【スタッフコラム】きっと、大人にこそ必要な『クマのプーさん』のこと。
編集スタッフ 二本柳
大人になってはじめて、A.A. ミルンの『クマのプーさん』を読みました。
さくらももこさんのエッセイや、テレビドラマ『すいか』に日々の癒しをもらっているという友人(つまり好きなものが一緒!)が「ねぇ、クマのプーさん、児童文学と侮るなかれよ」と言うので、どれどれと私も買ってみたのです。
裏表紙に「小学4・5年生以上」と書かれたその本を、電車の中でこそこそ読んでいるうちに、たしかにこれは子どもだけのものにしておくのは勿体ないと思うようになりました。
自他ともに認める “おバカ” なプーさんは、とんでもなく愛おしくて、その言動は笑顔なしには見届けられません。読む人だれをも、いい顔にしてくれる物語です。
たとえば、ウサギの家を訪れたプーさん。パンにハチミツかコンデンス・ミルクどちらをつけたいか聞かれると、嬉しさのあまり「りょうほう。」と答えます。
でもすぐさまハッとして、食いしん坊に見られてはいけないと「でも、どうか、パンなんかには、おかまいなく。」なんて余計なことを口走っちゃう。そんなクマなのです。(A.A. ミルン作・石井桃子訳『クマのプーさん』岩波少年文庫 p46)
▲プーさんといえばやっぱりハチミツ!
『クマのプーさん』に登場するキャラクターは、コブタも、ロバのイーヨーも、みんな個性豊か。
しかもその個性は、良い部分だけじゃなく、クセのある “欠点” も多いのが面白い。
読んでいると、どこか自分にも心当たりがあるような、人間らしさをつくる弱さがキャラクターに投影されているように感じます。
そしてエライなと思うのが、プーさんもコブタもイーヨーも、自分の “欠点” をちゃんと知っていること。でもそんな自分を悲しんだり、変えようとしたりする様子はとくにありません。
食いしん坊ゆえにお腹がふくれて、ドアから出られなくなってしまったり。物覚えの悪さゆえに、親友のためのプレゼントを失ったり。
そんな失敗をするたびに、プーさんはこう言います。
「いやァんなっちゃう!」 (p105)
(「いやんなっちゃう!」はプーさんの口癖みたい。私も言ってみよう)
自分の性格が招いた数々の失敗を、ただそこに起きた「事象」として嘆くプーさんの、そのシンプルさには、誰だって心がゆるんでしまうのではないでしょうか。
「プー、きみ、朝おきたときね、
まず第一に、どんなこと、かんがえる?」
「けさのごはんはなににしよ?ってことだな。」
「コブタ、きみは、どんなこと?」
(中略)
「ぼくはね、きょうは、どんなすばらしいことがあるかな、ってことだよ。」
プーは、かんがえぶかげにうなずきました。
「つまり、おんなじことだね。」
(p239-240より)
10日間のゴールデンウィークが明けて、ふたたび日常の生活がはじまりました。
休みが明けてみると、さっそく自分の至らなさに落ち込んだり、「あ〜もっと気の利いたこと言えないものだろうか」と歯がゆくなったりしながら、一日一日を過ごしています。
仕事が楽しくて仕方ないと思ったら、翌日にはやっぱり無理……と尻込みしたり、料理に自信がついたと思ったら、途端に放棄したくなったり。
そんな複雑な自分に疲れたら、かわいいプーさんをのぞきにいくのも良いかもしれない。きっと、いい顔になっているはずです。
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