【夏の終わりに読みたい本】人生には忘れられない夏がある・さだまさし「解夏」
文・写真 スタッフ田中
「夏の終わりに読みたい本」と題して三冊の本のおすすめをしています。
三冊目の今日は、歌手・さだまさしさんの代表作ともいえる本。映画化されたのでご存知の方も多いかもしれませんね。それでは、どうぞ。
人生には忘れられない夏がある。
さだまさし著「解夏」
Story:東京で教師をしていた隆之は、視力を徐々に失っていく病におかされ、仕事を辞めて母が住む故郷の長崎に帰る。そこへ東京に残した恋人の陽子がやってくる。将来を思い悩む二人や地元で出会う人々、風景が織りなす物語。
この本のミドコロ
人生のあり方を決める「夏」がある
「夏」を歌った曲や、詩や短歌、俳句、小説などは多く、さまざまな記憶が刻まれる季節。
人生のあり方を決めるような季節の時間は、とてもゆっくりと流れて、ひたすらに1つのことが頭のなかをグルグルと巡るような気がします。ずっと肩のあたりに寄り添っていて、ときに重くなったり、ふと軽くなったり。みなさんにもそんな経験ありませんか。
考えをめぐらせているときは五感も研ぎ澄まされているでしょうから、蝉の声や大きな入道雲、キーンと冷えたビールに花火、、夏を象徴する風物詩が印象深いのかもしれません。
支える、支えられる、辛苦をともにするということ。
病気を抱えた主人公と恋人の陽子。
二人のやりとりは、辛苦をともにするということの意味を考えさせられました。どちらも行きすぎてはいけないし、控え過ぎてもいけない。
そのバランスを培い、ふたりが徐々にバートナーになっていく過程が描かれています。
人物の感情が映し出されたような、長崎の風景が美しく描かれていて、ここにも感動を覚えました。
スタッフ田中の「読んだあとに」
故郷の風景が「心」を映し出すシーン。
長崎の風景を見たくなって、本屋さんで観光の雑誌などを読んでしまいました。
前述しましたが、この場所でなくてはいけなかったというくらいに、風景と心が一致した場面があらわれるんです。
▲イラストはイメージ(稲佐山頂上からの長崎港)
夜景がきれいと有名な標高333mの「稲佐山」。電車で陸側から長崎にきたときに目にはいるのは、小高くそびえる山の姿なのです。けれど海から船でくると、なだらかな傾斜をともなって畝(うね)になり山となるため、すごく大きくは見えないのだそう。
ものごとは、見る視点を変えたら、そのこと全てが様変わりするのだということを暗示しているような一節で、じんわりと心に残りました。
お盆明けから毎週一冊ずつご紹介してきましたが、いかがでしたか?
本当はもっとたくさん候補があったのですが、そのなかでもキュンとするセンチメンタルなものや、童心にかえるものなどを選びました。
このコラムでご紹介した本を手にとるきっかけになれば嬉しいのですが、みなさんが「夏の終わり」ときいて思いだした本なども手にとっていただけたらいいなと思います!
今回ご紹介した本について
解夏(げげ) さだ まさし 幻冬舎 2002-11 |
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