【平日の夜にしたいこと】第4話:ワイン1杯分だけ。30分の「寄りみち読書」で心をリセット。
編集スタッフ 二本柳
第4夜
30分の寄り道で心をリセット
読書は、最も手軽な旅。そして最も手軽な現実逃避かもしれません。
ランチタイムや通勤電車… そんな隙間の時間にだって、一度ページをめくれば今とは別の世界が広がります。
色々なことがギュギューっと詰まる平日の夜の頭には、そうした「旅」が時に必要。
特集「平日の夜にしたいこと」の最終話は、寄り道の読書をテーマにお届けします。
ワイン1杯の30分。時間を決めて寄り道しませんか?
以前、スタッフみんなで社食を食べながら「仕事が終わってから何しているの?」という話題で盛り上がったことがあります。
そのなかであるスタッフがこんなことを言っていました。
「時々、馴染みのお店で1杯のワインを頼む。それをチビチビ飲みながら読書するのが好きなんだ」と。「ほんの30分程度なんだけどね」
会社と家庭の中間地点で、ほんの1杯のワインを飲むだけの寄り道。そこでどっぷりと、本の世界へ浸かるのだそうです。
たしかに30分という制限を設ければ、忙しい平日だって寄り道はできるのかも…。一旦そこで本の世界に没頭できたなら、、帰宅後の家事も、翌日の仕事も、なんだか頑張れそうです。
平日に読みたい、短編3冊をご紹介します。
それではさっそく、ここから平日の夜に読みたい本を3冊ご紹介します。
「30分の寄りみち読書」というテーマに合わせ、短い時間でもきり良く読み終えられる “短編” のものを。
それから、翌日また「がんばろう」と思えるような、温かい気持ちにしてくれる本を選びました。
とがった心もまるくなる。
原田マハ著
『ジヴェルニーの食卓』(集英社文庫)
この部屋にいるときは、誰もが笑顔だった。(中略)誰もが笑い、食事を満喫して、人生を楽しんでいた。ここは、最初から、ずっとそういう場所だったのだ。(p223)
登場人物は、「印象派」と呼ばれる画家。マティス、ドガ、セザンヌ、そしてモネの4人の巨匠に、それぞれの短編ストーリーが与えられます。
この一冊が平日の夜におすすめな理由は、ページを繰るたびに、物語の舞台となる時代へ “タイムトリップ” するような感覚を味わえるから。
仕事から家庭へスイッチを切り替える、儀式のような時間になるからです。
ここに登場する巨匠たちは、芸術家である前に、ひとりの愛すべき人間として描かれています。
彼らは、とにかく人間らしさ(欠点や愚かさ、そして優しさ)に溢れていて、だからこそ、じんわりとあたたかい。
わたしの場合はトゲトゲしている自分に気付いたとき、この本を手に取ります。すると、読み進めていくうちに、すっかり心がまあるくなっていく。
「さて、美味しいご飯でも作ろうか」という、穏やかな気持ちを自然と取り戻せるのです。
私の “ふぬふぬ” は何だろう。
高山なおみ著
『帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったのだ。』(文春文庫)
ヒトの形になる前の、というか、ヒトという服を着る前の体。骨でもないし、筋肉でも内臓でもないもの。何かふぬふぬとした原始的な粒みたいなもので、(中略)私の中からなくならないもの。この本を書いていた時期、きっと私はそのふぬふぬが何なのか、そればかりを探っていたような気がするのです。(p223-224)
料理家・高山なおみさんが30代の時に書いた、33のエッセイが綴じられたこちらの本。
切なく悲しいのに、なぜか読んだあとにふっと心が温まる一冊です。
わたしたちは、心の不安や弱みのような部分を人にさらけ出したとき、不思議にも勇気が出ることがあります。
この一冊ももしかしたら同じで、高山さんが経験した様々な葛藤が、美しい世界観のなかで静かに語られている。そこに寄り添うような読書体験が、読後のぬくぬくを生むのかもしれません。
平日の夜、昼間の自分へ反省点があったり、なんだかうまくいかなかった〜、なんて時。ランダムにページを開いて読みながら、わたしも元気をもらっています。
読むほど心に沁みる、言葉の力。
吉野弘著
『吉野弘詩集』(ハルキ文庫)
(前略)唐突だが
奈々子
お父さんは お前に
多くを期待しないだろう。
ひとが
ほかからの期待に応えようとして
どんなに
自分を駄目にしてしまうか
お父さんは はっきり
知ってしまったから。(後略)(p53-54)
結婚した友人や、転職を決めた友人、何かの門出にある人へ吉野弘さんの詩を贈ってきました。
わたし自身、吉野さんの言葉にいつも励まされ、自分の選んだ “決断” を肯定してもらってきたからです。
何かを決めるときというのは、どうしたって孤独を感じるものだから、せめてもの後押しをという想いを込めて贈ります。
なかでもこちらの詩集は、日常の何気ないヒトコマから、家族の営みや自然の移り変わりなど… あらゆるテーマをまとめた一冊。
時にユーモラスに、そして優しく柔らかい吉野さんの言葉は、平日の夜に繰り返し読みたくなる力を持っています。
夜の時間が、明日への活力につながりますように!
全4話にわたってお届けしてきた特集「平日の夜にしたいこと」はこれにて完結です。
忙しい夜にも気軽にできる離乳食と幼児食のレシピや、お家のレイアウト改造、寄りみち読書などを提案してきました。
今回お届けしたアイデアが、「よし。またがんばろう!」と、明日への活力につながれば嬉しいです。
(おわり)
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