【スタッフコラム】母とわたしの “買い物ブギー”
編集スタッフ 寿山
先日、上京した母親とともに、久しぶりに都心のきらびやかなデパートを訪れました。
地元にあった唯一のデパートがつぶれて以来、母の楽しみのひとつが、上京したときに娘と街にくりだして買い物すること。
出産してからめっきり付き合うことができず、ずっと気がかりだったのですが、こないだ3年ぶりに母と二人だけのショッピングに出かけました。
デパートについた私たちは、正面玄関のクリスマス飾りを見て「キラキラしてるね〜」とテンションが急上昇。とりわけ用もないのに1〜7階までのフロアを隈なく見て回りました。
とくに母が好きなリビングフロアは、ぐるぐると2周ほどまわって。「きゃー何この値段⁉︎ でも綺麗だね〜」などとたっぷり物見遊山をした末に、使い勝手のよさそうな菜箸とかわいいキッチンクロス、それに浅草から実演販売にきていた老舗の毛玉とりブラシを購入。
浮きたつ心とは裏腹に、なんて地味で、でも暮らしに役立つ、私たちらしい戦利品です。
「一緒に出かけると、やっぱり楽しいね」と、ふたりで自己満足に浸りながら、お昼もとうに過ぎた頃にレストランフロアへと駆け込みました。
「何食べよっか?」と聞くわたしに、「お肉でも食べようよ」と、母にしては珍しい答えが返ってきました。
そんな母のリクエストから、熟成肉が看板メニューのビストロに入り、ふたりでステーキをオーダー。いつぶりだろうと話していたら、たっぷり2枚のお肉が重なったステーキが出てきました。
「食べきるかな?」と顔を見合わせた私たちを救ってくれたのが、お肉に添えられていた大粒のマスタード。
それは “粒マスタード” の概念をくつがえす、プッチプチの食感で。ほんのりとした甘さのなかに上品な酸味を感じる、なんとも美味な調味料でした。
思わず店員さんに「これはどこで売っているんですか?」と質問したら、「取り寄せ品なので、わからないです」との答え。
それでも諦めきれない私たちは、お会計を終えて「高級デパートだから、もしかしたら食品売り場にあるかもよ」なんて言いながら、地下へと向かいます。
地下食品売り場は、デパートに入る前から最後に行こうと決めていた、わたしたちが大好きなフロアです。
後回しにした理由は、デパ地下の誘惑の恐ろしさが身にしみていて、手荷物が増えることがわかっていたから。案の定フロアに降り立つやいなや、メラメラと炎のような物欲がわきたつのを感じます。
もうすっかり粒マスタードのことは忘れて、「じゃあ、30分後にここで待ち合わせね」と、母と分かれて戦闘モード全開で、フロアを物色しました。
集合時間になって母と落ち合い「アレどう思う?」と、互いの欲しいものにふたりで決断を下していきます。
そんなこんなで、両手いっぱいに荷物を抱えた私たちは、帰り際に「あっ! 粒マスタード忘れてた」と、ビン詰め調味料のコーナーへと急ぎました。
ちょっとドキドキしながら、ジャムじゃなくて、ピクルスでもなくて、アンチョビでもなくて……と目でおった先に「あ、これかも⁉︎」と、何やら高級そうなビン詰めの大粒マスタードを発見!
タスマニア島の北東部に自生する、ペッパー・コーンというマスタードの種を乾燥させ、タスマニア産の蜂蜜やアップルサイダーにヴィネガーなどを合わせ、少量のグリーンペッパーとともに30日ぐらい漬けた無添加の品、とあります。
その値段にひるむも、いたく美味しそうな紹介文に背中を押され、思い切って1瓶ずつ買って帰りました。
もはやビストロで食べたものと同じかもわからない高級調味料を手にした私たちは、電車でその日見たものや感じたことを振り返りながら、満ち足りた気分で家路につきました。
というわけでわが家の冷蔵庫にやってきた大粒マスタードは、まわりの食材と比べて少し浮いた存在ではあるものの、このところ週末の一番の楽しみとなっています。
金曜の夜にちょっとだけ立派なソーセージを買って、土曜の朝にたっぷりの大粒マスタードを添えて食べるのが、楽しみで楽しみで仕方ありません。食べながら母との思い出もよぎる、いつまでも無くならないで欲しい、愛しいビン詰めです。
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