【スタッフコラム】だんだんと浸透していったキモチ、価値観の変化がおこった本。
編集スタッフ 田中
本って、やっぱりいいもんだと思います。自分と本の世界を行き来できて、あたらしいことはもちろん、見逃していたことに出会えるから。
そう思ったのは、文筆家・小川奈緒さんとイラストレーター・小池高弘さんの著書「心地よさのありか」を読み終わってからです。
以前、わたしも取材に伺ったり、当店のリトルプレスへエッセイを寄稿していただいたり、とてもお世話になったお二人。この3月に上梓されたエッセイ集、エピソードのなかのいくつかは、リトルプレスに掲載されたものもあるんですよ。
だいぶん前のことになりますが、出版記念トークイベントに足を運びました。その日から数ヶ月、ぱらぱらとページをめくるたびにフワリ、フワリと頭に浮かんでいたことが、だんだんクリアになってきています。
細い枝の伸ばし方や新しい葉っぱの付け方を、変えてゆく。
お二人のトークイベントはさまざまな場所で行われていましたが、わたしが訪れたのは荻窪の「TITLE」という本屋さん。
このときは、今回の本がどのようにして作られたのか、文章やイラスト、装丁の話などをお話しくださいました。このときに素晴らしいと思ったのが、試行錯誤し、仕事の進め方をつねに模索されているということ。
エッセイは小川さんが、イラストは小池さんが書かれますが、以前はエッセイができてからイラストを描かれていたのを、今回は同時進行にしてみた、そうしたら変化があったことなど、さまざまなエピソードを披露してくれました。
こういうことを伝えたい!と、深いところにあるコンセプト…….木に例えれば、太い幹はおなじでも、枝の伸ばし方や葉っぱの付け方は変えてゆく。ああ、すごいなあ…….わたしは「この方法だと迷わない!」というものに出会うと、繰り返し繰り返し使いつづけていたけれど、それじゃダメなときもあるもんな、とハッと気づかされました。
物足りないことも、ときにはいい。
もうひとつ、わたしの頭をクリアにしたのは、小川さんの文章についてのお話。「ぜんぶ説明してしまうのではなく、次のページをめくるとまだ続きがありそうな感じ」を目指されたと聞いて、なるほど…….!と膝をたたきました。
どうも性分なのか、情報はすべて開示されているのが良い状態だと思っていたのが、少しずつ崩れます。その頃、仕事以外にもいろいろと変化があり、これまでの価値観に従っていると、ちぐはぐになってしまうなぁと感じ始めていました。
「心地よさのありか」は変わるんだ。
もともと、自信がなくて小心者な性格のわたし。つねに「自分は、ボキャブラリーが足りない。企画力が足りない。リーダーシップがない。このスキルが足りない。ない、ない、ない…….」とネガティブな考え方に偏りがちです。
名付けて、足りない病!とでも、言いましょうか(笑)。
トークイベントに行った後もぱらぱらとページをめくります。本と実際にお話を聞いたことが、ぐるぐると頭のなかを巡っていき、思いもよらないところへ着地しました。
だんだんと足らないことを不安がるキモチが減っていったように思うのです。満ち足りるときは一瞬で、結局いつも足りてないんだもの、これ見逃していたな。すこし足りないくらいの地点にも「心地よさ」があるのかも。そう思うと、周囲の景色が変わってみえるのです。
わたしの場合はお二人のトークを聞いたことも相まって、本と一緒にだんだん浸透していきました。こうして時間をかけて気づかされることもあるから、本っていいもんですね。
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