【大人っぽさを探して】前編:好きな服はずっと着ていたい。変わらないために、変えたことって?(福田麻琴さん)
編集スタッフ 田中
30代に入って自分の好みや相性のいいものがわかってきて、もの選びは安定したなと感じています。ただ、近頃自分のコーディネートやメイクを眺めては何か違和感を覚えていた、私・田中。
というのも、私の好きなアイテムはクルーネックのカットソーやコクーン型のパンツに、丸いフラットシューズなど。どちらかといえばユニセックスでカジュアルなものが多いんです。
カジュアルな服装が好きだし、ずっとパンツ派でもいいんだけれど20代のときに描いていた「大人っぽさ」とはだいぶん違うような……。40歳を目前にして、この違和感にどう向き合えばいいのだろうと思い始めたのです。
「いつもの服だけど、なにか違う」と気づいて
そんな折「あの人ならどう考えただろう?」と思い浮かんだのが、スタイリストの福田麻琴(ふくだ まこと)さん。
ボーダーシャツにデニムを組み合わせたフレンチカジュアルを中心に、さまざまなスタイルを雑誌やwebなどで提案しています。
福田さん:
「まさに30代後半で、私もどう在りたいか立ち止まったときがありました。『あれ、いつもの服を着てるのに、なんだか雰囲気が違う』って見えたときがあって、好きな服をずっと同じコーディネートで着るのに自信がもてなくなっていたんです」
いつも快活で明るく、周りの人をハッピーにする雰囲気を持つ福田さんにもあった揺れる気持ち。その頃から今に至るまで、どんなことを感じて、どう向き合ってきたのか、全2話で聞きました。
「自分にとっての定番」があるのは安心だけど
福田さん:
「20代の買い物は挑戦と失敗を繰り返す日々でした。30歳でフランス留学にトライして、公私ともに洋服やメイクのスタイルに影響を受けて、だんだん好みや似合う服などの定番が決まってきました。それからは服もスキンケアも同じものを買い足して。マイルールができてラクでしたね。
ただ、さっきも言ったように、ある日鏡にうつった自分に驚いて。ボーダーシャツやデニムでいつものメイクだと、なんだか手抜きに見えてしまう……と気がついたんです。
子供が生まれて数年たったころには体型も変わってきていたし、おや? 前と違うのは私だったか!って、歳を重ねたことを認めはじめて(笑)。
その頃から、“好きな服を着続けるためにはどうしたらいいかな?”って考えるようになりました」
これは「好きで着てる」と、胸を張るために
▲白×青ボーダーは、古着で購入したメンズのパスクシャツ。その他は定番の「ORCIVAL」
福田さん:
「私はボーイッシュやカジュアルなテイストのものが好み。けれど、今までの着こなし方だと、幼く見えるのかも?と思い始めました。
仕事でも『ボーダーカットソーを大人っぽく着こなすコーディネート』などを提案しはじめ、大人っぽさを考える機会が増えて。
私なりの解釈だけれど、カジュアルな服も『大人っぽい要素』をプラスすれば、歳を重ねた自分にも似合う着こなし方があるし、着ている自分も違和感が減るんじゃないかと。
それからは、ボーダーやデニムと何を組み合わせるか、色々と試行錯誤しました」
福田さん:
「ちなみに私はボーダーカットソーが大好きなので、見つけるとどんな形や色でもつい買ってしまう。そこは我慢しないで、合わせるもので40代にふさわしいコーディネートを作ります。例えば、私の好きなタイプのボーダーカットソーは、少しダボッとしてカジュアル度が高いけど、ボトムスにセンタープレスのパンツを合わせればきちんと感を足せる。
他にも、スニーカーでもモノトーンでまとめるとか。そういうことで大人っぽさがついてくるんだと分かってきて。若作りでもなんでもない、これは『好きで着てる』って言えると思えました」
フォーマルな装いも、自分らしく楽しむには
福田さん:
「普段のコーディネートを大人っぽくすると同時に気づいたこともあります。それは、年相応のTPOを意識したスタイルも楽しめるってこと。自分好みのものが見つからないと嘆くこともあるけれど、逆にその時だけのコーデ作りを楽しんじゃえ!と思っています。
私はフリーランスだから、スーツやいわゆるオフィス向けのきちんと感のある服を着る機会がありませんでした。だから、息子の保育園の卒園式で初めて、フォーマルな装いについて真剣に考えました。
当初は着物でいこうと思っていたんです。けれどちょっとかしこまり過ぎていないかな?みんなワンピースとかセットアップなのかも?など疑問が頭の中をぐるぐるかけめぐって。だから買い物や用事のついでに黒いワンピースを見かけたらチェックするようにしていました」
福田さん:
「結果的に、私が選んだのはブラックのロングワンピース。シンプルな形で、スカートの裾が少しフレアになっています。長く着られるデザインで、私にとってはフォーマルにふさわしいイメージでした。
ただ、マキシ丈で後ろ下がりの裾など、ちょっとだけ遊び心のあるデザインです。TPOにあわせた装いであることは前提だけど、ファッションが好きだからワクワクしたかったんです。私の『好き』がちゃんと感じられるものを選べることができて、当日も楽しく着られました。
子供が小学生になり、授業参観に行くときは、ピシッとしたジャケットでオフィスで働くママ風!とか、俳優さんの役作り?!みたいな気持ちで楽しんでいます(笑)。『こんな組み合わせだとどう見えるかな?』って、試すのも楽しくて。
年齢やTPOにあった服装を考える良い練習になってます」
福田さんが私と似た悩みを抱えていたと知り、少しホッとしました。それに、福田さんの性格も手伝ってか、あっけらかんとした乗り越え方に、インタビューしながら何度も笑ってしまって。
今好きなものを、着続けるための工夫。私も考え始めたいと思います。
続く第2話では、実際に服やコスメアイテムを見せてもらいつつ、最近の心境の変化を聞きました。
photo:鈴木静華(バナー除く)
hair&make:小林亜珠(LIM)
もくじ
福田麻琴
スタイリスト。フランス留学を経て、今どきを取り入れたフレンチベーシックスタイルが人気を呼び、さまざまな女性ファッション誌やwebでも活躍中。1児の母でもある。仕事や日々の様子をInstagramでも綴っている。instagram→@makoto087
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