【マイペースに生きる人】第1話:就職経験なし。紆余曲折はあったけれど、フリーランスの道を選んだのは(「OKUDAIRA BASE」主宰・奥平眞司さん)
編集スタッフ 野村
もうすぐ30代。自分と同年代の人たちから結婚や転職といった暮らしの転換点に立っているという話をよく耳にするようになりました。
30歳ってひとつの区切りになるような年なんだなと意識します。
自分と同年代の人たちは、今までにどんな選択があって、今の暮らしをしているのか。そして仕事のことや将来の暮らしのことってどんな風に考えているんだろう。
そんなことが気になって、同年代の方に仕事と暮らしについてのお話を聞いてみたいと思いました。
就職の経験なし。ユーチューバーを仕事にした奥平さん
今回お話を伺ったのは、YouTubeチャンネル「OKUDAIRA BASE」を主宰する奥平眞司(おくだいら まさし)さん。料理やDIY、家族や友人を招いてのおもてなしなど、暮らしのことや自分の時間をとことん楽しむ方法をYouTubeにて配信しています。
個人で映像クリエーターとして活躍する奥平さん。今までにどんな選択があって、フリーランスで働くという道に進んだのでしょうか。まずはそんなお話から聞いてみました。
きっかけは、ひとり暮らしを始めたこと
奥平さん:
「ユーチューバーになろうって気持ちは全然ありませんでした。
もともとは学生時代に趣味のひとつとして、インスタグラムでインテリアの写真や料理の写真といった暮らしのことを発信していたんです。
大学に入って、実家から離れてひとり暮らしを始めたのがきっかけで、暮らしのあれこれが好きになって。ひとり暮らしを始める前は、実は家事が好きじゃなくて、ほとんどしていませんでした」
▲奥平さんが自作したキッチン棚
奥平さん:
「その頃に住んでいたのは、田舎の山と海しかないような環境で。遊ぶ場所も近くになかったので、自然と家で過ごす時間が長くなりました。
他にすることもあまり多くなかったので、浜辺を散歩しては落ちてる流木を拾って集めて、それを材料にしてサイドテーブルを作ってと、DIYでの家具作りにハマったんです。
部屋やインテリアのことに興味が湧くと、掃除や整理整頓もしたくなって。そうやって整えた部屋には友人をもてなしたくなって、おもてなしのために料理にもこだわってと、どんどんと暮らしのことが楽しくなって、好きになっていきました」
奥平さん:
「大学を卒業したのと同じくらいのタイミングでYouTubeにも動画をアップし始めました。
『暮らしのことって楽しいんだ』って気持ちがずっとあって。
動画であれば、そうした暮らしに詰まっている楽しさや魅力をより多くの人に伝わりやすい形で届けられるかもと思って撮り始めたのが、ユーチューバーになるきっかけでした」
もともとは、デザインを仕事にしようと思っていた
とはいえそれが仕事になるとは思ってもみなかった奥平さん。大学を卒業後、デザインの専門学校へと進学しています。
一見、今の仕事とは交わりがなさそうなデザインの専門学校への進学。どんな思いがあって専門学校を選んだのでしょうか?
奥平さん:
「大学時代のひとり暮らしで、暮らしのことが楽しいって思い始めると、暮らしの道具や家具、インテリアのことについて勉強できるデザイン系の学校に興味が出てきたんです。
なので大学1年生の頃から、大学を卒業したらデザインの専門学校に行くんだって心に決めていて」
奥平さん:
「当時は、デザイン学校へ進学することに対して親に反対されていました。軽い気持ちで言っているんじゃないのかって思われていたのかもしれません。
でもそこで諦めないくらいに、僕自身は本気でデザインの道に興味を持っていて。いろんな学校を探した中で、桑沢デザイン研究所という学校に進みたいというのも決めていました。
その学校には、『概念砕き』という標語が掲げられていて。常識にとらわれずに、ちょっと違った視点からものごとを見ていくっていう考え方にとても感化されたんです。
その後に、暮らしのことを発信していたインスタグラムを通じて、インテリア雑誌に取材をしてもらえたりと、自分も本気でデザインの道に進みたいんだってことが親にも伝わったのか、それからは大きな反対もなくなりました」
相手の立場に立つという考えが、YouTubeにも活きている
奥平さん:
「進学したデザイン学校では、すごく充実した学びがありました。
ある建築の授業で住宅をデザインする課題が出たんです。その時は、何となくかっこいいからこの場所に柱を立ててと、何も考えず、感覚だけでデザインしていたんです。
すると先生から『この柱って使う側の人からすると使いにくくて良くない。何となくで作られたものはデザインではないよ』と指摘されて」
▲奥平さんが自身でデザインした、木の計量スプーン「eda」
奥平さん:
「デザインは、それを使う人の立場になって考えないといけない。相手のことを深く考えながらものを作っていかなければ、良いデザインにはならないんだっていうことを知りました。
僕自身も最初は、僕の考えるかっこいいものを作ろうって気持ちがあって、使う人のことなんて全然考えていなかったんです。
デザインの学校で教えられたこの考え方は、今やっている動画制作の仕事にも通じるなって思います。
観てくれている人のことを考えてテロップを入れたりとか、見えやすい画角を探って映像を撮ってみたりという工夫も、相手のことを考えているからできることです。だから、デザイン学校で学んだ、他人のことをしっかり深く考えることは、今もずっと活かされているって感じます」
ユーチューバーという仕事を意識したのは
奥平さんがYouTubeでの活動をメインにできたきっかけはどんなことだったのでしょうか。
奥平さん:
「デザインの勉強のかたわら、YouTubeは自分のペースでコツコツ続けていたんですが、ある日アップした動画が10万回再生を超えるヒットになったんです。
今まで出していた動画の平均再生回数はせいぜい100回ほどだったので、当時は何が起きたのかよくわかりませんでした」
奥平さん:
「ヒットした動画は、朝起きて夜寝るまでの1日のことを撮影したもの。それまでの動画は、カレーを作っておしまい、DIYで家具を作っておしまい、と暮らしの部分部分をアップしていただけでした。
短い動画よりも長く1日を撮影することで、もっと自分が伝えたい暮らしの楽しみが伝わるんじゃないかなって、初めて長尺で撮ってみた動画でした。そんな気持ちが、観てくれている人の気持ちともフィットして、ヒットしたのかもしれません。
そこから、ありがたいことに動画を配信することで収入も得られるようになって、卒業後はアルバイトをしながら進路をじっくり考えることにしました」
***
自分が好きなこと、やりたいことにじっくりと向き合ってきた奥平さん。
自分が好きと感じることに、じっくりと向き合い続けてこられたその姿勢は、どうやって育んできたのでしょうか。
続く第2話では、どうして就職せずにユーチューバーとして生きる道を選択できたのか、そしてこれからの暮らしについて、お話を伺っていきます。
(つづく)
【写真】奥平眞司
もくじ
奥平 眞司
YouTubeチャンネル「OKUDAIRA BASE」主宰。愛知県出身。福祉系大学卒業後、桑沢デザイン研究所夜間部にて空間デザインを学ぶ。YouTubeでは、料理やDIY、物選び、整理整頓、家族や友人を招いてのもてなし、一人キャンプや旅行など、自分の時間をとことん楽しむ方法を配信。動画制作、キッチンツールのデザインなども行っている。
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