【はじめまして、タイ料理】第2話:何度でも作りたい。スープまで楽しめる「タイ風茹で鶏」
ライター 小野民
もうすぐ夏本番。暑い時期に食べたいタイ料理のレシピを全4回でお届けしています。
教えてくれるのは、タイ料理人のアベクミコさん。現地に足繁く通って会得したタイ料理のエッセンスを大切にしながらも、家庭でも作りやすいレシピを紹介してくれます。
今回教えてもらうのは、茹で鶏(ガイトム)に、鶏のつけだれ(ナチムガイ)、さらに茹で鶏の茹で汁でスープまで。
さまざまなレシピのある茹で鶏ですが、タイ料理らしさのポイントはどんなところなのでしょうか。
レモングラスとパクチーがタイ風の決め手
つけだれで味わう「茹で鶏」
材料(2人分)
鶏もも肉…1枚
レモングラス(※)…1本
パクチーの根…1本分
<つけだれ>
タオチオ(または味噌)…大さじ2
シーユーダムケム…少々(あれば)
砂糖…大さじ1強
酢…大さじ2
パクチーの根…1本分(みじん切り)
にんにく…1/2片(みじん切り)
しょうが…1片(みじん切り)
青唐辛子…お好みで(小口切り)
ごま油…適量
※フレッシュなレモングラスが近くで手に入らない場合は、インターネットショップなどで購入可。なければ冷凍でも。乾燥したものは風味が出ないのでオススメしません。「なければ思い切って省いてしまってもOK」とアベさん。ねぎやしょうがなどおなじみの香味野菜で作っても、つけだれでタイ風味になりますよ。
▲タオチオ(左)は大豆からできた液状の味噌のようなもの、シーユーダムケム(右)は醤油に糖蜜を加えて甘みを出したもの
作り方
1.レモングラスとパクチーの根を煮る
鍋に鶏肉がかぶるくらいのたっぷりの湯を沸かし、沸騰したら薄切りしたレモングラスとパクチーの根を入れて水が薄く色づくまで煮ます。レモングラス、パクチーの根は、切った後に叩くとさらに香りがよく出るそう。
2.鶏肉を加えて、20分茹でたら完成
余分な脂や筋を取って皮にフォークなどで穴を開けた鶏肉を、皮目を上にして1の鍋に入れ、再沸騰したら蓋をしてごく弱火で約20分茹でます。今回はもも肉で作りましたが、さっぱりしたものが好みならむね肉を使っても。
火を止めてから蓋をして冷まして味をなじませます。保存する場合は、必ず茹で汁につけたままで。
3.つけだれの材料を潰して混ぜる
タオチオは粒がなくなるまですり鉢などでつぶし、シーユーダムと青唐辛子以外の薬味を入れてよくすり混ぜたら、調味料も入れてさらに混ぜて、お好みで唐辛子を加えます。
茹で鶏においしいたれは王道の組み合わせ。茹で鶏は、ほんのり鼻に抜けるパクチーとレモングラスの爽やかな風味で、これまで作ってきたものとは一味違い、さらにつけだれをつければ、すっかり異国情緒を感じる風味です。
身近な存在だった茹で鶏ですが、一緒に茹でる香草とたれで鮮やかに変化をつけられることを知りました。
おまけにもう1品。鶏のうまみが染み込んだ「大根スープ」
作り方は、茹で鶏を煮たスープに、好みの厚さに切って下茹でした大根を入れて煮るだけ。柔らかく煮えたら、ナムプラー、こしょうで味を整えます。
アベさん:
「タイ料理でおなじみのカオマンガイには必ず茹で汁を使った冬瓜のスープがセットでついてきます。大根も冬瓜と同じように鶏のだしがよく染みておいしいです。仕上げにナンプラー(魚醤)を入れるので、いわば鶏と魚のWスープでうまみたっぷりです」
自分にとってメニューに困った時に作る料理のスタメンだった茹で鶏。手軽さはそのままにエスニックな気分が味わえるのは、嬉しい誤算で、副産物のスープと合わせれば立派な一食になります。気張らず、簡単に済ませたいときのお助けレシピにもなってくれそうです。
次回は、スパイシーさが癖になる「干し豚肉の揚げもの(ムゥデッディオ)」のレシピをお届けします。
【写真】市原慶子
もくじ
アベクミコ
タイ料理人。
アパレルブランドなどを経てタイ料理人になり、2018年東京 東中野でDDDスタート。出張料理、ケータリング、料理教室に加え、完全予約制のプライベートダイニングも行なっている。オンラインショップも人気。
Instagram:@peaceful1024
『DDDSTORE』:https://ddd2020ddd.stores.jp
『Catering for me!』: https://cateringforme.com
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