【スタッフコラム】雨の日の散歩で、心をシンとさせてみる。
編集スタッフ 石川
秋雨の時期が、実は嫌いではありません。いえ、以前はあまり好きではなかったように思うのです。「天高く、馬肥ゆる秋」とも言いますが、抜けるような秋の青空は、私にとって、1年で1番好きな天気です。一方、天気のぐずつく日は、洗濯物も乾かないからモヤモヤしてしまうし、「ちょっとそこまで」の外出にもためらいがちでした。
でも、小雨降る先日、外せない用事で止むを得ず、目的地まで歩いていくことになってしまいました。嫌々繰り出してはみたものの、「えいやっ」と一歩踏み出してみると、いつもの景色も、当たり前ですが、晴れた日と違った空気に包まれていて。気づけばどんどん足は前へ前へと。
どんより気分の雨の日だけど、だからこそ素敵に思えるものを見つけた道中を、ちょっとだけお伝えさせてください。
みずみずしさ120%の緑
道中、自宅からほど近い、自然たっぷりの公園へ立ち寄りました。もちろん、いつもだって木々の青々しさに癒されるスポットなのですが、雨粒が滴る緑は、いつも以上にみずみずしく、キラキラと輝いていて。
こうやって、私が目を向けていない雨の日のうちに、木々はパワーを蓄えているんだなあ、と束の間足を止め、立ち尽くしてしまいました。
気のせいかもしれないけれど、葉っぱや土の匂いも、力強く立ち込めているような……。静かにほとばしる緑たちの生命力に、こちらもなんだか内側から力がみなぎってきました。本当なら、どんより気分の雨の日なのに、なぜか勇気付けられるなんて、不思議です。
雨音のカーテンがつくる、静寂
雨の日は、同じ時間、同じ場所でも、なんだかいつもより静かに感じる気がします。それはたぶん、雨音が、ざわざわとした周りの音を、カーテンのように遮断してくれているから。
ちょっと先まで煙る景色の中、街の音はずっと遠くにぼんやりと聴こえ、規則的な雨の音だけが耳をいっぱいにしてくれる。こうなったら、頭を空っぽにするしかありません。公園のベンチはびしょ濡れで、もちろん座れやしないのはご愛嬌。立ったまま、ぼうっと遠くを眺めます。
雨粒が落ちる池の水面は、ひとときとして同じ波紋を描くことはないのだなあ……これが諸行無常ってやつか……などと考えていると、たったの5分ほどで、日頃いっぱいいっぱいだった頭もすっきりクリアに。相変わらず景色はどんよりでも、心はなんだか晴れやかなのでした。
お気に入りのレインブーツだって、ご機嫌
そういえば、お気に入りのレインブーツの出番は、当たり前ですが、雨の日しかありません。膝下まであるロングブーツだから、水たまりがあってもへっちゃら。この相棒のおかげで、ここまでの道中も気兼ねなくガシガシ歩けたのでした。ありがとう、レインブーツ。
買ったはいいものの、他の靴より出番の少ないブーツをはけて、ちょっとだけご機嫌の私。ブーツのほうだって、活躍できて喜んでいるようにさえ見えてきました(たぶん、気のせいです)。
とはいえ、日差しはうれしいものでした。
雨の日だから見つけられたものは、どれも自分の内側をリセットさせてくれるようなものたち。だから、家に着く頃には、私の頭と心も水で洗い流されたような気分になっていました。
もちろん、激しい雨の時は安全な家の中にいたほうが良いけれど、小雨の中「ちょっとそこまで」なら、絶好のチャンス。これからは雨の日こそ少し歩いて、心をシンと静めるのも悪くない、と思い始めたこの頃。
と言いつつ、このコラムを書いている今、部屋には久しぶりの日差しがうっすらと。ああ、やっぱり日差しって、うれしいものですね。
雨の日にさっぱりと洗い流した心で、晴れの日の高らかな心持ちを迎える、というリズム。どちらもあるからこそ、自分の心のテンションのバランスが保てているのかもしれない、と気づいた今年の秋なのでした。
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