【スタッフコラム】60歳、40歳、28歳。女3人円卓を囲めば
商品プランナー 斉木
昨日今日と、アパレルブランド「n100(エヌ ワンハンドレッド)」のデザイナー・大井さんのもとを訪ねたインタビュー「終わりは、はじまり。」が公開されています。(本編はこちらより)
今日は、インタビューもひと通り終わり、大井さん(60)、カメラマンの神ノ川(かみのかわ)さん(40)、わたし斉木(28)の3人が大井家の円卓を囲みながらした、よもやま話をひとつ紹介させてください。
話は、神ノ川さんが昨年40歳の節目を迎えられたというところから。
大井さん: 40歳になってみて、どうでした?
神ノ川さん: ラクだな〜って感じています。20代は経験も自信もなくてつらかったんですけど、30代でようやく仕事が楽しく感じられるようになって。40代はそれがよりひらけそうな感覚があるんですよね。
斉木: ……わたし今まさにその20代の壁です。
大井さん: あっ、そういえば、キョンキョン(小泉今日子さん)が50歳の記念につくった対談集って読みました? とっても面白かったの。
(大井さん、バッグの中から本を取り出す)
神ノ川さん・斉木: 読んでないです~
大井さん: じゃあ、これ50歳に備えて神ノ川さんに差し上げます。40歳の記念。わたし、もう読んじゃったから。
神ノ川さん: えっ!いいんですか?!ありがとうございます!!
大井さん: 斉木さんにはまだ早いわね。そんな心の準備しなくていいから(笑)。40歳になったら、神ノ川さんから譲り受けてちょうだい。
(神ノ川さん、ページをパラパラめくりながら)
神ノ川さん: 年齢を重ねるのって、誰にとっても初めてのことだから、不安になるんですよね。
大井さん: そうね、でも、わたしの周りには自分の少し先を楽しそうに、自分の意思を持って歩く70代や80代の先輩たちがいる。彼女たちを見てると、さすがだなぁと思うんですよね。そういう人が身近にいるのは心強いし、歳をとるのも悪くないなぁって思えますよ。
***
このやり取りが、取材を終えて1ヶ月、くりかえし思い出されるのです。
インタビュー中、大の心配性で怖がりなわたしを、大井さんは何度も「28歳は、まだそんなこと考えなくていいから!」と笑い飛ばしてくださって。その本も、「まずは自分の目でいろいろ見て、やることやったあと、ね」と。
▲神ノ川さんにバトンの渡った、件の一冊。(写真:神ノ川智早)
わたしは昨日、29歳になりました。30歳まであと1年。それで何かが変わるわけではないけれど、意識しないといえば嘘になります。
無理やりサイコロのマスをひとつ進められ、「いつか」というボックスに入れたあれやこれから、目を反らせなくなるというか。
年齢を重ねれば重ねるほど、女性が生きるってなかなかに大変だなあと、ちょっとクサクサする夜が増えました。きっとこの気持ちってあと10年、15年……?もしかしたらその先も、ずっとずっと続くんだろうなあ、とも。
そんなわたしにとって、大井さんから神ノ川さんに本が手渡されたあの瞬間は、大げさにいうと『光』のように感じられたのです。
ちょうど干支が1周分、12歳上の神ノ川さんが「40歳は楽しい」と言ってくれて、そんな彼女に洒脱なエールを贈る大井さんがいて。
あぁ、わたしもこんなふうに歳をとって、誰かに何かを渡せる人になりたい。このやり取りをずっと忘れずにいたい、と。
怖がりなわたしは、ひとつ歳を重ねるたびに不安もひとつふたつと増やしながら、これからも生きていくのでしょう。それでも、前を楽しそうに歩く先輩の背中を追いかけることだけは、やめたくない、と思ったのでした。
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