【特集|その「働きかた」が知りたい】保育園の園長先生とミュージシャン・齋藤紘良さん。第3話:”大人と子ども”をつなぐ仕事。
編集スタッフ 田中
第3話:”大人と子ども”をつなぐ仕事
9月1日から三日間にわたり、
保育園の園長先生、ミュージシャンという
お仕事をもつ齋藤紘良さんに
「働きかた」についてお話を聞きました。
【INDEX】
最終日は、仕事内容やそれぞれの活動に
ついての思いをぐっと掘り下げて
お聞きしました。
“大人と子ども”、
このキーワードでつながっていた活動に
潜む強い気持ちが伝わってきましたよ。
園長先生のしごと。
子どもをひとりの人間として、
しっかりと向き合える保育をめざす。
-田中:保育の仕事について聞かせてください。
紘良さんが園長をつとめる園は、年齢を越えて
全員で遊んだり、1日の過ごし方を自分で
決めるような自由度の高い保育だなと感じます。
どんな保育をめざしていますか?
齋藤:
「子どもをひとりの人間として、
しっかり向き合っていくことがいい保育に
つながると思っています。
保育者と子どもとの関わり合いは現場で
働きながら、周りのアドバイスや経験で
学んでもらいますが、そのひとつとして
「自分が得意なことで子どもに接する」
ということをやってますね。
例えば、僕なら音楽の楽しみ方を
伝えたり、ある職員はソフトボールを
ずっとやってたからボールの投げ方、とか。
ほかにも妖怪に詳しいひとがいたら
今度それを披露してくださいって
言ってみたり。」
▼お寺の裏手にある山を越えると保育園。
わたしとても暑そうに上ってます。
▼園舎
-田中:
日々人材育成にも携わる齋藤さんが
大切にしていることは何ですか?
齋藤:
「子どもの命に関わることや、
仕事ぶりがルーチンになってしまったり、
子どもに対して尊厳のない状態で
接していたら厳しく指導します。
でもそれ以外では職員を信頼し、
自由にやってもらっていますよ。
先生達とも、毎日仕事後にその日あったこと
を話してコミュニケーションをとります。
子どもから気づかされることも多く、
大人だって日々の小さな気づきを
大事にしていってほしいと思っています。」
自分たちの保育園だけでなく、
“子どもを思う気持ち”が外へもっと伝わるように
-田中:私も将来子どもができたら、この保育園へ
通わせたいなと思う素敵さです!
でも全国の幼児がここに通えるわけではない。
きっと親御さんのなかには、
住んでる地域にこういう保育がないからだめ、と
思ってしまってる方もいるかもしれません。
齋藤:
「はい、大事に思っているのは
自分たちの保育園だけが
素晴らしいのではないということです。
先代の園長が常々仰っていました。
究極なことを言うと、周りの大人たちが
その子のことを見てあげていれば
おもちゃが一個もなくたって幸せなんだと
思いますね。」
奥様の美和さんも同じように考え、
編集者として役立てる方法で
がんばっていらっしゃいました。
美和:
「子どもの達の日々の様子をしっかり見て
それをご家族はもちろん、
普段子どもに接してない地域の方や
子どもを見守る人々へも届くように。
また、当園ではひとりひとりの子どもたちを
大切にしたいと思っていますが、
大人に対しても同じなんです。
先生方も保護者も大切にしたい、
そういう心を持てる人間で
いることが私の仕事だと考えています。」
▼音楽の部屋
(撮影:品田裕美)
▼動物も飼っています。こちらはヒツジのメェー。
▼廊下で。小さな鞄が可愛らしい。
園長先生の仕事着スタイル
-田中:ちょっと寄り道した質問です!
園長先生としての仕事着を見せていただきました。
どんなイメージで選んでいるのですか?
