【小さな家のインテリア術】第2話:狭くても、賃貸でも、家具配置が同じでも飽きないための工夫とは?

ライター 長谷川未緒

特集【小さな家のインテリア術】では、36平米のワンルームで素敵な暮らしを送っている草木さちさんにお話をうかがっています。

第1話では、狭い部屋でも広々と見せる工夫や、好きな家具を見つけるヒントを伺いました。

続く第2話では、模様替えの楽しみ方や、DIY、用途の違うものを見立てて使う発想術など、すぐ真似できるインテリア術を教えていただきます。

 

あえて同じサイズで揃えて、配置換えを楽しむ

インテリアが好きだとやりたくなるのが模様替え。草木さんは小物類に変化をつけて楽しんでいるそう。

草木さん:
「部屋が狭いので、ワーキングデスクやソファ、ベッドといった大きいものは、場所を変える余地がないこともあり、小さい家具やクッションカバー、花瓶、ディスプレイなどで気分転換しています。

たとえば、いくつか小さいテーブルを持っていて、サイドテーブルにしたり、ディスプレイ台にしたりしているのですが、同じくらいのサイズのものを選び、簡単に入れ替えられるようにしています」

狭い部屋の模様替えでは、ひとつ動かすと連動して全部を動かさざるを得なかったりしてなかなか面倒ですが、あえての同じサイズなら、チェンジするだけでいいので手軽に模様替えできるというのは新鮮です。

クッションも模様替えアイテムの主役で、たびたび変えるそう。

草木さん:
「寒色系が好きなので、ブルーやグリーン、パープルなどをメインカラーに配置。それだけだとさみしいので、アクセント的にピンクの花で彩りを添えるのが最近のお気に入りです。

花瓶も集めていて、季節や花の種類、気分に合わせて変えています」

 

より一層、自分好みの部屋を作る簡単DIY

賃貸だと引っ越す際に原状回復が基本だから、少し気に入らないところがあっても、仕方なくそのまま……ということも多いはず。

草木さんは、ちょっとした工夫で不満を解消しています。

草木さん:
「ワンルームなので、ソファの置き所がキッチンの前しかなく、雑多なものが目に入るのが嫌だったんです。

衝立とかロールスクリーンなども候補にはあったのですが、実現可能で楽な方法はないか考え、天井に貼って剥がせる強力な両面テープでカーテンレールをつけ、カーテンを下げることに。

カーテンは、形状記憶タイプでぴったりサイズをオーダー。くつろぐときはカーテンを引いて目隠しでき、視界がすっきりして落ち着けるようになりました。

気に入らないところはできる範囲で改善することで、より一層好きな部屋になります」

草木さん:
「気になっていた室内のドアホンも、落としても割れないアルミのミラーに蝶番を取り付けて目隠し。絵や布で隠す方法も考えたのですが、鏡なら色もないし、さりげなさが良いなと思いました」

ハーマンミラーのリプロダクト品のチェアに、色もサイズもぴったりのワーキングデスクも、ちょうどいいものがなかったので作ったのだとか。

草木さん:
「コロナ禍でリモートワークになったときに、書き物もパソコン仕事もできて、ちょっと食事も摂れるようなラウンドテーブルを探したけれど、気に入ったものが見つからなくて。

天板と足を別々に楽天で買い、ドライバーで取り付けました。

電動ドライバーがなく手でがんばったので、結構大変でした(笑)。最後、ネジがきつくなってしまい、ちょっとガタガタしています」

テーブルはちょっと難しそうですが、簡単にできそうなDIYも見つけました。

草木さん:
「きれいな箱が売られているのを見つけてちょうどいいと思ったのが、wi-fiのルーターを隠す箱です。

こういうのは生活感が出るので、ずっと隠したいと思っていたんです。もっとちゃんとした家具もありますが、それだとサイズが大きすぎたりしますし、見えなくなりさえすればいい。

カッターでケーブルが通る穴を開けて、しまっています」

 

用途の違うものも、工夫次第でベストなものに

この家に越してきて初めて買ったというヴィンテージチェストは、amazonで購入した鏡をのせて、ドレッサーとして使っています。

このように、本来とは別の使い方を考えるのが好きなのだとか。

草木さん:
「ベッドの下に趣味の油絵の道具をしまっているのですが、隠すためにベッドスカートを探したら、思いのほか高価で。

オーダーするのはお金がかかるし、自分で布を買ってきて縫うのは大変じゃないですか。

そこで無印良品の掛け布団カバーがちょうどいいサイズだったので、マットレスの下にかけて、ベッドスカート代わりにしました」

草木さん:
「ほかにも、お香立ての灰を片付けるのが面倒だったので、何かいいものないかな、と探してコップをお香立てに見立てたり。

自分でできるちょうどいい方法が見つかるとうれしいので、いろいろ工夫しています」

 

好きな空間だから、自分のやりたいことも明確に

クッションも山のようにあって、花瓶もたくさんありますが、不思議とものが多いという印象はなく、すっきり。

インテリア雑貨は気に入ったものは買ってしまうから、その代わり、服は定期的に処分し、器も買うときは慎重なのだとか。

草木さん:
「ワンルームだと収納スペースがどうしても限られるので、器はなるべくキッチンの吊り戸棚に収まるだけと決めています」

あれもこれもと欲張らずに、好きなものに限って存分に楽しむのも、ワンルームを快適にする秘訣のよう。

家が整うにつれて、ますますこの空間が好きになり、自分のやりたいことにも集中できるようになったといいます。

草木さん:
「子どもの頃から絵を描くことが好きだったのですが、最近、YouTubeで学びながら油絵を描くことにハマっています。

油絵はいくらでも修正できるところが自分に合っているというか、楽しいんです。失敗したと思っても、上から塗ったら味になって、いい感じの奥行きが生まれるんですよ」

失敗もいい味になる、というのは草木さんの口から何度も出てきた言葉。ネットショッピングで思いがけない商品が届いたときも、DIYでほしいものを作るときも、そういうポジティブな考えがあるからこそなのでしょう。

これから暮らしに彩りを添えるインテリア小物の製作などをしていきたいのだとか。

草木さんのワンルームから、不満はできる範囲で解消し、知恵を絞って素敵な部屋作りに勤しむ、前向きな心持ちを真似したくなりました。

(おわり)

 

【写真】メグミ


もくじ

 

草木 さち

IT系の会社に勤務する会社員。趣味でポスターを作るなど、デザイン活動も行う。パラレルキャリアとしてインテリアやデザインに関わる仕事を検討中。
Instagram: @sachi_living_

 


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