【スタッフコラム】ちぐはぐも、悪くはない。

編集スタッフ 寿山

姉が3人いる私は、小さい頃からお下がりばかり着ていました。不思議とイヤと思わずに、着古された服に袖を通しながら、どこか安心感すら抱いていたものです。

そんな育ち方をしたからか、家にも古いものが溢れています。アンティークや古道具の店で買ったというより、家族や知人から譲り受けたものがほとんど。もとの主の好みもあって、どこかチグハグな雰囲気もありつつ、喧嘩まではせずに部屋に並んでくれています。

年齢も出身もバラバラの家財との暮らしが不思議と落ち着くのも、上下チグハグなお下がりで育ったからかもしれません。

とはいえ、そろそろインテリアを整えたいなあとも思うのです。

そこで目をつけたのが、6畳間にどーんと鎮座している、一人掛けのソファ。これも貰いもので、部屋のスペースに対してかなりのボリュームがあり、独特の存在感を放っています。

この椅子を好みの生地に張り替えようと、専門店に見積もりをとってみました。はじめての経験で少し緊張しながら、でもワクワクしながらやりとりをしていたら、「この椅子は、張り替えない方がいいですよ」と言われてしまいました。

出鼻をくじかれたようで沈んでいたら、前にも同じようなことを言われた記憶がよみがえりました。

もともとこの椅子は、はじめての転勤で、住みなれた街を離れる前日、たまたま近所の人が処分する寸前のところを引き取ったもの。シートが壊れたというだけで捨てられてしまうのが、何だか無性に悲しかったのです。なかば勢いで譲りうけ、家にかついで帰る途中「椅子生地はり替えます」の看板を見つけて、持ち込んで修理してもらいました。

そこの店主が親身になってくれて、「これは生地も金具もモノがいいから、なるべくこのままパーツを変えずに修理してみるよ」と、夜なべして修理してくれることに。翌朝「久しぶりに楽しい仕事だった」と、満足気に笑うおじちゃんに見送られながら、立派な椅子と知らない地方へ引越しました。

私のもとに帰ってきた椅子は、シートの裏側だけ別の生地できれいに繕ってあり、ひとり心細いときも、この椅子とおじちゃんとの思い出に何度も救われながら、何とか暮らしていたっけ。

それから10年以上の月日が経って、家族が増えて椅子に腰かける時間も減り、いつの間にか何もかも忘れて貼りかえようとしてしまいました(おじちゃん、ごめんね)。

そんなことがあって、今あるものを無理に1点に引き寄せるよりも、多少チグハグなくらいが、私らしいのかもと思えています。

なにより、この椅子とも、ほかの家具とも、ずっと仲良くやってきたのですから。

そして最近、またこの椅子に腰かけてくつろぐ時間を持つようになりました。椅子も私も、何も変わらないけれど、気持ちだけはちょっと新鮮で。そんな自己満足に浸りながら、椅子に腰かけてたっぷり夜更かしする時間も、贅沢だなぁと思うのです。


感想を送る

本日の編集部recommends!

小さな不調のケアに
手間なくハーブを取り入れられる、天然エッセンシャルオイル配合の「バスソルト」を使ってみました【SPONSORED】

【11/26(火)10:00AMまで】ニットフェア開催中です!
ベストやプリーツスカートなど、人気アイテムが対象に。ぜひこの機会をご利用ください♩

お買い物をしてくださった方全員に「クラシ手帳2025」をプレゼント!
今年のデザインは、鮮やかなグリーンカラー。ささやかに元気をくれるカモミールを描きました。

【動画】北欧をひとさじ・秋
照明ひとつでムード高まる。森百合子さんの、おうち時間を豊かにする習慣(後編)

COLUMNカテゴリの最新一覧

公式SNS
  • 読みものの画像
  • 最新記事の画像
  • 特集一覧の画像
  • コラム一覧の画像
  • お買いものの画像
  • 新入荷・再入荷の画像
  • ギフトの画像
  • 在庫限りの画像
  • 送料無料の画像
  • 横ラインの画像
  • ファッションの画像
  • ファッション小物の画像
  • インテリアの画像
  • 食器・カトラリーの画像
  • キッチンの画像
  • 生活日用品の画像
  • かご・収納の画像
  • コスメの画像
  • ステーショナリーの画像
  • キッズの画像
  • その他の画像
  • お問合せの画像
  • 配送料金の画像