【スタッフコラム】大阪で出会ったひと
編集スタッフ 津田
知らない街、知らないひと。そのなかを一人で歩く。
◯◯せねばならぬ、といった縛るものがない、自由ってすばらしい!と、心がのびのびする瞬間です。
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先月のこと。友人の結婚式で大阪に行ったときも、せっかくなので、翌日は一人で街を歩くことに。
ホテルの近くに、古いけれど渋くていい佇まいのビルがあり、好きな感じの雑貨屋さんが何軒か入ってて、そこに行こうと当日思い立ちました。
完全に行き当たりばったりなので、到着すると、目当てのお店のドアには「ただいま休憩中、30分後に戻ります」の貼り紙。
さっそくのことに「あちゃー」と思いつつ、コーヒーでも飲んで待とうと、ビルの1階にあるカフェへ行きました。
***
けれど、ドアは開け放たれているのに、店員さんがいない。どうしよう、うろうろ。すると背中のほうから、やさしげなまあるい女性の声が。
「あら〜、お待たせしてすみません。お買い物ですかぁ?」
振り向くと、声のイメージそのものの、まあるい顔の女性の店員さん。私より10歳くらい上でしょうか。きりっとした白いシャツに黒のギャルソンエプロンをした、優しくて朗らかで、でもどことなく芯のある彼女を見て、こりゃいいお店を見つけたなと直感しました。それにしてもカフェなのに、お買い物って??
「いや。えーっと、コーヒーを飲みたいんですが……」(私)
「そうですかぁ。ではこちらに。いまメニューお持ちしますね」(店員さん)
通されたのは、奥の席。古い板でつくられたカウンターがあり、壁いっぱいのボトルは見たこともない外国のお酒ばかり。カフェというより、大人のためのバーといった風情です。
ほかのお客さんは誰もおらず、やや気後れしながら注文したカフェオレ。店員のお姉さんは、私の前に白いカップ&ソーサーを差し出すと、すっとまたどこかへ消えてしまいました。
なんだか不思議な空間。村上春樹さんの物語に出てきそうなバーです。
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さて雑貨屋さんに行く時間。カップに残ったカフェオレを、ぐいっと飲み干してレジへ行くと、店員のお姉さんが会計をしながら「お客さん」と話しかけてくれました。
「ウイスキーは飲まれますか?」(店員さん)
「いえ、あんまりです。お酒は好きで、ウイスキーもたまに飲みますが、全然くわしくないんです。興味はすごくあるんですけど」(私)
「うち、ウイスキーの販売もしていて。それでお客さんの雰囲気、なんとなくお買い物なのかなって、はじめ思ったんです」(店員さん)
そこから、どうして話がそうなったのか。ぜんぜん思い出せないのですが、お酒好きという共通項のおかげか、世間話に花が咲きました。
店員さんが、以前は東京のデパートに勤めていたこと。そのときにウイスキーのバイヤーだったこと。知れば知るほどハマって、10年前くらいに独立したこと。30代後半で結婚した彼との馴れ初め。この渋いビルとウイスキーとの歴史的な繋がりについて……。
次のお客さんが入ってきたのを潮に、「きっとあなたが好きだと思う」と選んでくれたウイスキーの小瓶をお土産に買って、カフェを後にしました。
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知らない街。知らないひと。
はじめて買った、小瓶のウイスキー。やっぱり、一人歩きって楽しいなぁ。
そのウイスキーの空き瓶は、しばらく捨てられなさそうです。
▲せっかくの旅なのにスマホの電池が切れかかっていて、写真がぜんぜん撮れませんでした。でもいいんです。思い出はいつも心にあるから(笑)
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