【選びとる人、そのカタチ】何を選んだか?そのなかに、いつもアイデアは眠ってる。(デザイナー・阿部好世さん)

編集スタッフ 二本柳

erabitoru_abeyoshiyo_20151020_0278聞き手・文・写真 スタッフ二本柳

スーパーで野菜を選ぶ。通勤中に読む本を選ぶ。ランチを食べる場所を選ぶ…。

「選ぶ」という行為は、わたしたちが日々暮らしていくなかで、あらゆるカタチで繰り返されています。

そんな、職業や年齢、性別に関係なく、誰もが行っている「選ぶ」という行為に注目してみよう!と始まったのが、こちらのシリーズ「選びとる人、そのカタチ」。

vol.04となる今回は、当店でも今年の7月よりお取り扱いをはじめた服飾ブランド『petite robe noire(プティローブノアー)』のデザイナーである阿部好世(あべ よしよ)さんにご登場いただき、「アイデアの源を選びとる」という観点でお話をうかがってきました。

petiterobenoire_m-9052写真:鍵岡龍門

 

アイデアってどうやって生まれるの?

 
阿部さんは、「身にまとう人がドキドキするようなものづくり」ということをとても大切に、アクセサリーや洋服の制作と向き合うデザイナーさんです。

理想とするカタチを実現するためなら、手間も時間も惜しまない。その丁寧なものづくりの姿勢は、特集『阿部好世さんとpetite robe noire』でもお届けしてきました。

そんな阿部さんに、今回聞いてみたかったこと。

それは、デザインのアイデアは、どのように生まれるの?ということでした。

阿部さんのデザインしたアイテムは、身につけている人を見ればすぐに、「『プティローブノアー』のものだ」と分かるような、まさに「ここにしかない」デザイン。そんな独特のアイデアが生まれる過程はどんなものなのか?どこからインスピレーションを受けて、制作のアイデアにつなげているのか…?

阿部さんのアイデアの源は、「選びとる」ということにヒントが隠されていました。

erabitoru_abeyoshiyo_20151020_0281

 

「選ぶ」ことにアイデアは眠ってる。

 
わたしたちの暮らしの中でも、仕事はもちろん、家事や子育て、遊び……あらゆることにおいて、いつも問われる「アイデア」の話。良い考えがいつでも浮かべば万々歳ですが、なかなかそうもいかないのが現実です。

阿部さんのアイデアは、一体どこから生まれるのでしょう?

阿部好世さん:
知らず知らずに選び取っているもの。そういったものの中に、アイデアって詰まっているものだと思います。

私たちは日々、『選ぶ』ことの繰り返しで生活をしていますよね。数ある選択肢の中からどれを選びとり、どれを削ぎ落とすか?それを決めるのは、他ならぬ本人の意志です。

だから選べるということは、つまりアイデアがあるということだと思うんです」

erabitoru_abeyoshiyo_20151020_0282

 

ゼロから生み出すのは難しいけれど、「選択」することならできる。

 
阿部好世さん:
「実は私も『何かはじめよう』というときに、何もアイデアがわかない時期がありました。面白いことをしたいのに、魅力あることを思いつかない不甲斐なさに落ち込んで。

そのときに思ったのは、考えがまとまらずに悶々としている時って、自分の意志が見えないときなんだな…ということ。だから『選ぶ』ことで意識的に自分の意志を掘り起こすんです。

例えば日常的なことで言えば、献立が思い浮かばなくて困ったとき。そういう時はとにかくレシピ本を開いてみて、レシピを1つ、2つと選んでいきながら『食べたいものってこんなもの』とイメージをだんだん固めていきますよね。

アイデアを生む過程も、これと同じです」

ゼロベースでアイデアを出すのは難しいけれど、複数の選択肢の中から「選びとる」ことならできる。

そう考える阿部さんは、ものづくりに取りかかる前に必ずやることがあると言います。

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何にハッとしたのか?
心の引っかかりを見逃さない。

 
阿部好世さん:
「制作を始めるまえに、これまで集めてきた『好き』が詰まった棚を上から下まで一通り眺めてみるようにしています。そして、そこからハッとしたモノを選びとってみる。

棚の中から選ばれたものたちを目の前に並べてみると、今の気分を客観的に掘り下げることができるんです。

『あ、わたしは今こんなことに興味があったんだ』『じゃあ、こんな企画を立てるのはどうだろう…』そんな具合にアイデアが具体的になっていきます」

たとえば、阿部さんが最近選びとったのはこちらのポラロイド写真集。

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阿部好世さん:
「何故だか惹き付けられてこの本を手に取ったのですが、よくよくディテールを見ていくと、どこに魅力を感じたのかが分かってきます。

この本の場合は、まるで紙の上に直接写真を貼りつけたような印刷技術にその理由がありました。

写真が美しいかどうかももちろん大切ですが、私はそれよりも、一冊の本としてのクオリティーだったり、見せ方の工夫や構成、編集といったディテールの部分から気づきを得ています」

それから次に出していただいたのが、蚤の市で買い占めたという羽根の数々。

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阿部好世さん:
「最近は、めっぽう羽根に弱いんです…。なんといっても色が美しいですよね。

染色の技術もありますが、“時間” という魔法がかけられて、なんとも言えぬ色合いになっています。

この羽根を使ってよくやるのは、色の組み合せ。直感的に選んだ羽根を組み合わせていると『あれ、私こんな色合わせが好きなんだ』と気付かされたりして、それを制作アイデアの手がかりにしています」

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どうやら阿部さんにとって「選ぶ」ということは、自分のアイデアを客観的に知る手段にもなっているようです。

そう言われてみると、私も「何かしら活字を読みたい…」という漠然とした気持ちで本屋に行くことがよくあることを思い出しました。

そんな時にじっくり時間をかけて1冊を選び取ろうとしていると、「私ってこんな気分なんだな」「こういうことに興味があるんだ」と気付けたり。

それは、阿部さんの言うように、自分の中ですでにある潜在的なアイデアを掘り起こすきっかけになっているのかもしれません。

 

わたしの、選ぶカタチ。

「選ぶことは、自分の意志を確認すること」

 
阿部好世さん:
「私にとって、『選びとる』ということは意志を確認することです。

理由はわからないけれど、なぜかドキドキしてしまうもの。

そういうものを目の前に並べてみれば、自分の考えやアイデアは見えてきます。

だから日々暮らしているなかでも、ドキドキに対して鈍感にならないことが大切。

私はランチを選ぶことひとつ取ったって、すごく真剣なんですよ(笑)本当に食べたいものってどれ?と…。

自分は何が好きなのか?何にハッとしたのか?そういうことに、常に耳を傾けていたい。そして、心動かされるものを日々選びとっていたいな、と思います」

 
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