【これからの洗剤選び】この30年で大きく変わった、私たちの衣類と洗濯のこと
ライター 大野麻里
「ねぇ、洗剤変えない?」。人気俳優5人が、こう呼びかける「アタックZERO」の広告。記憶に新しい人も多いのではないでしょうか?
花王の洗剤「アタック」が誕生したのが1987年。今日までの30年以上の間に、洗濯という家事には大きな変化がありました。
今回のお取り組みで気づいたのが、日々習慣的にしている洗濯に、知らないことがたくさんあったということ。そして同時に、いま自分は正しい洗濯ができているの? 適した洗剤を選べているのかな? そんな疑問が浮かびます。
「これまでの30年から次の30年へ」。洗浄力の高さはもちろん、地球環境にも配慮し、これからの暮らしを支える新しい洗剤を出したい、という想いから開発が始まったアタックZERO。
私たちにはまだ「新商品のひとつ」に見えますが、実は「新しい洗剤」の時代がもう始まっているようです。「これからの洗剤」をテーマに、花王・ファブリック事業部の山本理恵さんに、お話をうかがいました。
(この記事は、クライアント企業さまのご依頼で制作する「BRAND NOTE」という記事広告コンテンツです)
この30年間で、「洗濯」はお母さんだけの家事ではなくなった
▲アタックZEROの開発に携わった山本さん。洗剤の知識の豊富さは部署内でも評判
山本さん:
「約30年前、アタックが発売される前は、大きな粉洗剤が主力商品でした。1箱が4kg近くあり、自転車のカゴに入れるのもやっとの大きさで。持ち運ぶのも重い、1回あたりの使用量も多い洗剤を、コンパクトにして発売したのがアタックです」
画期的なその洗剤は、次第に日本のスタンダードに。その後も、においや菌に対応した洗剤や、少ない水で短時間に洗う節水タイプの濃縮洗剤など、革新技術を入れながら生活に寄り添って洗剤の改良を続けてきました。
▲生乾き臭い、汚れ、洗剤残りをゼロにする、ゼロ洗浄の「アタックZERO」。左が一般用、右がドラム式専用
そして、2019年にアタックZEROが発売に。開発にあたって、現代の洗濯事情の変化を改めて見つめ直したといいます。
山本さん:
「変化は大きくわけて3つありました。ひとつは、家事の担い手の変化です。これまで『主婦がするもの』というイメージが強かったですが、男性も家事や育児に参加する風潮に。そこで『かんたんで、誰がやっても失敗しない』がキーワードになりました」
山本さん:
「2つ目は洗濯機の変化。節水タイプや大容量タイプ、ドラム式洗濯機などバリエーションが増えました。とくにドラム式は洗い方が縦型洗濯機とは違うので、それにともなう洗剤が必要になってきたと感じました。
3つ目はライフスタイルの変化です。忙しい日常でどうにか家事を時短したい人が増え、1度にたくさん詰め込んで洗濯する人が多くなったんです。すると、どうしても洗浄力が十分に発揮されず、なかなか汚れが落ちづらいという声がありました」
▲キャップで計量する手間がかからないうえ、片手でかんたんに洗剤が投入できる「ワンハンドプッシュ」を採用
話を聞いていると、確かに思い当たることばかり! 洗濯という行為をふだん何気なくしていますが、洗濯にまつわる環境が変わっていることを意識していなかったように思います。
化学繊維の衣類は、木綿の半分しか汚れが落ちない(※花王調べ)
▲機能性インナーにはナイロンやキュプラなど化学繊維が多く使われている
時代の移り変わりで出てきた、よくある洗濯の悩みのひとつが、化学繊維の衣類の洗濯だといいます。
山本さん:
「木綿のタオルはきれいに洗えたけど、決まった衣類だけ汚れが落ちていないと感じることはありませんか? たとえば形状記憶シャツや、直接肌に触れるスポーツウェア、機能性インナーなど。においやくすみが気になったら、洗剤を見直すことで解決できることもあります」
つるりとした肌触りの化繊は汚れも落ちやすそうなイメージでしたが、これまでの洗剤だと皮脂汚れがつきやすく、しかも汚れ落ちは木綿の半分にも満たないのだとか。
山本さん:
「木綿は水になじみやすい性質なのに対して、化繊は水となじみにくく、油の性質のものになじみやすい性質。そのため皮脂などの油性汚れが化繊に付くと、洗ってもなかなか落ちにくいのです。
また、日焼け止めやファンデーション、柔軟剤、衣類用消臭スプレーなども、衣類に付着して蓄積すると汚れやにおいの元に。これらは、昔はあまりなかった新しい種類の汚れですね」
アタックZEROの洗浄成分は、油の性質のものによくなじみ、しかも水にもよく溶ける性質。
化学繊維についた油性の皮脂汚れもしっかり落とせるので、木綿を洗ったときと同じレベルの高い洗浄力を発揮できるそうです。
洗濯機の洗い方や水量によっては、汚れ戻りしてしまうことも
