数。
http://fumimushi.cocolog-nifty.com/
https://www.fumimushi.com/うんたったラジオ/
写真/丸尾和穂
岡山県生まれ。シグマラボ、代官山スタジオ勤務を経て2010年独立。インスタグラムは @kazuho_maruo
https://067.jp
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