齋藤(以下敬称略):
「普段は平服でいってしまいますが、
外部の会議があるときなどはフォーマル感も
出せて、且つ子どもとも遊べるような服を
選んでます。」
この日もシンプルなTシャツに
胸ポケットや後ろ姿のカッティングが
絶妙なデザインのものを
着ていらっしゃった齋藤さん。
鍵岡カメラマン(男性)とおしゃれ談義に
花が咲いていましたよ。
ミュージシャンのしごと。
COINNが大切にしたいのは、
子育てに寄り添える音楽であること。
COINNでの齋藤さんの担当楽器チェロ。
ダイナミックだけど静かに響く、
低音のベース音を聴かせてくれました。
ここからは音楽活動について
お話を伺いましたよ。
-田中:子どものための音楽って
けっこうあふれていると思いますが
大人も子どもも楽しめるところに、
COINNが大切にしていることが
凝縮されているように感じます。
齋藤:
「はい、子育て中の人にも音楽を
楽しんでもらいたいと考えています。
COINNのライブは
子どもたちが多い場で行うこともあれば、
大人が集う場所にも出向きます。
あと”おやすみライブ”と称した
U-streamでの無料配信など多岐にわたります。
子どものお昼寝や就寝、
おなかがすく時間のことを考慮して
ライブの開演時間を午前中にしたり。
遠方で来れない、
ライブ中に騒いじゃダメだから
なかなか外出する勇気がない、
産前産後で出かけられない、、、
そんな方のためにインターネット配信の
ライブを企画したり。
いろんな状況があるなかで音楽がある場所を
限定しないために、育児中にも寄り添える音楽で
ありたいと思って活動するのでいろんな企画が
でるんでしょうね。」
ライブ後の振り返りでは
『今日の服、ステージに上がってみたら
四人が合ってなかった』
『赤ちゃん連れのお母さんたちには
最初にライブ中泣いてもいいよ!と
言ってあげようか』
『あの言葉遣いじゃ、子どもには
わからないから違う言葉にかえないと』など
細かなことも含めて真剣に
話し合っているのだとか。
小さな違和感について気づいたことを
共有する、それは私たちのお店での
働きかたにも通じていて「なるほど」と
うなずきながら聞いていました。
▼チェロの音を録音するリボンマイク。
とっても繊細で温かみのある音が録れるのだとか。
COINNの仕事着スタイル
-田中:上の服は、COINNのメンバー
ミュージシャンとしての仕事着スタイル。
カラフルな色合いですね、他のメンバーとも
どんなふうに合わせているんでしょう??
齋藤:
「子どもにとっては、デザインよりも先に
色が目に飛び込んでくると思うので
子どもが多いライブのときは発色のいい服を
メンバーと相談して決めています。
反対に、大人もけっこういるライブでは
それぞれ好みの服を着るので
割とおとなしめになります。COINNメンバーは、
みんな根がシャイなんです(笑)。」
明るくポップな歌では、PVで踊ったりもする
メンバーの意外な(?)一面でした。
COINNの活動、これからも楽しみですね。
今の「働きかた」は自分に
フィットしていますか?
-田中:お話を伺って仕事を複数持つ理由、
それがどんな効果をもたらしているかが
だんだんと伝わってきました。
最後になりますが
今の働きかた、ご自分ではどう感じていますか?
齋藤:
「そうですね、まだ課題もありますが
COINN、保育園、お寺、ソロ活動、、
境目がなくなってきています。
そういう働きかたは、ありがたいなと
思っています。
僕はお寺に生まれて、生死がすぐ側に
ありました。誰も避けられないものを
目の前に見ていて、恐怖を感じた事も
ありました。
けれど、そういう避けられないものに
対峙しているからこそ自分のしてきたことを
無駄だと思ってはいけない。
少しずつですが自信をもって
深めれば、周りのひとにも伝わると
信じて続けていきたいです。」
———————————————————
齋藤さんにお聞きした、働き方のこと。
いかがでしたか?
私の個人的考えですが、齋藤さんは
家業を継いで自分が生まれた環境を
受け入れた後で「こうはしたくないな」
「なんだか、それだと違う」と違和感を
覚えたことに正直に向かい合い、
心地いい場所を探したんだと思います。
「これかな」と思えるまでに、きっと
外のものを取り入れたり、内側で培ったものを
出したり、きっとみんなが考えて悩む過程と
同じだったでしょう。
静かで、穏やかな齋藤さんの内に潜む力、
これからもいろんな形で目にできそうですね。
そして、働きかたのこと
こんなふうに真剣に考えてみるのもいいと
感じてもらえたら嬉しいです。
他の方の働きかたを見ることで
みなさん一人一人の今までの経緯や
今の姿をじっくり見つめて
「わたしよく頑張ってきたな〜」なんて
顧みる時間にもなったらと思います。
最後までお付き合いいただき、
ありがとうございました。
写真:鍵岡龍門
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