ドラム式洗濯機の登場も、便利な一方で、新しい洗濯の悩みが生まれました。
山本さん:
「縦型洗濯機とドラム式洗濯機は、洗い方や水量が違います。縦型はたっぷりの水量でグルグル回す『もみ洗い』。一方ドラム式は少ない水量で洗濯槽を回転させる『たたき洗い』で汚れを落とします。
さまざまな家庭の洗濯調査をしていると、ドラム式洗濯機を使っている方々から『白い衣類やタオルがちょっとくすんだ』『元の色よりワントーン落ちた気がする』という声がときどきあがっていました。
これは水が少ないゆえに、衣類から落ちた汚れの濃度が高くなるのが原因。その汚れた水の中でたたき洗いをしているうちに、汚れが衣類に戻ってしまうことがくすみや黒ずみにつながるのです」
そこで、アタックZEROではシリーズ初のドラム式専用タイプを開発しました。
山本さん:
「もともと洗剤の多くは、縦型洗濯機を想定して開発されています。しかし、近年は共働き家庭が増え、乾燥機能が付いたドラム式洗濯機ユーザーが増加していることにも注目しました」
そこでアタックZEROは、シリーズ初のドラム式洗濯機専用タイプを開発。
“ 洗濯機に合わせて、洗剤を選ぶ ”という、意外にも多くの人が気に留めていなかったことを、新しく提案しています。
山本さん:
「洗濯物に汚れが再付着するのを防ぐ『節水対応ポリマー』を多く配合することで、汚れ戻りを防げるように。ドラム式洗濯機でも、縦型洗濯機と同じくらいの洗浄効果が発揮できる洗剤が完成しました」
数十年後、洗濯洗剤をめぐる環境はどうなる?
今回たくさん話をうかがって、とても驚いたことは、洗剤の原材料のひとつである油脂原料は「限りのある資源」ということでした。
洗剤などに使われる界面活性剤は、おもにアブラヤシの実の核の部分が原料。しかし、アブラヤシは天然資源なため、限りのある資源なのだそうです。
一方、世界的人口は今後も増加傾向にあり、洗剤などに使う界面活性剤の量も増加が見込まれるとのこと。将来、資源が不足すれば、私たちの生活にも影響が出るかもしれません。
アタックZEROの主成分は「バイオIOS」。アブラヤシの実の果肉部分から、食用のパーム油を採取する際の搾りカスを原料としています。これまでは使用用途が限られていた搾りカスを有効活用することで、環境にも配慮した洗剤を実現できたとか。
▲“ 花王史上最高の洗浄基材 ”という「バイオIOS」の資料を見ながら
山本さん:
「洗剤の原材料にかぎらず、世界的にも環境や未来を守ろうという意識は年々高くなっています。サステナブル(持続可能)が重視されている中で、長年研究開発に力を入れたことがようやくかたちになりました」
アタックZEROが「新しい洗剤」と呼ばれるのは、まさにここに理由があったのです。
アタックZEROが目指したのは「衣類に何も残さないこと」。それは汚れやにおいももちろん、不要な洗剤を残さない、衣類にとって不要なものを一切残さないという意味も。
山本さん:
「バイオIOSは従来の界面活性剤に比べて水に溶けやすい特長をもつので、洗った後に洗剤が衣類に残りません。実はすすぎをしなくてもいいくらい、洗濯の『洗い』の工程で水に溶けていく洗剤になっているんですよ」
花王では、将来的に、海にある藻類(!)からも界面活性剤をつくり出すことを見越して研究を進めているそう。30年前、アタックが登場して人々が画期的だと驚いたのと同じように、洗剤の新しいステージはもう始まっているようです。
30年後の、洗濯はどうなっているだろう?
これからのニュースタンダード。
アタックZEROはそんな言葉がぴったりの洗剤だと感じました。お話を伺って、知らぬ間に洗濯環境に大きな変化が訪れていたことはもちろん、将来的に洗剤の原料に限りがあるという話も驚きでした。
将来、いつかサステナブルな洗剤が主流になって、従来のものを「あんな洗剤もあったね」と懐かしむ日が来るのかもしれません。もしかしたら人間が洗濯をする時代はとっくに終わった、なんて未来もあるのかも。
ライフスタイルや環境の変化、急速な技術の進歩で、知らぬうちに当たり前のものが当たり前でなくなる時代です。
同じものを長く愛用することも素敵なことですが、人々の熱心な研究と情熱で生まれたものを知るのもまた面白いこと。それが少しでも環境負荷を考慮しているものならなおさら、選択肢のひとつに加えるのも快適な暮らしにつながりそうです。
写真=ニシウラエイコ
ライター 大野麻里
編集者、ライター。美術大学卒業後、出版社勤務を経て2006年よりフリーランス。雑誌や書籍、広告、ウェブなどで企画・編集・執筆を手がける。ジャンルは住まいやインテリア、ライフスタイルなどの暮らしまわり、旅行、デザイン関係などが中心。
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